■私が、ダライ・ラマの通訳をしたとき

日本だけでなく、世界中で、人々が終わりの見えない不安に悩んでいます。毎日気分が落ち込んで仕方がないという方もいるでしょう。

そんな人々の姿を、もし、ブッダが見たとしたら何と声をかけるでしょうか。「頑張れ」とポンと背中を押す? いいえ、そうではありません。

ブッダは励ますことはせず、人々の心に寄り添うでしょう。

「どうぞみなさん頑張りすぎないように。無理をしないで。夜もゆっくり休んでください」と。

ですから、みなさん、頑張る必要はありません。みなさんは今、ここにちゃんと生きている。生きていてくれるだけで、それだけで十分なのです。----------

藤尾 聡允(ふじお・そういん)
臨済宗建長寺派・独園寺第15世住職
自死・自殺に向き合う僧侶の会」共同代表。明治大学卒業後、銀行員として海外に13年駐在。臨済宗瑞龍寺僧堂での修行を経て現職。国内外に向けて座禅会を開催。

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