【ローマ=共同】ローマ教皇フランシスコがキリスト教カトリックがタブーとする同性愛者の事実上の結婚を社会的に認めるべきだと発言したことが21日分かった。同様の見解は歴代教皇で初めてとみられる。教皇を題材としたドキュメンタリー映画「フランシスコ」の中で述べたとイタリアメディアが報じた。
世界に13億人超の信者を抱えるカトリックの頂点に立つ教皇が同性婚に一定の理解を示した発言と言え、信者の多い欧州を中心に反響が広がっている。日本でもLGBTなど性的少数者のカップルを公認する「パートナーシップ制度」を茨城県や大阪府が導入しており、関心が高まりそうだ。
教皇は「同性愛者も家族になる権利を持っている。何者も見放されるべきではない」と語り、同性愛者同士の事実上の婚姻「シビル・ユニオン(合同生活)」が可能となるような法的整備が必要だとの考えを示した。
カトリック教会は同性愛や避妊、離婚をタブー視するが、教皇フランシスコはこれまでも実社会に即した教会変革が必要だと主張し柔軟な見解を示してきた。一方で、2016年にはシビル・ユニオンと男女間の結婚は明確に区別されるべきとの考えも示している。
映画「フランシスコ」はエフゲニー・アフィネフスキー監督による長編ドキュメンタリーで、教皇や、教皇の最高顧問である枢機卿らへの直接取材を敢行した作品。ローマで開催中のローマ国際映画祭で21日、上映された。