この「百貨店クラスター」をめぐって8月5日、大阪市の松井一郎市長は、大阪市政の担当記者たちを前に、次のようにやや踏み込んだ発言をしました。 「お客様からの感染という可能性の方が高いんじゃないか」
感染の規模は大きく、保健所による調査の難航が予想されていましたが、感染経路について、おおよその見込みがついているかのような口ぶりでした。 ただし松井市長は、次のようにも発言しています。 「きちっとしたエビデンスがあるところまでいっていないが、保健所で様々調査をした結果、当初はバックヤードで従業員同士の感染拡大を疑っていたがその可能性は低い」
松井市長が、会見でこの説明をする前日、大阪市保健所の吉田英樹所長が、クラスターを調査する専門家とともに、阪神梅田本店に赴いて状況を確認しました。 大阪市保健所の久野恭伸副所長によれば、所長らが現地を確認した結果分かったのは、次のことだったといいます。 ・当初、感染が拡大した場所だと疑っていた9階のバックヤード(従業員用の食堂など)で感染が広がっていたとすれば、フロアに関わらず、まんべんなく従業員が感染するはずだが、感染者が集中していたのは1階と地下1階だった。 ・9階のバックヤードでは感染対策が徹底され、感染が広がる可能性は低い。 ・7月末の4連休で1日あたり3~4万人ほどの客が来店していた。 吉田所長は、これを松井市長に直接説明しています。 松井市長は、この説明を受けて、客からの感染の「可能性が高いのではないか」と述べたのです。
8月5日、松井市長の会見に同席した久野副所長は、市長の説明について記者から問われると、次のように述べました。 「そういうような感染経路も否定できない。選択肢の1つということかなと考えている」 市長の発言に比べて、「客からの感染」という点でトーンダウンした表現でした。 記者が質問を重ねると、久野副所長は続けて以下のように述べました。 「感染拡大もあって、来られている客の中には無症状陽性者がいる可能性があると。そういう方がマスクを鼻まで下げてしゃべったり、手にウイルスがついている部分で何かに触ったり、そういう可能性も考えられると市長に説明した」