「台湾有事は日米同盟の有事」安倍元首相、習近平主席を名指しで強くけん制 台湾のオンライン講演で
FNNプライムオンライン
安倍元首相は12月1日、台湾のシンクタンクが主催する会合にオンラインで参加し講演を行った。 この中で「中国に自制ある行動を促すにはどうすべきか」「台湾有事は日本有事、すなわち日米同盟の有事だ」などとと述べ、中国を強く牽制した。 【画像】オンライン講演に臨む安倍元首相 安倍元首相は12月1日午前、台湾のシンクタンク「台湾国策研究院」主催のフォーラムで「日台関係の現在と将来の発展」をテーマにオンライン形式で講演を行った。 講演で安倍元首相は「中国にどう自制を求めるべきか。台湾有事は日本有事すなわち、日米同盟の有事でもある。この点の認識を、北京の人々は、とりわけ習近平主席は断じて見誤るべきではない」と語った。さらに「日本と台湾、そして民主主義を奉じる全ての人々は、繰り返し『誤った道に踏み込むな』と、訴えつづける必要がある」と強調、中国を強く牽制した。 また、安倍元首相は「日本と台湾がこれから直面する環境は緊張をはらんだものとなるだろう」と指摘。中国が軍事費の増大を続けていることに言及した上で、「空から、海上、海中から、中国はあらゆる種類の軍事的挑発を続けてくることも予測しておかなくてはいけない」と危機感を示した。 さらに「軍事的冒険は、経済的自殺への道でもある。台湾に軍事的冒険をしかけた場合、世界経済に重大な影響が及び、中国は深手を負うことになる」と述べ、中国を重ねて牽制した。 さらに、日米両国と台湾の議員交流や安全保障分野での対話の重要性を強調。また安倍元首相は以前から親交のあった李登輝元台湾総統の墓参にも意欲を示していて、台湾訪問が実現するかなど今後の動向にも注目が集まる。
政治部
中国、台湾人600人超を海外で逮捕 中国へ強制送還=人権団体報告書
中国、台湾人600人超を海外で逮捕 中国へ強制送還=人権団体報告書
中国が2016~2019年の間に台湾人600人以上を海外で逮捕し、中国に強制送還していたとする報告書を、人権団体が11月30日に発表した。 スペインを拠点とする人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」は報告書で、こうした活動が「台湾の主権を弱めるための道具として利用されている」と指摘している。 台湾は独立国家を自認しており、海外で逮捕された台湾人は台湾へ送還されるべきだと長年主張している。 一方で中国は台湾を分離した省とみなしている。 ■スペインとケニアから多数 セーフガード・ディフェンダーズは、2016~2019年のメディア報道から強制送還の事案をまとめた。それをもとに、強制送還が「海外での中国政府の影響力を強めるために利用されている」とし、中国がこれらの台湾人を「追いつめている」と非難した。 同団体は、中国に送られた台湾人には中国に「ルーツがなく家族もいない」と指摘。迫害や深刻な人権侵害のリスクがあると警告した。 また、複数の国が中国政府との犯罪人引き渡し条約に従うことで国際人権法に違反していると主張。最も多くの台湾人を中国に引き渡している国にスペインとケニアを挙げた。 中国は過去に、台湾人容疑者が起こした事件の被害者に中国大陸の中国人が含まれているとして、いくつかの事例で台湾人を中国側へ引き渡すべきだと主張したことがある。 今回の報告書には、中国に送還された台湾人がどうなるのかについては書かれていない。団体は、中国のテレビで、少なくとも2人の台湾人が公に謝罪する様子が報じられたとした。 ■他国からの引き渡し セーフガード・ディフェンダーズは、2016年にケニアで起きた事件にも言及。ケニア当局は当時、台湾と外交関係がないことを理由に、中国人と台湾人のグループを中国へ送還するという判断を自己弁護した。この集団の中には無罪となった人も含まれていた。 2017年には台湾が、台湾人グループの中国送還を取りやめるようカンボジア当局と何度も交渉を試みたが失敗に終わった。 台湾政府は今回の報告書を受け、中国には海外で逮捕あるいは有罪判決を受けた台湾人に対する「管轄権はない」とし、中国政府が「台湾に対する主権を示そう」としていると指摘したと、AFP通信が報じた。 台湾は、「我々は中国側に、犯罪との闘いに政治が関与してはならないことを再度、強く求める。そして、台中双方の法執行機関が既存の基盤に基づいて協力を続け、効果的に犯罪と闘い、公共の福祉を守ることを望んでいる」と述べたという。 中国側はこの件について反応していない。 中国は「一つの中国」政策の下、中国との外交関係を望む国はまず、台湾との公式の関係を絶たなければならないと主張。これが、台湾の国際社会からの外交的孤立につながっている。 (英語記事 Hundreds of Taiwanese extradited to China: Report)
(c) BBC News
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