パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

マカオである。 中国共産党はマカオの自治権を取り上げて、博打センターから、マカオを深センようにハイテク都市に衣替えしようと、種々の政策を実行に移しつつある。

香港の次は 

マカオに取り掛かった 習近平

 

 

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宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)12月4日(土曜日)
通巻第7146号 
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マカオをカジノ都市からハイテク都市へ 
博打のテラ銭は540億ドル、マカオ歳入の80%
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 習近平は香港の自治を取り上げ、中国の法律を強要し、表現の自由はなくなって、中国の植民地となった。「香港は死んだ」(20年7月1日、産経新聞)。
 ついでマカオである。
中国共産党マカオ自治権を取り上げて、博打センターから、マカオを深センようにハイテク都市に衣替えしようと、種々の政策を実行に移しつつある。
 その魁がマカオ最大の豪華カジノ「ベネチアン」で開催される「テクノ展示会」である。
 中国のハイテク企業から数百社が出店し、企業幹部らがマカオで「次世代ハイテク都市の在り方」などをテーマにパネルディスカッションなども開催予定。トレードフェアで、マカオのイメージを一新しようというわけである。

 もとよりマカオの繁栄の火が消えたのはコロナ禍による。
 年間2800万人が主として中国大陸から押し寄せてギャンブルを展開し、国境から主要なカジノホテルへの無料バスに長い列ができた。バスはピストン輸送で、博徒らをカジノホテルに送り届けた。数万人が長い列をつくる風景は圧巻というより、異常な光景である
 この博徒が中国大陸から来なくなり、マカオの火が消えた。ホテル従業員の多くが解雇された。

 かくいう筆者も何回かマカオへ行っているが、この半世紀の変化たるや目を見張るほどの激変ぶりだった。香港からはフェリー乗り場に数十台のバス、次々と豪華ホテルまで海上橋梁を疾駆し、ベネチアン、MGM、ウィンズ、サンズなどへ送る。帰りのバスは大半が博打で有り金擦って、とぼとぼ組が目立つ。

ハリウッド映画の宇宙都市のように高架のモノレース役からゴンドラで人工湖を亘り、ローマの凱旋門のようなホテルの入り口、ロビィにはスロットマシンの列。ラスベガスよりも、豪華だと言える。

半世紀前は寂れた漁村で、カジノといえばスタンレーホーのリスボアしかなかった。客は殆どが香港からの金持ちだった。周辺は草ぼうぼうの荒れ地で、ときどきギャング同士の出入り(ピストルを撃ち合う)があった。

 様変わりには感動するのだが、マカオの繁栄を苦々しく思っていたのが習近平だった。
 カジノのテラ銭が540億ドル(ラスベガスの三倍ほど)、じつにマカオ自治政府の歳入の80%! 
ついでに書いておくと、マカオのホテル代金は香港より高く、どんな場末に三流ホテルでも24時間のカジノ・バアなどがあり、朝飯会場でもトランプをやっていた。カジノの廻りは「押」(広東語で質屋)ばっかり。

 このマカオを享楽、博打、犯罪のイメージから、一新してテクノ都市に変貌させるというのが習近平の野心である。
 大蛇の前の兔に運命に似て、マカオをまた香港の二の舞を演じることになるのだろうか。

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