パルデンの会

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世界で強まる対中抗議

中国人が殺されている 世界で

強まる対中抗議

 

山田寛の国際レーダー

 

元嘉悦大学教授 山田 寛氏

嘉悦大学教授 山田 寛氏

 今年半ばから世界のそこここで中国人へのテロ、焼き討ち、大抗議デモなどが目立ち、何人も殺されたりしている。

 北京が特に懸念しているのは、パキスタンアフガニスタンなどでのテロだろう。

 パキスタンでは、中国の一帯一路計画の重要な一部、「中国パキスタン経済回廊」建設に大量の中国人が従事している。それに対し過激な自爆テロが頻発した。

 4月に西部のホテルで中国大使を狙った自爆テロが起き、7月に北部で中国人労働者集団への自爆テロで9人が死亡、南部のカラチでも中国人への襲撃があり、8月にも回廊高速道終点の港町グワダルで、中国人の車列が自爆攻撃された。

 みな「パキスタンタリバン」などの聖戦テロ集団の犯行とされる。米軍アフガン撤退決定後、中国の経済収奪へも矛先を向けているのだ。

 アフガンではタリバン過激派政権復活後も「イスラム国」(IS)系ゲリラのテロが続き、10月には北部のクンドゥズ、南部のカンダハルでモスクが自爆攻撃された。クンドゥズの犯行声明は強調した。「ウイグル抑圧に目を閉じ、中国と密接協力するタリバンを罰する」。今後中国が彼らのテロの的となる可能性も強い。

 タリバン兵から攻撃される可能性だってある。現地からの報道では、指導部と異なり「中国はイスラムの敵。今こそ聖戦の時が来た」と言うタリバン兵がかなり多い。ここに中国人が増えれば反中感情に一層火がつくかもしれない。

ソロモン諸島のソガバレ首相(左)と中国の李克強首相=2019年10月、北京(EPA時事)

ソロモン諸島のソガバレ首相(左)と中国の李克強首相=2019年10月、北京(EPA時事)

 一方先月下旬、太平洋のソロモン諸島の暴動で中国人街が焼き討ちされ、3人の焼死体が発見された。一昨年ソガバレ政権が台湾と断交し中国に乗り換えた後も、人口最大のマライタ島は親台湾だった。今回の暴動は、政権の公約不履行+対中傾斜加速に怒ったマライタ島民が首都に押しかけた結果だった。

 この国は国境を閉鎖してコロナ感染者ゼロだが、9月に「中国から帰国できずにいる国民を帰す」特別機を飛ばした。だが乗客は80%が中国人。「国民の安全より中国優先か」と反発が強まった。

 同じころ、アフリカのコンゴ民主共和国でも中国人が2人殺され、13人が拉致された。一帯一路絡みの中国企業の金鉱2カ所が「外国の侵略から利益を護(まも)る」武装勢力に襲撃された。同企業は違法採掘、環境破壊、中国人監督の横暴が指摘され、9月に住民デモも起きていた。

 一帯一路関連抗議は、パキスタンでもテロと別に続いているが、アフリカのシエラレオネでも漁港建設が批判されている。中国漁船団のための建設で観光や環境がダメになるというのだ。

 7月の南アフリカの政治暴動でも、中国外務省は中国系企業と中国人が重大な損害を被り生命も脅かされているとして、保護強化を要求した。

 6月のハンガリーの首都ブダペスト市の「上海復旦大学キャンパス建設」反対デモは、1万人もが参加した。オルバン政権の親中を批判、「中国大学キャンパスは欧州侵入の“トロイの木馬”になる」と叫んだ。反対急先鋒(せんぽう)の市長は、建設予定地周辺道路を「ダライ・ラマ通り」「ウイグル殉教通り」「香港の自由通り」と改名する徹底ぶり。建設賛否を問う住民投票も実施されるという。

 中国西隣のカザフスタンでは、最大都市アルマトイの中国領事館前などで、中国・新疆ウイグル地区の収容所に入れられたと見られるカザフ人の家族らが、抗議の座り込みを続けて頑張っている。

 対中抗議もテロや殺人や拉致は絶対×だ。だが中国も少し学習し反省してはどうか。先週アフリカに10億回分のワクチン提供を約束したが、物量作戦だけでは抗議は止(や)まないだろう。

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(元嘉悦大学教授)