プーチン氏、ウクライナ終戦条件を提示 都市砲撃で11人死亡
ウクライナ第2の都市ハリコフの都心近くで、戦闘により破壊された学校の校舎(2022年2月28日撮影)。【翻訳編集】 AFPBB News
【AFP=時事】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は2月28日、フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領との電話会談で、ロシアによるウクライナ侵攻を終結させる条件を提示した。 【写真】破壊された校舎の前に横たわるロシア兵の遺体 ロシア大統領府によると、プーチン氏は長時間にわたる電話会談で、終戦の条件として、ウクライナの「非軍事化と非ナチ化」を求めたほか、クリミア(Crimea)半島でのロシアの主権承認を西側諸国に要求した。 ロシア軍はこの日、ウクライナ第2の都市ハリコフ(Kharkiv)を砲撃。同国当局によると、少なくとも11人が死亡した。ハリコフ州知事は、重要なインフラもなく、軍部隊も配置されていない住宅地が標的になったと語った。 27日には現地入りしたAFPのカメラマンが、破壊された学校や、焼け焦げたロシア軍用車両数台を確認。街頭には軍服を着た複数のロシア人の遺体も見られた。 ウクライナ当局によれば、24日の侵攻開始以来、子ども14人を含む350人以上の民間人が死亡。国連(UN)によると、国外に避難した人の数は50万人以上に上る。 先週末にはハリコフのほか首都キエフが攻撃されたが、欧米の国防当局やウクライナ政府は、ロシア側に掌握された主要都市は今のところないとしている。ただウクライナ当局によると、南部の小都市ベルジャンスク(Berdyansk)は制圧された。【翻訳編集】 AFPBB News
クリミア主権や非武装が条件 プーチン大統領「絶対的国益だ」
ロシア軍、キエフへ5キロ前進 部隊の75%投入、数日中に包囲か
米国防総省高官は28日、ロシア軍が国境付近に集結させた戦闘部隊のうち75%をウクライナ国内に投入し、首都キエフまで25キロの地点まで前進したとの見解を示した。ウクライナ軍の抵抗により進軍は遅れているが、数日中にキエフを包囲する狙いとみられ、攻撃の激化も予想されるという。 【写真】「ママ逃げよう」「ちくしょう」 ウクライナ東部の都市、砲撃被害か ロシア軍は前日にはキエフの北方30キロ地点におり、1日で約5キロの前進となった。今後は南方にも回り込み、キエフを包囲して複数の方向から圧力をかける狙いとみられるという。「ロシア軍はキエフに向けた進展の遅れに不満を抱いている。戦術を再検討し、より攻撃的になる可能性がある」と高官は指摘した。 ロシア軍は制空権を奪っておらず、ウクライナ空軍やミサイル防衛システムは機能を続けている。ウクライナ側が主要な橋を破壊するなどの抵抗をみせたことで、ロシア軍は想定より早い段階で燃料補給など兵站(へいたん)の問題を抱えるようになったという。米国防総省高官は「ウクライナ側は軽武装や少人数でも創造的な抵抗を続けている。空軍やミサイル防衛の働きも効果的だ」と述べた。
【モスクワ、パリ時事】ロシアのプーチン大統領は28日、フランスのマクロン大統領と電話会談し、ウクライナの「非武装化」や「中立的地位」、クリミア半島におけるロシアの主権承認が問題解決の条件だと主張した。ロシア大統領府が発表した。
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プーチン氏はこれらの「ロシアの安全保障上の正当な利益」が無条件で考慮される場合にのみ、問題解決は可能だと一方的に表明した。ロシアはウクライナとの交渉にオープンだとも伝えた。
一方、仏大統領府によると、マクロン氏はウクライナでの「民間人および住居に対する全ての攻撃を中止する」よう要求し、プーチン氏は同意した。
マクロン氏は即時停戦の必要性を改めて強調し、今後数日間、連絡を取り合うことを提案。プーチン氏も同意したという。ロシアのウクライナ侵攻開始後、両首脳の電話会談は2回目。AFP通信によれば、会談は1時間半に及んだ。
英シェル、露の天然ガス事業「サハリン2」から撤退…三井物産・三菱商事の対応に注目
【ロンドン=池田晋一】国際石油資本(メジャー)の英シェル(旧ロイヤル・ダッチ・シェル)は28日、ロシア極東サハリンの天然ガス事業「サハリン2」から撤退すると発表した。ロシア国営ガス会社ガスプロムとの共同事業を解消する。ロシアのウクライナ侵攻で、米欧による経済制裁が強まっており、事業継続は難しいと判断した。 【イラスト解説】サハリンからのLNGの輸送ルート
27日には英メジャーのBPが、保有するロシア国営石油会社ロスネフチの株式売却を発表しており、海外企業の「ロシア離れ」が相次ぐ可能性がある。
【ロンドン=池田晋一】国際石油資本(メジャー)の英BPは27日、保有するロシア国営石油会社ロスネフチの株式19・75%分を全て売却すると発表した。ロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシアから事実上撤退する。BPのバーナード・ルーニー最高経営責任者(CEO)とボブ・ダドリー前CEOは、ロスネフチの取締役を辞任する。
BPは1990年、モスクワに事務所を開いた。ロスネフチとの共同事業を経て、2013年までに19・75%の株式を取得していた。ルーニーCEOは声明で「ウクライナの状況にショックを受けている。ロスネフチとの関係を考え直さなくてはならず、(売却は)BPの長期的な利益となるはずだ」と述べた。
メジャーなどの資源会社は、原油や天然ガスなどが豊富なロシアで事業を展開するケースが多い。米欧など主要国・地域がロシア企業への経済制裁を強める中、BPに続く企業が出る可能性がある。
英国のクワーテング民間企業・エネルギー・産業戦略相はツイッターでBPの決定を歓迎し、「ウクライナへの侵攻は、ロシアで利益を上げる英国企業への警告だ」と投稿した。
「弱い兄弟国に殴り込み」中国の学者らのロシア批判、SNS上で削除…当局が規制か
【北京=比嘉清太】中国の歴史学者らが2月26日、ウクライナに侵攻したロシアを批判し、プーチン大統領に停戦を求める声明を中国のSNS上で発表したが、間もなく削除された。ロシア寄りの姿勢を示す中国政府の立場にそぐわないと当局が判断し、規制した可能性がある。
声明は南京大の孫江教授ら5人の学者が連名で出した。核兵器国であるロシアが「弱い兄弟国に殴り込みをかけた」と非難し、ウクライナ国民に対しては「痛みを我が事のように感じている」と共感を示した。侵攻は国際関係のルールを踏みにじると指摘し、「不義の戦争に反対する」と強調した。中国政府の立場には言及していない。
声明は、「インターネットサービスの管理規定に違反する疑いがある」として閲覧できなくなったが、その後も画像として拡散されている。