ロシア外相、6歳の少女らが死亡した小児病院爆撃に対する世界の怒りを“哀れなヤジ”とやゆ…海外メディアは猛反発
プーチン大統領(AP)
ロシアのラブロフ外相とウクライナのクレバ外相は10日、トルコ南部のアンタルヤで約1時間半にわたり会談。ロシアのウクライナ侵攻開始から半月が経過し、9日にはロシア軍がウクライナ南東部マリウポリの産科・小児科病院を爆撃。ウクライナ政府によれば、6歳の少女を含む3人が死亡し、出産中だった女性を含めて17人が負傷した。 【写真】ウクライナ東部で砲撃を受けて黒い煙が立ち上る発電所 ロシアのラブロフ外相は、この爆撃に関して「患者はいなかった。病院は長年、ウクライナ軍の極右のネオナチ部隊に占拠されていた」と強弁。さらに、世界中から向けられる怒りについて「ロシア軍が犯した残虐行為とやらに気をもむ“哀れなヤジ”を耳にするのは、これが初めてではない」と冷笑した。 海外メディアも、あきれ返った。英紙ガーディアン(電子版)は「ラブロフは現実よりプロパガンダがお好き」と皮肉る見出しで、会談が不毛な結果に終わったことを伝え、「最も明らかになったのは、ロシアが客観的な事実を“西側のうそ”と再レッテルを貼る実に見事な才能と強迫観念を示したことだ」と切り捨てた。 米紙ニューヨークポスト(電子版)は「驚いたことに、ラブロフ外相は『ウクライナを攻撃していない』と語り、産科・小児科病院への爆撃に対する世界中の怒りを『哀れなヤジ』と片付けた」と伝えた。イタリア放送局スカイTG24も「ラブロフの『われわれはウクライナを攻撃していない』との言葉はシュールレアル(現実を超越している)だ」と評した。
CIA長官「中国主席は動揺」 ロシアのウクライナ侵攻で
米中央情報局(CIA)のバーンズ長官は10日、上院情報特別委員会の公聴会に出席し、ロシアによるウクライナ侵攻で「中国の習近平国家主席が動揺している」と指摘した。北大西洋条約機構(NATO)不拡大などロシアの主張を支持してきた中国の指導部が、ロシアの攻撃による人道被害が増加するに従って国際的な評価を低下させており、戸惑っているとの見方を示した。 【写真】病院に爆撃、そこには妊婦が…戦地は今 バーンズ氏は、中国はこれまでロシアとのパートナーシップに多額の投資をしてきたと指摘し、「この関係が、すぐに変わるとは思わない」と述べた。一方で、習氏に対して中国の情報当局が「ロシアの侵攻で何が起きるかを伝えていなかったように思える」とし、習氏の「動揺」につながっていると分析した。 また、対露制裁などに伴う経済的な影響や、米欧が連携を強化して対応している状況も中国指導部の予想外だったと指摘。中国は米国と欧州を分断する方法を探していたが、ロシアの侵攻で「(分断の)可能性が低いことを示した」と語った。【ワシントン鈴木一生】
キエフ東郊で激しい戦闘、CNN記者が現地からリポート
ドローンからはロシアの戦車が攻撃にさらされる様子が捉えられた
(CNN) 西郊や北西郊で数日にわたって戦闘が続いていたウクライナ首都キエフの周辺地域で10日、今度は東郊で新たな戦闘が発生した。現地で取材するCNN記者が伝えた。 【映像】ロシア軍の戦車を破壊か、キエフ郊外 CNNのクラリッサ・ワード記者はキエフからの生中継で「きょう憂慮すべき展開があった。街の東方、ブロバリーと呼ばれる郊外の向こうでロシアの活動が活発化している」と説明し、取材班が激しい戦闘を目撃したことを明らかにした。 また、ロシアの戦車縦隊が攻撃にさらされる様子を捉えたドローン(無人機)の動画にも言及。映像はウクライナ軍が米軍から供与された「ジャベリン」のような対戦車ミサイルを撃つ場面とみられるという。 戦闘の映像に加え、関連する音声もある。「この動画では音声が聞こえる。戦車部隊のロシア兵が、指揮官が死亡したと言っているようだ」 ただ、ウクライナ兵が持ち場を守る戦闘を続ける中でもロシア軍は攻勢を拡大しており、キエフ市民にとって心配な状況だとワード記者は指摘する。 「狙いはおそらく(キエフ)市の完全な包囲だ。こうした中で多くの市民が足止めされ、激しい戦闘に阻まれて身動きが取れなくなっている」(ワード記者) ワード記者はまた、ウクライナのクレバ外相がSNSで戦争の子どもへの影響を示す動画を共有したことにも触れた。映像はキエフ北西郊のボルゼルという町の避難の様子を捉えたもので、「児童養護施設から運び出された重病の子ども2人のうち1人は、完全に意識がないようだった」という。 ワード記者は戦闘が長引くほど、郊外に住む市民の苦しみも続くと警鐘を鳴らしている。
ロシア側が経営権取得も 外資撤退なら プーチン大統領
閣僚らとのビデオ会議に臨むロシアのプーチン大統領=10日、モスクワ(EPA時事)
ロシアのプーチン大統領は10日、ウクライナへの軍事侵攻を受けて外国企業がロシア事業の停止や撤退を決めた場合、企業の資産を事実上差し押さえたり、ロシア側が経営権を取得したりする可能性があると警告した。 【図解】地図で見るウクライナ情勢 ~ロシア軍ウクライナ侵攻~ 外資の「ロシア離れ」をけん制する狙いがあるとみられ、実施されれば日米欧などの企業に影響が出る恐れがある。 プーチン氏は10日の閣議で「生産拠点の閉鎖には断固とした対応をしなければならない」と強調。「外部による管理を導入した上で、企業を希望者に譲渡する必要がある」とし、「この問題に対して法的解決策を見いだすだろう」と語った。一方で「外国パートナーとの協力にオープンだ」とも述べた。 ロシア紙RBKによると、外国資本が25%以上を占める企業がロシアでの事業を停止する場合、裁判所の判断で外部管理を導入できるようにする法案を与党が提案しているという。
ロシア「中国からの航空機部品購入白紙」…中国、対露制裁に参加か
中国がロシア航空会社に対して航空機の部品の供給を拒否したとロシアのインテルファクス通が10日(現地時間)、ロシア航空当局関係者を引用して報じた。中国政府のコメントが出ていない中、もしこれが事実なら、ロシアに対する中国の制裁参加を意味することになる。 通信によると、この日モスクワで開かれた航空機整備保守(MRO)カンファレンスで、ロシア連邦航空輸送局整備管理局のValery Kudinov局長は「ロシアは航空会社が自主的に部品を供給できる企業を探すように指示した」とし「中国にも要請したが拒絶されたという情報を受けた」と話した。あわせて「他の国から機会を探す」としながら「パートナーであるトルコやインドになるだろう」と明らかにした。 ウクライナ侵攻を巡る西側の制裁でロシアの航空会社が深刻な圧迫を受けていることを認めると同時に、中国からいかなる援助も受けられずにいるという事実が初めて公開された。ロシア外務省は3日、「ロシア旅客機の安全が脅威にさらされている」と明らかにしたことがある。 部品需給問題だけでなく、航空機リースの撤回も火急の問題だ。先月26日、欧州連合(EU)はロシアの航空会社に対する旅客機リース契約を今月28日までで終了し、部品引き渡しや保守契約、航空機保険まで禁止するようにする制裁措置を発効した。これにボーイングとエアバスが参加した。 現在、アエロフロート(Aeroflot)やS7航空などロシア航空会社が運用している航空機980機のうち777機がボーイングとエアバスからリースした旅客機だ。これを購入するか契約を更新することができなければ航空機を返還しなければならない状態だ。 航空業界が混乱に陥るとロシア政府が航空機賃貸費用をロシア貨幣であるルーブル貨で支払うよう示し、賃貸が取り消しになっても返還を禁止するようにした。Kudinov局長は「ロシア企業が海外に登録された航空機をロシアに再登録しようと努めている」と話した。 米国は今月1日から旅客機、貨物輸送機などすべてのロシア航空に対して米領空の運航を中断させた状態だ。ロシアはこれに対抗してEU27カ国と米国、カナダ、ノルウェー、アイスランドなど36カ国の航空機のロシア領空の運航も不許可とした。 こうした中、ロシア航空会社に対する部品供給支援に対する中国政府の立場は不明だ。中国はロシアに対する西側の制裁は「不法」としながら反対の立場を繰り返し表明してきた。
「核兵器を使う可能性」示唆…プーチン大統領の“脅し文句” ラブロフ外相からも
ロシアとウクライナの外相会談は、進展がないなか、物別れに終わりました。ラブロフ外相は「ロシアはウクライナを攻撃していない」と話し、打開策が見通せない状況が続いています。 ■外相同士の会談も…議論かみ合わず 会談の冒頭、コの字型のテーブルで向き合い、ウクライナのクレバ外相が相手を直視しているのに対し、ロシアのラブロフ外相は下を向き、何かメモを取るような姿もありました。 軍事侵攻が始まってから2週間。初めて実現したロシアとウクライナの外相会談です。 世界が注目するなか、1時間半の会談を終えたクレバ外相は、次のように話しました。 ウクライナ・クレバ外相:「24時間の停戦を提案したが、進展はなかった。私の印象では、ロシア側は、現時点では停戦を成立させる気がない。そもそも、前提となる立場が違っていた。私は解決策や決断を託された外相として交渉に臨んだが、ラブロフ外相は『意見を聞きに来ただけ』と言っていた。これだけの温度差があった」 一方、ラブロフ外相は、次のように話しました。 ロシア・ラブロフ外相:「この場で停戦の合意について、話し合う計画はなかった。ベラルーシで行われている停戦協議以外の選択肢はない。ロシアは、ベラルーシで行われている協議で、ウクライナの問題を解決するための議論を行いたい」 前回、ベラルーシで行われた3回目の停戦協議でロシア側は、具体的な要求を提示し、次回の協議でウクライナ側の回答が得られるはずだと明かしました。 停戦協議を重視するロシアと、事態の打開につなげたいウクライナ。その隔たりは大きく、外相同士が直接会ったにもかかわらず、双方の議論がかみ合うことはなかったようです。 ■ロシア外相「攻撃していない」 さらに、ラブロフ外相の口からは、信じられない主張が飛び出しました。 ラブロフ外相:「我々は、ウクライナを攻撃していない。ロシアの安全が脅威にさらされているのだ。これは、ウクライナという実験室で行われている、アメリカ国防総省の実験だ。ロシアが戦争を望んだことは、一度もない。ウクライナ市民は、“人間の盾”にされている。“人間の盾”として、人質になっている民間人を解放したい」 多くのウクライナ人が犠牲になっているなか、ラブロフ外相は「ロシアは攻撃していない」と言い放ちました。 クレバ外相:「相手の主張をずっと聞かされるのは、決して楽ではなかった。それでも私は、人道問題に直ちに対処するよう、何度も訴えた。マリウポリ発着の『人道回廊』設置の合意を持ち帰るつもりだった。しかし、残念ながら、ラブロフ外相から確約は得られなかった」 ■「核兵器を使う可能性」を示唆 そして、プーチン大統領が何度も口にしている“脅し文句”は、ラブロフ外相からもありました。 ラブロフ外相:「核戦争が始まるとは、信じたくない」 軍事攻撃が激化するなかで、この先「核兵器を使う可能性」を示唆しました。 ラブロフ外相に対して、記者からはこんな質問がありました。 記者:「ロシアは本当に、真剣に交渉を行っているのでしょうか?」 ラブロフ外相:「真剣ですよ」 記者:「そうであれば、これまで何か進捗はありましたか?」 ラブロフ外相:「…」 (「グッド!モーニング」2022年3月11日放送分より)