スリランカが「破産」宣言 燃料不足、危機長期化
5日、コロンボで経済危機に抗議する人々(EPA時事)
【ニューデリー時事】経済危機に直面しているスリランカのウィクラマシンハ首相は5日、議会で演説し、国の「破産」を宣言した。 【図解】スリランカ 危機的状況は来年も続く見通しで、混乱の長期化は必至。ガソリンなどの燃料が極度に不足しており、AFP通信によると、給油所で自動車に乗って数日間列に並んでいた60歳の男性が車内で死亡しているのが5日見つかった。 首相は議会で、金融支援獲得に向けた国際通貨基金(IMF)との交渉について説明。地元紙デーリー・ミラー(電子版)によると、「過去には発展途上国として(IMFと)協議してきたが、今は破産国家として協議しているため、交渉はより困難で複雑になる」と述べた。年末にインフレ率が60%に達するとの見通しを示し、「2023年も困難に直面するはずだ。これは真実であり現実だ」と強調した。
「破産」のスリランカ、ロシアに燃料と観光便再開を要請
スリランカ・コロンボで、ガソリンスタンドに並ぶ三輪タクシー(2022年7月6日撮影)。【翻訳編集】 AFPBB News
【AFP=時事】スリランカのゴタバヤ・ラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領は6日、同国が陥っている史上最悪の経済危機を乗り切るため、ロシアに燃料の供給と観光便の再開を要請したことを明らかにした。 【写真】スリランカ・コロンボで行われた反政府デモで、警官と衝突する参加者 スリランカでは、輸入に充てる外貨が尽きたことから、数か月にわたり停電や物価高騰、食料やガソリンの深刻な不足が続いている。ラニル・ウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)首相は5日、同国が「破産した国」となったと述べ、経済危機が少なくとも来年末まで続くとの見通しを示していた。 ラジャパクサ大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と話し、燃料の緊急貸与と両国間の旅客便再開を要請したと説明。両大統領が観光や貿易、文化などの分野での関係強化で合意したと述べた。 アエロフロート・ロシア航空(Aeroflot Russian Airlines)は先月、支払い関連の問題をめぐり、スリランカの裁判所が同社の旅客機を一時差し押さえたことを受け、同国への運航を停止していた。 米国と欧州連合(EU)は、ロシアが2月にウクライナに侵攻したことを受け、ロシア産原油に対する禁輸措置を導入。スリランカは5月、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ(Dubai)の業者を介してシベリア(Siberia)産原油約9万トンを購入したのを最後に、輸入に必要なドルが尽きていた。 侵攻開始前、ロシアとウクライナはいずれも、スリランカを訪れる観光客の数で上位の国だった。危機の深刻化を受け、欧米諸国とオーストラリアは自国民に対し、スリランカへの渡航を避けるよう勧告している。【翻訳編集】 AFPBB News