パルデンの会

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医師が「うつの8割は首の治療で改善する」  試してみてはどうだろうか?????

上島竜兵さんを番組で診察した医師が「うつの8割は首の治療で改善する」と語るワケ

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 渡辺裕之さん(享年66)、上島竜兵さん(享年61)とだれもが知る芸能人が続けて自ら命を絶ったことで、自死の連鎖が心配されている。その対策として浮上するのが、うつ病をはじめとする心のケアだ。ところが、その治療よりも欠かせないことがあるという。首の治療だ。どういうことなのか──。

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「あのとき、積極的に首の治療を勧めていれば……」

 こう悔やむのは、東京脳神経センター理事長の松井孝嘉氏だ。松井氏は、いわゆる自律神経失調症のさまざまな症状が、首の筋肉の凝りによることを世界で初めて突き止め、頚性神経筋症候群と命名。治療法を確立し、成果を上げている。その実績から2007年、「午後は○○おもいッきりテレビ」に出演。首を診察したゲスト4人の中に上島さんがいたというのだ。

「首の状態は、上島さんが4人の中で最も悪かった。それでも、当時の状態は、治療を勧めるかどうか判断が分かれる微妙なところでした。ご自身に困った様子はなく、積極的に治療を勧めることはなかったのですが、このようなことになると、悔やまれます」

 当時の上島さんの首の状態は確実に治療が必要なほどではなく、あくまでもグレーゾーン。それに加えて、番組での診察から15年が経過する。当時の首の状態と先日の悲劇の結末を結びつけるのは難しいだろう。

 それでも松井氏は、「一般論として首の異常を軽視するのはよくない」と警鐘を鳴らす。松井氏に詳しく聞いた。

 

パソコンと切り離せない現代人の生活

写真はイメージ(C)PIXTA
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 いまの仕事には職種を問わずパソコンが不可欠で、長くモニターを見つめていると姿勢は前かがみになる。仕事を離れた日常生活でもスマホタブレットが定着。サラリーマンもそうでない人も多くの時間で、視線に引っ張られて頭が前に出る状態を余儀なくされるわけだ。その悪い姿勢が首の筋肉をじわじわと痛めるという。

「首の骨は本来、ゆるやかなS字カーブを描いていて、6キロ前後の頭の重さをうまく吸収する仕組みになっています。ところが、前かがみの姿勢を続けると、S字を失ってストレートネックになるため、重さを吸収しきれず、首の筋肉への負担が増す。その蓄積で首の凝りが慢性化して悪化し、自律神経が障害されるのです。自動車事故などのむち打ち症や転倒などで頭や首に物理的な衝撃が加わると、そのリスクはさらに高まります」

 自律神経は、交感神経と副交感神経からなる。2つが対で脳から伸びて臓器や器官などを調節している。交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキとして働く。血圧や心拍数、体温、内臓の動き、瞳孔などあらゆることが自律神経によって調節され、その障害によって頭痛やめまい、疲れ目、下痢や便秘、倦怠感、不眠症といった身体症状が表れ、精神面ではイライラや不安、集中力低下、うつといった症状につながる。

 

自律神経失調症は薬では治らない

めまいや立ちくらみの症状も
めまいや立ちくらみの症状も
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 松井氏が頚性神経筋症候群を発表する前、この自律神経の異常は自律神経失調症としてとらえられていて、今なおストレスからちょっとした不定愁訴を重ねた患者に対してそう診断されることは珍しくないだろう。上島さんの前に亡くなった渡辺さんも、コロナ禍にこの診断を受けている。妻で女優の原日出子さん(62)は夫の死を受けて、こんなコメントを発表した。

「コロナの最初の自粛の頃から、人一倍家族思いで心配性な夫は、先行きの不安を口にするようになり、考え込むことが多くなりました(中略)。『眠れない』と体調の変化を訴えるようになり、自律神経失調症と診断され、一時はお薬を服用していました」

 その治療の効果についてこう続けたのだ。

「しかし、少しずつじわじわと、心の病は夫を蝕み、大きな不安から抜け出せなくなりました。医師にも相談し、希望の持てる治療を始めた矢先の、突然の出来事でした」

 自律神経失調症の薬物治療は思うような効果が見られず、新しい治療に切り替えて間もなくの不幸だったようだ。このコメントにこそ、従来の治療の限界が見て取れるだろう。

「精神科や心療内科などで自律神経失調症と診断されると、自律神経調整薬や症状に応じた薬が使われます。しかし、それでは十分な効果が得られないのが現実です。根本の首の異常を治していませんから」

 それで患者は、不眠症なら睡眠外来、腹痛や下痢がつらいと消化器科、めまいや立ちくらみだと耳鼻咽喉科、動悸なら循環器科、肩凝りや腰痛には整形外科、不安がひどいと精神科……といった具合に医療機関をハシゴしているうちに、首の異常から生じる頚性うつにさいなまれるように。頚性うつと、精神性うつとは決定的に違い、厄介なのは頚性うつだという。

 

精神性より5倍も高い自殺リスク

東京脳神経センター理事長の松井孝嘉氏(C)日刊ゲンダイ
東京脳神経センター理事長の松井孝嘉氏(C)日刊ゲンダイ
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「精神科で診断されるうつ病、あるいは、そううつ病うつ状態では、『理由のない悲しみ』が特徴的で、悲しみから目に涙をためていることがよくあります。首の異常による頚性うつでは、このような悲しみはあまり見られません。代わりに全身の倦怠感が強く出ます。その強い倦怠感が要注意。自殺を招きやすく、頚性うつは、精神性うつより5倍も自殺リスクが高いのです」

 頚性神経筋症候群が十分には認知されていないせいか、一般の精神科などでは、頚性うつも精神性うつと同じように扱われ、抗うつ薬抗不安薬のほか、電気けいれん療法(ECT)が行われることが珍しくない。頚性うつなら、原因は首だからこれらの治療は効かないどころか、薬の副作用で苦しむことさえあるという。

「私のところに来られるうつと称する患者さんのうち、精神性のうつは1割に満たず、9割以上が頚性うつです。では、頚性うつをどうやって治すか。首への低周波刺激による理学療法を中心に十分な休養をとっていただき、原則として薬は使いません。その結果、抑うつ状態の改善率は78.1%に上るのです。その成果は論文にまとめ、2020年1月14日に国際的医学誌『ヨーロピアン・スパイン・ジャーナル』に掲載されています」

 医療機関をハシゴした人は、その期間が5~10年に及ぶ人がザラ。数十年という人も少なくないそうで、「自殺に失敗した人もいます」という。かなりつらい状態でも、頚性うつなら首への治療を続けるうちに、暗かった表情が少しずつ明るくなり、笑顔が増える。服の色のチョイスなども、明るい色に変わってくるそうだ。

「頚性神経筋症候群で自律神経が障害された状態は、ブレーキ役の副交感神経が働かない状態。アクセルを踏み続けるようなもので、精神性うつより衝動的な自殺が増えると考えられます。でも、その頚性うつには、治療法がある。パソコンやスマホがこれだけ普及している以上、首の異常はだれしも起こしうるでしょうから、そのことを知っておくことはとても重要です」

■ストールやホットタオルをうまく活用する

 ただし、自分で首をもんだり、叩いたりするとかえって状態を悪化させやすい。対策を講じるなら、首を冷やさずに温めることだという。

「これから暑くなると、冷房で首回りが冷えるので、オフィスではストールなどを首に巻いて保温するといいでしょう。時々、ホットタオルなどで適度に首を温め、血行をよくするのはよりベターです。とにかく首の筋肉を緩める工夫が大切でしょう」

 首は、生まれてから死ぬまで頭を支え続ける縁の下の力持ち。そんな“黒子の悲鳴”が頚性うつとすれば、折に触れて休ませることは必要だろう。

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厚生労働省のホームページで紹介している主な悩み相談窓口

いのちの電話 0570-783-556(午前10時~午後10時)、0120-783-556(午後4時~同9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)

▽こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)

▽よりそいホットライン 0120-279-338(24時間対応) 岩手、宮城、福島各県からは0120-279-226(24時間対応)