パルデンの会

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 在米の中国人弁護士殺人事件と海外警察の関連は?    中国を批判するとテロの対象になるらしい

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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)2月1日(水曜日)
        通巻第7615号 
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  在米の中国人弁護士殺人事件と海外警察の関連は?
   中国を批判するとテロの対象になるらしい
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 1976年から十年間、筆者は貿易商社を経営していたので取引先の関係から台湾からの留学生三人と、大陸からの留学生ひとりの身元保証人を引き受けた。いまと違って留学条件は厳しく保証人は納税証明など数枚の書類が必要だった。

 台湾が自由選挙に移行したのは1996年だが、80年代には党外雑誌が堂々と道ばたで売られていたうえ、警察も見て見ぬふりをしていた。
飲み屋では反国民党の活動家がよく国民党員と喧嘩をしていたが、なにしろ戒厳令は敷かれたまま、事実上は国民党独裁だった。

 その時代の話である。
「留学生の中に注意人物がいます。つまり留学生の動向を監視、どこかに報告しているので、本当の友人にしか本心は話せない。読書だって何を読んでいるかは分からないようにしている。台湾で禁書扱いの書籍は町の図書館で読むほどですよ」と台湾からの留学生が言った。
台湾ですら、そんな時代。いま騒いでいる中国の海外における警察派出所なるものは大使館直結ではまずいので、町へ出て民間を装わせているのだろう。

 海外警察の拠点は世界に散った華僑たちは出身地別の「同郷会」と連結する。シンガポールでも通りによって金門通りとか厦門通りがあり、ヤンゴンのチャイナタウンは細かな出身地別の同郷会オフィスが軒を並べていて壮観である。
 世界的なチャイナタウンの代表格はNYだが、通りによって出身地別の見えない仕分けがされており、また大まかに言えば旧チャイナタウンはダウンタウン南端からリトルイタリアを飲み込み、ブロードウェイを挟んで対岸ソーホー地区まで拡がった。ここでは中心部が広東勢、そして福建省出身者で占められている。

 NYのラガーディア空港に近いフラッシング地区に拓けた新チャイナタウンは近年の移住組が多く、それも共産党を嫌う人々や天安門事件後に移住してきた華人が多い。ちなみに法輪功の本場もこちらのほうである。

 海外警察は中国共産党統一戦線工作部系と国務院華僑務弁事処系の二つの系列がある。世界54ヶ国に110ケ所。一番古いのはイタリアのプラトーだという。
ファッションと皮革製品の町だったプラトーは中国人移民が多数這入り込んできて、気がつけば不法移民も含めて五万人。工場の多くが中国人に乗っ取られていた典型例である。

 在米中国人はいいまや500万人と言われ、「海外警察拠点はNYだけでも六カ所、ロスにニケ所のほか、ヒューストン、サンフランシスコ、ソートレイクシティなどにも。
 しかも同郷会オフィスが拠点となって表向きは「自動車免許の更新、弁護士紹介、相互助け合い」など家族親戚ならびに同郷人の絆は強い。
これが中国の伝統である。


 ▲NYチャイナタウンで弁護士が殺害された

 既報の、FBIが手入れしたNYの拠点は「長楽会」のビルだった。NYイーストブロードウェイ107番地。筆者の定宿に近いので見知った建物である。
福建省の長楽は不法出国のメッカとして知られ、いつぞやはドーバー海峡をこえてきた保冷車で39名だったかが遺体で発見された。全員が長楽出身だった。

 さて海外警察は在外中国人の見張りである。ときに反体制派の動向を監視し、人物を割り出すと中国に残る家族を「人質」として帰国をうながすのである。帰国したら最後、収容所へ直行となる

 NYフラッシングで開業していた弁護士の李進進は元天安門事件活動家、昨年3月14日に殺害された。華字紙によれば中国から殺し屋が派遣されたのだとする。単に痴情のもつれとする解説もある。犯人は女性だった。

台湾マフィアの竹連幇が在米作家を暗殺した事件を思い出した。
1984年10月にロス郊外で起きた「江南事件」とはアメリカ在住の台湾人作家・江南(筆名)が勝手に蒋経国伝を書いたために暗殺された。アメリカ政府は中華民国政府に圧力をかけ、台湾民主化のきっかけになったとも言われる。

 「民主の壁新聞」(西単の壁)時代のリーダーだった魏京生は、合計18年も刑務所にぶち込まれた筋金入りの民主活動家。97年にアムネスティなどの圧力で病気治療を理由に渡米し、すでに四半世紀。魏京生は72歳となった。

 2022年五月、運転中の前後を車に挟まれ、事故に見せかけての謀殺寸前になったという(博訊新聞網)。

 世界的に有名な中国人アーティストのアイ・ウェイウェイは、北京のスタジオがブルドーザで破壊され、所蔵作品数万点が消えたという。
アイはポルトガルに現在、スタジオを建設している。五月にロンドンで新作展示会を開催すると意気軒昂だが、かれほどの名声に達しない若い芸術家は制作に干渉を受けているという。

 1月26日、上海吉峰書店(有名なランドマーク書店だった)の経営者が店を畳んで米国へ移住したところ、家族が脅迫され帰国する羽目に陥った。
 海外警察の暗躍は続いている。

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