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「中国も必ず変わる」 チベット亡命政府首相独占インタビュー

2023年02月27日17時12分

「中国も必ず変わる」 チベット亡命政府首相独占インタビュー

【ワシントンD.C.(米国)AFP=時事】チベット問題をめぐっては、中国側に譲歩の構えは一切見られない。チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世もすでに高齢だ。そうした中、チベット亡命政府ペンパ・ツェリン首相はAFPのインタビューで、将来を展望する上で歴史を振り返ることが有益だとの考えを示した。(写真は、米首都ワシントンでインタビューに応じたチベット亡命政府ペンパ・ツェリン首相)

少数民族の同化推進 言語や宗教、「共同体」優先―中国

 チベットの顔として世界的に知られるダライ・ラマは現在87歳。ツェリン氏は2021年、その後継問題に道筋をつける計画の一環として、インドに本拠を置く亡命政府の「シキョン(政治最高指導者)」に選ばれた。1967年生まれのツェリン氏は、同国で生涯を過ごしてきた。
 今月、ワシントンを訪れたツェリン氏は米議会に、チベットをめぐる法案への支持を訴えた。1950年代に中国に武力で併合されたチベットは歴史的に独立国だとうたう一方、現在の地位が中国の自治区とされているのは問題が「未解決」であることの表れであると確認する内容だ。
 ツェリン氏はしかし、チベットの独立を求めているわけではないと強調した。強大な中国に対し、「自治権以上」の要求を突きつければ自殺行為につながりかねないと考えるダライ・ラマの「中道」路線に沿ったものだ。
 ただしダライ・ラマは、チベットは歴史的に中国の一部だとする中国政府の主張を拒絶している。それを理由に中国側は2010年以降、チベット亡命政府との対話を拒否している。
 「チベット中華人民共和国の一部だと繰り返し表明することは国際法に反すると、われわれは各国政府に伝えている」とツェリン氏は語った。
 超党派の支持を得た今回の法案が提出されたのを受け、在米中国大使館は反発。大使館報道官は「チベットを中国の一部と認め、『チベット独立』を支持しないとの従来の立場を堅持するための具体行動を米国に求める」とするとともに、「チベット問題に乗じて中国の内政に干渉するのをやめるよう求める」とも述べた。
 ■「諸行無常
 ツェリン氏は、中国と直ちに対話を再開するのは「難しい」と認めながらも、希望を捨てていない。
 「仏教徒として、われわれは不変を信じていない。諸行無常ということだ」とツェリン氏は話した。「中国も必ず変わる。問題はそれにどれくらいの時間を要するかだ」
 だが、最近の中国は批判を受け入れない姿勢を強めている。香港で(民主化運動を)弾圧し、台湾沖では大規模軍事演習を行った。イスラム少数民族ウイグル人に対する「ジェノサイド(集団殺害)」をめぐっては、米国から非難されている。
 ノーベル平和賞受賞者でもあるダライ・ラマは、かつて精力的に世界を回っていたが、近年は行動に陰りが見られる。中国側としては、ダライ・ラマが亡くなればチベット亡命政府大義も尻すぼみになるとみて、対話を封印しているというのが観測筋の読みだ。
 ツェリン氏はこれを否定した。亡命政権として民主制度を確立するという数少ない成功例となったダライ・ラマの取り組みは、「必要ならあと何十年かかってもわれわれが闘い続けられる勢い」をもたらしてくれるだろうと話した。
 亡命チベット人は、ダライ・ラマ14世が亡くなった後の欧米諸国との協調についても静かに語り始めている。米国はすでに、中国のいかなる選択をも認めない姿勢を示している。
 1995年、中国政府はチベット仏教第2の高位者パンチェン・ラマを独自に任命する一方で、ダライ・ラマ14世がパンチェン・ラマとして認定した当時6歳の少年を拘束した。人権団体はこの少年を世界最年少の政治犯と呼んでいる。
 輪廻(りんね)転生するとされるパンチェン・ラマの認定は、ダライ・ラマにのみ委ねられるものだとツェリン氏は指摘する。
 「中国は人的にも資金面でもあらゆるリソースを手にし、プロパガンダや他国への押し付けにたけている」とツェリン氏。「しかし彼らとて、つかみどころのないものを相手にすることはできない。プロセスを一切見せないという法王(ダライ・ラマ14世)の決断は非常に賢明だと思う」【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕

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