パルデンの会

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「2012年体制」に対する異議申し立て集団

2014年2月11日 青木直人
 
●私は東京都民ではなく、今回の選挙については部外者であり、第三者的立場にある。
●私が注目していたポイントは選挙における自公体制の協力体制と枡添候補の獲得総数である。後で解説するように、数年前から言い続けている「2012年体制」の中軸になるのが、この政治勢力である。
 
●「2012年体制」とは「55年体制」が冷戦以後、さまざまな過程を経てきた日本がこれまで以上に、米中主導のアジア新秩序に政治外交という「身の丈」を合わせることを求められる状態を指している。
 
●具体的には
①「敗者の歴史観」(「みんな日本が悪かった」論)が「公式的な歴史観」として確立し、内外において更に広く共有されてゆく。他方、そうした「歴史観」に疑問を持つ者たちには「歴史修正主義者」のレッテルが張られ、時にはそれは外交問題にまで及ぶだろう。日本は今以上に世界の「賊軍」となる。
②これまで米中対決の舞台であった「朝鮮半島」と「台湾海峡」において、両国間で「対決回避」と「緊張緩和」のための政治的システムが模索される。当然、日本もそうした枠組みの追認を求められる。
朝鮮半島において、今後、冒険主義的な北朝鮮先軍政治」路線の排除と中国資本導入による「開放」が本格化する。これを米国も歓迎し、コマーシャルベースには到底合いそうもない北朝鮮の交通インフラへの膨大な投資は日本が受け持つ。東北開発と環日本海経済圏構想に意欲的な中国資本は米国と協調しつつ、そうした方向に日本を引き込もうとするだろう。中国、米国、ロシア、韓国が求めるのは「民主的な朝鮮」ではなく、「安定した朝鮮」である。こうした朝鮮半島「再建」のための最大の「障害」が日本人拉致問題だ。米中はこの解決に極めて冷淡である。日本に対しては「カネを出せ!拉致は忘れろ!」という「国際世論」が形成されてゆく。
 
台湾海峡では民進党の大統領選挙敗北と台湾資本の対中投資の急増で、独立の動きはほぼ封じ込められた。独立派の敵は中国だけではなく、米国国務省もそうなのであり、背景にあるのは対立と協調の両側面をもつ米中関係の現実である。
第2期オバマ政権はこうした枠組みを堅持する。
●これが「2012年体制」であり、私はこのことをあらゆる機会に語り続けてきた。そして、こうした米中が主導する制度的枠組みの最大の不安要因が日本人の覚醒しつつあるナショナリズムの行方なのである。そうした点を踏まえて言えば、どれほどの日本人が気づいているのかどうか不明だが、米中両国の潜在的な脅威こそ「ナショナリスト安倍晋三の外交的方向性なのである。民主党は打倒され、「拉致」と「尖閣」が今以上に日本人の愛国心を揺さぶろうとしている。世界は帝国主義化し、日本もそれに対抗し、内的な「帝国主義」化に向かわざるを得ない。
そして、こうした安倍政治の「獅子身中の虫」、「内なる敵」こそ公明党創価学会の存在であり、ドン・池田名誉会長と中国共産党の知られざるつながりの深さなのである。公明党の「平和論」は「帝国主義の時代」に説得力を持ちえない。こうした自公体制に亀裂を入れない限り、日本は「2012年体制」から徹底的に収奪される存在となり果てる。そればかりか、「平和」の名のもとに、さらに「戦後」が続いてゆく。最大の被害者は20~40代の青年・中年層である。彼らに突き付けられる世界各国からの「請求書」の金額が減ることはないからである。

●そうした選挙結果、田母神候補の獲得した61万票は枡添候補の「自民」「創価学会」「連合」票、宇都宮候補の「社民」「共産党」の票、さらに細川の「諸票」とは別の新しい未組織の政治的階層が登場したことを意味している。「2012年体制」に対する異議申し立て集団である。彼らを単純に「保守」と言えるのかどうか。むしろ、帝国化する世界の中で、民族の防衛本能に覚醒したネオ・ナショナリストたちの胎動ではなかったのか。
田母神俊雄」と投票用紙に書いた60万人の民意がやがては荒野を焼きつくすことができるのかどうか。

観察すべきはここである