パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

業界は真っ青になっている。過剰投資、過剰在庫、そして価格暴落。


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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成26(2014)年5月6日(火曜日)
       通巻第4219号   
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中国、石炭、鉄鉱石輸入への貿易金融を大調整か
港に積み上げられた石炭、鉄鉱石滞貨はすでに3000万トンを超えた


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 中国の31の港湾に滞貨されている石炭、鉄鉱石は3000万トン。ほかに国内の炭鉱や製鉄所に山積みの石炭、鉄鉱石を合計すると余剰在庫は一億トンになる(『星島日報』豪州版、2014年5月1日)。

 輸入された原料には貿易融資による金利が付帯する。つまり在庫に税金がかかるように、貿易決済は銀行間のバイヤーへの融資であり、金利がかかるのは常識である。
 
 銀行団は、こうした滞貨の山を目撃して新しい融資を抑え始めた。中国の場合、3ヶ月から6ヶ月の融資というスパンで、金利は年利15%から30%だという(同紙)。

 一方で鉄鉱石と石炭の価格は値崩れを起こし、前年比で13%の失速。償還時期に遭遇しても輸入代金の決済が出来ない。だからますます滞貨が増える。その利息だけで米ドル換算で40億ドルに相当し、深刻な状態となった。

 これが直接的に跳ね返るのは、石炭と石膏席などの輸出国である。とくに豪州は鉄鉱石輸出で中国が最大のお得意様だったため、業界は真っ青になっている。過剰投資、過剰在庫、そして価格暴落。いよいよ中国経済の断末魔が聞こえる
 
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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26(2014)年 3月20日(木曜日)弐
    通巻第4191号
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いよいよ中国バブル崩壊がはじまります
不動産大手、経営破綻。社債デフォルト。おわりの始まり

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 中国の大手デベロッパーが倒産した。
 いよいよ不動産バブルの崩壊が本格化する。中国経済の狂乱はおしまいである。
 浙江省奉化市に本拠を置く「浙江興潤置業投資」の経営破綻。負債総額は発表された分でも35億元(580億円)。
七割が銀行からの借り入れ、のこりが「理財商品」として投資家に売られた。全部が焦げ付くから連鎖倒産は必定である。

理財商品の総計は326兆円(社会科学院)とすくなく見積もられていたが、どうやら500兆円はありそうである。日本のGDPに匹敵する不良債権が顕現するのだ。

 浙江省奉化市公安当局は、「浙江興潤置業投資」の役員ふたりを「インチキ投資を呼びかけた」として逮捕し、起訴する方針という。
 ということは全土の不動産デベロッパー経営者の大半を捕まえなければいけなくなるだろう。投資家の心理をなだめるための見せしめ逮捕だろうが、浙江商人は「えげつない」と評判の悪い地域であり、日本企業が密集している。

 なかでも温州商人は「ものすごくえげつない」と言われるのだが、温州経済は二年も前にバブルがはじけ、経営者の自殺、逃亡が相次いでいる(拙著『出身地を知らないと中国人はわからない』ワック、参照)。

 すでに社債デフォルトも始まっており上海の「超日太陽能科技」の社債利払いが不能となった(元金10億元。利払い8980万元(15億円))。

 以前にも連鎖デフォルトがおきている。
 1998年、「広東国際信託投資公司(GITIC)」が1億2000万米ドルのデフォルトに陥り、ドミノのように数百のCITIC(地方名を冠した投資信託機構)が破綻。地方政府が債務保証すると信じて投資した邦銀も合計数百億円の損失を被った。
羮に懲りて膾を吹くように、以後、邦銀は怪しげな投資信託への出資をしていない筈である。

 ▲バベルの塔、バブルの塔

おりしもドバイショックの再来が間近である。
 つい一週間前、アブダビはまたまたドバイへの緊急融資を発表した。三年前のドバイショックでは最悪の被害者が中国の温州投棄集団だった。手痛い焦げ付きで、爾来ドバイのチャイナタウン建設は中断された。

 産経新聞(2014年3月20日)に拠れば「『超高層ビルの呪い』と呼ばれる歴史的なジンクスがある。ニューヨークで31年に完成した『エンパイアステートビル』(443メートル)は29年に始まった世界恐慌に重ね合わせて語られた。ドバイでもショックの翌年1月、世界一の高さを誇る『ブルジュ・ハリファ』(828メートル)が建った。
 ジンクスが正しいのか、歴史は繰り返すのか。中国ではいま上海の国際金融センターで、15年完成をめざして竜が空に昇る姿をイメージした外観の超高層ビル『上海センター』(632メートル)の建設が進んでいる」
(ちなみにこの上海金融センターは101階建て森ビルの隣、102階建ての予定)。

  これから中国で始まるのは320兆円規模の地方政府債と500兆円規模の「理財商品」のデフォルト本格化である。

 さらに注目は石炭と鉄鋼業界の苦境である。
 2011年から石炭業界は過剰在庫になやみ、「山西連盛集団」などは一万人の従業員への給与遅配が生じたが銀行は貸し渋りに転じた。
 民間炭坑は国有銀行からの融資が受けられないため閉鉱が相次いでいた。

 石炭はピークを打った。2000年代に四倍に跳ね上がった石炭価格が二割から三割下落し、国際価格も暴落したため海外炭のほうが安い。
 鉄鉱石もインドや豪で余りだした。
 粗鋼生産6億トンという異常な生産過剰、在庫過多におちいった鉄鋼業界は再編を余儀なくされ、あちこちの鉄鋼所で火が消えた。
 かくして「中国の時代」は終わる。