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パキスタン「赤いモスク事件」の残映  最高指導者はISIL支持を表明、中国が警戒強める



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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26年(2014)8月25日(月曜日)
     通巻第4322号
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パキスタン「赤いモスク事件」の残映  最高指導者はISIL支持を表明、中国が警戒強める

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 パキスタンと中国は軍事同盟である。この両国の緊密な関係は半世紀以上も続いており、中国はインドへ軍事的に対峙させる代理人としてアジア最大の同盟国として扱い、多大な軍事援助をしてきた。
しかしこの軍事同盟は脆弱な死角がある。
 「アンチ中国」を標榜する宗教指導者がいるからである。

 2007年四月、イスラマバードにある中国人経営の「マッサージ・パーラー」が「いかがわしい商売をしている」として神学校の生徒らが襲撃し、中国人七人を人質に立てこもった。警官隊と銃撃戦となり、中国人三人が殺害され、中国政府はパキスタンに厳重に抗議した。
 イスラムの聖戦を信じるかれらは無神論の中国人を敵視してきた。このマッサージ・パーラーを名乗る淫売屈襲撃の背後にはイスラム過激派の神学生とパキスタン軍情報部が協力したと噂された。

 同年七月、イスラマバードの「赤いモスク」を、警備網を突破した神学校のイスラム過激派の学生らが襲撃し、ムシャラフ政権(当時)の米国に傾斜する政策を「イスラムの戒律に反する」と抗議し、占拠した。

タリバンに同調する彼らはムシャラフ大統領(当時)がアフガニスタンタリバン攻撃のため、米軍に四つの空軍基地を化したことに抗議し、ジハードを戦っているタリバンを守れと訴えた。占拠は一週間続き、モスクの周りを軍が囲んだ。

軍の特殊部隊が動員され、とくにムシャラフに忠実な部隊が機関銃などでモスクを襲撃し、最低百名の神学生が殺害された(パキスタン筋は最大千名の犠牲が出たと主張している)。

パキスタンイスラム指導者で赤いモスク占拠を扇動したとして精神的指導者でもあるアブダル・マウラナ・アジス師を逮捕した。しかし裁判所は「アジス師は無罪である」として釈放、同時に二十四件の関連訴訟を取り下げた。
パキスタンの裁判所はイスラム法を厳格に守るので、後日、弾圧を指導したムシャラフ前大統領を逮捕したほどだった。

米国はムシャラフ退陣のあと、パキスタンの於ける軍事行動が難しくなった。情報が漏れ、アフガニスタンにおいて米軍兵士、NATO軍兵士が、次々と犠牲となった。
凶暴なタリバンの襲撃が繰り返される。
パキスタン軍の情報部が思想的に共鳴するタリバンに米軍の機密を流しているからで、ついにオバマ政権はカンダハル総攻撃を無言のまま、取りやめた。
替わりに今度はパキスタン軍情報部には知らせず、イスラマバードに潜んでいたビン・ラディン邸宅を急襲し、殺害した。


パキスタンムスリムの精神指導者アジス師がISILを支持していた

さて、このパキスタンムスリムの精神的指導者アジス師は、最近、イラクで暴れるイスラム過激派の「イスラム国」を支持すると発表した。これは衝撃的な事件である。

ISIL(イスラム国)はイラクがかたづけば、次の攻撃目標は中国である、と聖戦の継続と拡大を宣言しており、この動きに神経をとがらせる北京はアジス師の動向監視をパキスタン政府に要請した模様という。

8月23日、中国は昨秋の北京天安門炎上テロ事件の関係者、八名をテロリストとして処刑した。全員がウィグル人だった。同日、湖南省南部にあるカルト集団「全能神」本部を手入れし、信者千名を「カルトの狂信者」だとして、拘束したことも発表した。

ISILはすでに中国に触手を伸ばしておりウィグル人のイスラム教徒過激派多数が軍事訓練に参加している。ISILは七千名の外人部隊で成り立っており、ウィグル人多数が加盟しているとされる。
北京にとってはやっかいな問題が再浮上した。

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