パルデンの会

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香港の学生デモ鎮圧に中国軍はやる気満々 天安門事件の教訓から読み解く軍見解のロジック


支那共産党の頭の中は チベット征服完了虎の巻 があって 誰でもチベットのように
征服できると思っている。
しかし これだけ情報が伝わる時代 人間の基本的な権利を簡単に犯すことはできない。
香港人も 学生に任せず自分たちの 次の世代のことを考えるとこれでいいのか?
という反省が出るはずである。 富むことは 金に富むだけでなく 人間として富むことも
必要となり、要求されて来る。 衣食足りて初めて権利に対する必要性が痛感される
はずだが、 支那人の取っている道は遠い道のりである。

そして チベットウイグル、モンゴル、台湾、香港が 1国2政策という支那の嘘話に
連合して叛旗を翻す お手伝いは われわれ日本人の戦前から続く使命かもしれない。

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香港の学生デモ鎮圧に中国軍はやる気満々
天安門事件の教訓から読み解く軍見解のロジック

2014年10月09日(木)弓野正宏

 香港警察による催涙弾の使用でにわかに混迷の様相を呈した香港での抗議デモで、北京政府による軍動員の可能性が指摘されている。デモ鎮圧への武力使用の可能性は中国の新聞メディアによる出動を示唆する論評などで現実味を帯びたが、10月第2週目に入り、一部の学生は学校に戻り、学生側代表と香港政庁の対話も行われ、緊張は収まりつつあるかに見える。

 とはいえ学生側の要求が何一つ実現されていない以上、デモが繰り返される可能性は高く、汚職取締りや人事異動、機構改革で解放軍は現在不安定な状態にある。こうした軍の強硬姿勢は変わっておらず、引き続き注視する必要がある。欧米や日本では天安門事件のような流血事態の再発可能性は低いと見られており、常識からいえばその通りだが、中国政府や軍が考える群集騒擾事件に対する考え方は日本で考えられるような合理的思考からは大きく逸脱しているから必ずしも楽観視できない。

「中国本土の武警はいつでも出動可能」

 そこで軍の香港デモに対する考えを窺える2本の新聞記事を紹介したい。一つは中国共産党機関紙『人民日報』系統に属する『環球時報』に掲載された武装警察(通称、武警)出動の準備が整っているという論評、もう一つは解放軍の機関紙『解放軍報』に掲載された香港駐屯解放軍部隊の思想の堅固さを賞賛する記事である。

 『環球時報』は、『人民日報』に比べ、販売部数を伸ばそうということからタブロイド紙的な側面があり、センセーショナルな論調を展開しがちで、香港のデモについても強い調子で批判する論評を掲載している。こうした記事の中でとりわけ注目されたのが武警系大学の若手教員による「香港警察が力不足なら武警が混乱平定の支援可能だ」(9月29日付『環球時報』ネット版)という論評である。

 論評では香港での学生デモに対して「香港の警察が駄目なら中国本土の武警は準備が整っており、いつでも出動可能」と述べている。ただ興味深いことに、この論評が掲載されて数時間でネットから削除された。中央政府の中でも武力行使について意見の相違があって慎重な対処が求められていることが窺える。文章は短編で簡潔だが、中国の軍(対国内の軍としての武警)当局による騒擾事件に対する考え方を知るうえで興味深い。論評の筆者は武警政治学院(上海)の王強助教授である。

 王助教授は学生の授業ボイコットが「学生連合」や「学民思想潮流」によって操作された「違法事件」と定義付ける。こうした「事件」は一部の者が「民主を勝ち取る」口実で香港特別区の首長選出方式について議論を持ち出したため起きたとしている。そして事件の性質変化の転換点を迎えていて反中勢力が内外で結託して特別区の管轄権を奪い取ろうとしていると警戒感を露にしている。

 このような「反中勢力による陰謀」という議論は内政に混乱が生じた際に保守派によって持ち出されてきた。1989年の天安門事件前後に民主化の波を警戒して欧米による「和平演変」に警戒せよというような議論と相通じている。共産党一党支配体制転覆を目論む輩が外部勢力と結託することを警戒せよというわけだ。まさに80年代後期に起きた東欧諸国の民主化の動きやソ連崩壊が中国当局にとって何としてでも避けなければならない事態であり、習政権になってからもソ連崩壊からの教訓を学ぶことが党内に広く呼び掛けられ、軍の将校育成大学である国防大学では欧米への警戒を呼びかけるドキュメンタリー「較量無声」が製作された。

軍事力=国防軍という単純な構造ではない

 王助教授は続けて「国の基本的利益を侵害するような事件はいかなる主権国家も認めていない」と主張する。法的に強制力を行使し、介入することこそ合法的というわけだ。武力介入は憲法によって保障され、合法的に執行できる。武力行使は近代的国家が行っている通常手段でさえあるという。

 王助教授によれば、多くの国が準軍事力としての警察部隊を保有し、警備を担当し、社会治安維持任務を負っているという。憲兵憲法等の法的権利が付与されており、騒乱が起きた際には緊急的に対応し、一線での鎮圧任務に就いて警察力の不足を埋める役割を担う合法的存在である。EUでは多国籍の憲兵部隊が組織されていて国境保安任務を担っていて多くの不安定な地域において当地の治安維持回復に重要な役割を果たしているという。

 中国の「憲法」、「国防法」(1997年施行)、「人民武装警察法」(2009年施行)の規定に基づけば、人民武装警察部隊は国家の安全と安定を担う武力であり、騒乱鎮圧に参加し、騒動やテロなど社会治安を脅かす事件に職責を担っている。王助教授が指摘する中国の軍事力、すなわち中国的に言えば「武装力量」を構成しているのが、解放軍と武警、そして民兵を加えた3つの組織である。つまり日本で通常考えられるような軍事力=国防軍という単純な構造ではない。対外的な国家の安全保障を担うのが解放軍であり、武警は対国内治安を担当する。国内の群集騒擾事件に対しては通常、武警が鎮圧のために動員されており、王助教授は中国国内への暴動鎮圧と同じ形で香港に武警出動ができると言っているわけだ。

「香港の高度な自治中央政府が付与した権利」?

 香港は1997年に英国の植民地から中国に返還されて、その主権が中国に移されたが、中国側はその時に「50年間は現在の政治制度を変えない」と誓った。そのため香港は中国の一部だが、特別行政区として「香港基本法」が制定されて、それに基づいて高度な自治が保障されてきた。しかし、王助教授によれば、武力行使が制約に触れることなく、「状況に変化が生じた場合、武警が香港特別区で安全保障任務に担う必要がある場合にはいかなる法的障害はない」と言い切る。香港特別区は「基本法」に依拠して高度な自治を享受していることになっているが、これは中央政府が付与した権利であるというのだ。高度な自治といっても中央と香港の関係において中央政府は主導権を持っており、さもなければ主権を回復し、統治権を行使できるようになった(1997年)のは絵空事に過ぎない。

 更に「基本法」は香港行政区政府がコントロールできないような国家の統一や安全に危機雄及ぼすような動乱が発生した際には全国人民代表大会の常務委員会は香港特別行政区が緊急事態に陥ったと判断し、中央政府の命令を通知して中国の法規を香港特別行政区に適用できるという。こうしたロジックに基づけば武警は中央政府の命令に依拠して「武装警察法」を香港にも適応させて騒乱を平定して社会秩序を回復させ安全、警備任務を実施することは合理的かつ合法的ということになる。

 王助教授は武警の香港デモに対する出動への合法性を主張するもので同時に決意を示すものとして注目を浴びた。しかし、このような主張を学生が聞いたら憤慨するだろう。香港の高度な自治は北京政府が付与したものという主張は受け入れ難いだろうからだ。

党への忠誠と任務への決意

 解放軍の考え方が窺えるもう一つの記事は、解放軍の機関紙『解放軍報』が1面に載せた「“香江衛士”の確固たる矢のような信念、志の強軍によって国に報いる」という論評だ。「香港駐屯の部隊(8000人余りと言われる)は愛国の強い信念を持ち、信頼に足る政治思想を育成する教育に日々鍛錬を積んでいる」と部隊を褒め称え、軍の党への忠誠と任務への決意を示している

 この記事によれば、10月1日の中国の国慶節を前に香港駐屯部隊の深圳基地の教育隊では今年入隊した1000人にも上る新兵を迎え、初めの授業「普遍の軍魂、永遠の信念」という講義を行った。これは新しい「強軍を鋳造するための軍魂」シリーズの講義の幕開けとなるものだという。

 授業では党史、軍事史、民族精神、神聖な使命、愛国貢献、愛軍尚武、規律・法規遵守等の専門課題等の講義が行われていて軍の忠誠を確保し、絶対的な純潔性を保持し、信頼に足る部隊であることが確保されるものとなっている。授業で用いられる宣伝映像は90分程度で、軍において兵士たちが自分の成長に必要な政治的思想の素養の「座標」を提示しており、兵士からは自分の将来像を描けるようになっていると評判は上々だ。兵士たちは艱難でリスクの伴う任務の前には入党宣誓が行われ、「軍の魂」教育が脳裏に刻まれ、心に染み入るよう試みられているという。つまり香港駐屯部隊の政治的信念は断固たるもので、いざ出陣というときに迷いなく出動して任務を全うできる存在だと自画自賛しているわけだ。

 この二つの記事を見れば中国における群集騒乱への武力行使についての考え方が日本などとはかなり異なる事が分かる。まず、中国においては中国共産党の一党支配、香港との関係では「国家の統一」が最優先事項であり、市民の流血回避が一番ではないという点を踏まえておくべきだ。武警と解放軍(香港駐留部隊)では武警が動員される可能性が高いだろう。現に中国との境界に近い深圳市側で武警の暴徒鎮圧訓練が激写されネットに写真が出回っている。

天安門事件から中国政府が得た教訓

 今回の「セントラル占拠」、「行政長官辞任要求」は、天安門事件以来最大規模で深刻なデモとされるが、中国政府からすればこのような群集騒擾事件は中国国内で毎週のように起きている。群集騒擾事件は中国国内では「群体性事件」と呼ばれ、大小合わせて年間10万件を超えるとも言われる。中国社会科学院法学研究所の調査では2000年から2013年の間に起きた100人以上の参与があった群集騒擾事件に限っても871件も起きている(『新京報』ネット版・2014年2月21日)。ウイグルチベットで頻発する暴動に武警が投入され流血にまで発展しているのはここ数年毎年のことだ。こうしてみると群集騒擾事件に武警が動員される、すなわち武力行使される事態は中国国内ではそれほど珍しい事ではないのである。

 天安門事件から中国政府が得た教訓は日本で理解されるような民主化を求める若者たちの犠牲という失敗ではなく、力によって騒乱を押さえ込み、共産党一党支配を守り、その後の高度経済成長路線に繋げたという成功の経験なのだ。
 特に軍においてそうした認識が強い。山積する中国の国内問題が喫緊の課題だという将軍の論調(2013年10月30日記事)を紹介したことがあるが、まさにこの艾虎生将軍こそが天安門事件時に切り込み隊長として戒厳部隊の露払い役として天安門に馳せ参じた人物である。そうした功績が認められて昇進したのであり、30年以上実戦経験のない軍において彼のような実戦経験者は貴重な存在だ。

 それとは対照的に軍のトラウマとなっているのが、北京近くの保定市に駐屯する機動部隊38軍のトップ、徐勤先将軍の出動拒否事件である。徐将軍は天安門で流血の事件が起きる直前に出動命令(1989年5月19日)を拒否して軍法会議にかけられ懲役刑に服した。軍には騒乱に際して軍中央の命令にそむいた「反逆者」が出たという苦い教訓となっており、彼のような指揮官が二度と出ないよう「党の軍に対する絶対指導」を誓わせ、指導者への絶対服従という揺るぎない政治的信条と忠誠が求められており、それゆえ前述の香港駐屯部隊でも政治思想教育が重視されているのである。

 「戦って勝てる軍隊を目指せ」とげきを飛ばす習近平政権において戦う準備ができているとの主張はやる気を示す意味でも、忠誠を誓うという意味でも重要である。こう考えるとデモ鎮圧に軍隊が出動する可能性は排除できず、そうした根拠が私たちとは全く異なるロジックに基づくという前提で事態の推移を見極める必要があるだろう。