パルデンの会

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金正恩第1書記をロシアが招待/対独戦勝記念式典に


勝谷誠彦氏の有料ブログより転載
一昨日のお約束を忘れていた。博多で『天国のいちばん底』
を脱稿した興奮で、つい昨日の日記を埋めてしまった。北朝鮮の風船デブがロシアに行くというニュースである。

 <金正恩第1書記をロシアが招待/対独戦勝記念式典に>

 http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM19H6R_Z11C14A2FF2000/<ロシアのペスコフ大統領報道官は19日、来年5月の対ドイツ戦勝70周年記念の式典に合わせ、北朝鮮金正恩第1書記を招待したと明らかにした。実現すれば正恩氏が2012年4月に第1書記に就任して以来、初めての外国訪問となるが、北朝鮮側が受け入れるかは不透明だ。
北朝鮮は従来密接だった中国との関係が冷え込んだことから、
経済を中心にロシアとの関係強化を図ってきた。最近はロ朝間で高官の往来が活発化しており、正恩氏は初外遊先にロシアを選ぶとの見方が出ていた。>
朝日は私が一昨日に危惧したようにトバしたのではなく、
スクープでしたね。これでわかるようにやはり朝日新聞の取材力は卓越しているのだ。問題はその力を使いこなす思想が狂っていることである。いいエンジンを積んだ車を危険ドラッグをキメている奴が運転しているようなものなのだ(笑)。
先日「歴史が轟々と音をたてて動いている」
というようなことを書いた。まさにその象徴のような出来事である。まず、実現するかどうか。北朝鮮側が受け入れるかは不透明だ。>という日経の指摘は正しい。金正恩としては「はじめての外遊」を面子として「ワンノブゼム」にしたくはないだろう。単独の訪問を画策してきたところへ、ロシアは上から目線でこう言ってきたものと思われる。
もうひとつのロシアの思惑は「対ドイツ戦勝70周年」
を持ちだしてきたことだ。ウクライナ情勢を巡って、ロシアはNATOと厳しく対立している。その盟主と言うべきドイツに勝ったという記念日のイベントを大々的にやり、アジアの隣人たちを招くのは、欧米への強いメッセージとなる。
だからこれはなかなか難しい判断になるだろう。
<式典には安倍晋三首相も招待されているとみられる。>
枢軸のひとつが敗北したことを祝う祝典に同盟国の後裔である日本
国の首相が出るべきかどうか。日ロ関係を考えると、出ておいた方がいいかも知れないが。<みられる>というところに私は注目する。招待があったのかどうかを官邸は明らかにしておらず、それはまだ検討しているからではないか。
さて、ここからがもっとも大切なところなのだが、
いまや自分をとりあげた映画を巡ってサイバーテロをしかけているような、世界の嫌われ者の北朝鮮をロシアが拾ってやる理由は何なのか。ズバリ「南下政策」なのだ。これはもうロシアの性癖というほかはないが、とにかく南の凍らない海へ出ようとする。支那にはなかなか手を出しにくいので、どうしても朝鮮半島を目指す。そこをとられると、日本国としては価値観と違う国と真正面で向かい合わなくてはいけなくなる。
これをどう防ぐかが、
日本帝国以来のわが国の最大のテーマであって、そのために日露、大東亜の二つの戦争は戦われたと言っていい。靖国神社に祀られている英霊の多くは、この国家の大方針を遂行することにかかわって散られた方々だ。それほどに、日本国は対ロシアに気をつかってきた。それが、いま、あっさりと潰されつつある。金正恩の訪ロ、つまりはロシアと北朝鮮が強く結びつくのだというニュースをこの視点からぜひ読み解いていただきたいと今日は書きたかった。

<米VS露/アジアにおけるエネルギー戦略>

 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3947
<最近、
ロシア議会は100億ドルに上る北朝鮮の負債を帳消しにし、その代わり、北朝鮮はサハリンから北朝鮮を通って韓国に至るガス・パイプラインの建設に合意した。それにより、エネルギー通過国の役割を北朝鮮に与え、北朝鮮への梃子を手に入れるのみならず、韓国のロシアのガスに対する依存度を6%から30%に高め、韓国に対する影響力を高めうる。>
この「議会の合意」
を国と国との合意にしてそれを国際社会に誇示するために、プーチン大統領金正恩を招くのではないかと私は見ている。それも、対ドイツ戦勝記念日の場で。どういうことか。欧州へのパイプラインなんかいつでも止められる。こちらにはアジアの市場があるということを示すプロパガンダですよ。こんな絶好なステージはない。情報工作の天才であるプーチンさんが考えそうなことだ。
しかしそれだけに目を奪われていてはいけない。
さきほど触れたようにこれは「明治以来の危機」なのだ。先に解説しておけば、北朝鮮がパイプラインの国内敷設を認めるのは自国のエネルギーが欲しいからではない。ろくな産業がない北朝鮮は山でタキギでも拾っていれば充分だ(言い過ぎ・笑)。欲しいのは「通過料」である。これでまとまったカネが落ちることになる。
問題はパイプラインの行き先が韓国であることだ。
先の記事にあるように韓国のエネルギーのロシア依存率は飛躍的に高まるだろう。何しろ世界一の「事大主義」国家である。弱きをイジめ、強きには媚びることにおいては天下一品。支那に続いてロシアに土下座するようになるだろう。明治の先人たちがおそれていた悪夢が、ついに現実となる。
危惧の材料は事欠かない。歴史は常に「線」
をどう守るかで動いてきた。20世紀はそれが鉄道だった。満州鉄道がいかに重要であったか。それをどう軍事的に防御するかは、国家の勢力のせめぎあいそのものだった。今はそれがパイプラインなのである。パイプライン保護を口実にロシアが朝鮮半島に出兵する可能性は決して低くはない。
もうひとつ。
鉄道は爆破されても横の道路をトラックが走ればよろしい。しかしパイプラインは代替手段が少ない。30%ものエネルギーを依存するパイプラインを敵対国家のはずの北朝鮮を通すというのは、韓国は正気か…いや、正気でないのはもうみなさんもとうにご存じのとおりだが。タチのわるい下品な喧嘩をくりかえしている離婚した夫婦が隣近所に迷惑をかけているのであって、とはいえロシアの影響力はこれで釜山までやって来るだろう。
実はこの状況は大東亜戦争のころよりもよろしくない。
あの時は樺太と千島を大日本帝国は持っていた。それが緩衝地帯となった。今は北海道が不法占拠されている北方領土とまともに向き合っている。そこに朝鮮半島まで来られると、日本国は2方面作戦を強いられる。金正恩の訪ロのニュースでこんなことまで言うのは私くらいだろうなあ。しかしそれが「軍事を知る」ことだが、その専門家はもっと偉い方々がいる。私はそれに加えて「歴史を知る」勉強をしてきたので、素人なりにこんなことを考えてしまうのである。

でもね、勉強って面白いでしょ、って『テンソコ』
でおなじみの灘校でもっとも底辺にいた奴が今ごろ何を言うか(笑)。いや、あのころ勉強しなかったから、大人になって少しやっているのですよ。やっと学ぶということの意味がわかったから。逆に、受験勉強をあれだけ頑張っていい大学に入ったのに、社会に出ると学びを放棄してしまうひとたちのことが私はわからない。
自己啓発や資格に走る方々のこともわからない。学びとは、畢竟、
教養である。それは死ぬまで蓄積できて人生の何よりの愉しみである。なぜならば、教養は蓄積であるとともに「ライブ」だからだ。私がウェブは速報性と同時に記憶であり、その突き合わせこそ面白いといつも言っていることと、実は同じなのだ。昨夜、近くで飯を食った、まもなく87歳になる老父がまさにそうだ。今でも勉強会では最前列に座っていると聞く。


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