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中国バブル崩壊の予兆 中国政府、伊藤忠の巨額出資を最大国営企業の不良債権処理に利用か



中国バブル崩壊の予兆 中国政府、伊藤忠の巨額出資を最大国営企業不良債権処理に利用か

Business Journal 2015/1/29 06:02 編集部
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伊藤忠商事 東京本社(「Wikipedia」より)
 伊藤忠商事は1月20日、タイ財閥チャロン・ポカパン(CP)グループと共同で、中国政府が100%出資する複合企業、中国中信集団(CITIC)の傘 下企業に合計1兆2040億円を出資すると発表した。中国国営企業への外国投資としては過去最大級となる。

 出資先は香港証券取引所に上場している中国中信集団傘下の持ち株会社、中国中信(CITICリミテッド)。伊藤忠とCPグループが折半出資する共同出資 会社を通じて、4月に普通株式の約10%(約5150億円)を取得する。その後、10月に普通株式に転換可能な優先株(約6890億円)を引き受ける。普 通株に転換後の出資比率は約20%(約58億1800万株)となり、共同出資会社の持ち分法適用会社となる。伊藤忠などが出資後、中国中信集団の中国中信 への出資比率は80%から60%に下がる。出資総額は1兆2040億円で、伊藤忠は6020億円を出資する。伊藤忠は全額、金融機関からの借り入れで賄う としている。伊藤忠の持分法適用会社となることで、年間700億円程度の利益の押し上げがあると説明している。

 20日、都内で記者会見した岡藤正広社長は、「(提携により)2015年度から始まる次期3カ年中期経営計画の最終年度に当たる17年度には非資源商社No.1の地位は確固たるものになり、業界トップの座も視野に入っている」と述べた。

 中国中信集団は中国最大の実力者、トウ【編註:正式名は漢字】小平氏の開放・改革政策の下、1979年に設立された国有企業。創設者の栄毅仁氏は「紅い 資本家」と呼ばれ、後に国家副主席を務めた。中国政府の国務院(内閣に相当)が管轄する中国最大の複合企業集団で、グループの事業分野は石油化学、金属、 重工業、自動車、銀行・証券、不動産、小売り、出版などに及んでいる。

 伊藤忠が出資する中国中信はCITICグループの金融分野の一翼を担う。中信銀行、中信証券など金融サービスを中心に、傘下に中信資源、中信建設など 20社を持つ。有価証券報告書によると、13年12月期の売上高に当たる営業収益は日本円換算で6兆1587億円、1699億円の営業利益を上げている。

●CPグループの存在

 今回の投資スキームを伊藤忠に提案したのは、CPグループのタニン・チャラワノン会長だ。CPグループは中国出身のチャラワノン一族が1921年にバン コクで種苗販売店を開いたのが発祥。タニン会長は創業者の4男。香港の商業専門学校を卒業し、CPグループに入社。69年に社長へ就任、89年から会長兼 CEOを務める。現在の中核事業は食料、食品、小売りと通信。グループ全体の従業員は30万人を超え、年間売上高は4兆4000億円に上る。

 タニン氏の最大の転機は79年だった。トウ小平氏による開放・改革路線が始まった時、真っ先に中国へ乗り込んだのがタニン氏だった。トウ小平氏とタニン 氏の会見の様子は後にアニメ化された。番号「00001」。中国が外国企業に門戸を開いた際に与えられる営業許可証の第1号が、CPグループの大規模養鶏 場だった。
CPグループと中国当局とのパイプは太い。外資系企業がチャイナリスクを避けて中国市場から撤退する中、CPグループはタイに本社を置く外資系企業であり ながら中国での投資を拡大し、巨額の利益を手にした。これまでの投資額は80億~90億ドル(約9500億~1兆700億円)に達し、飼料・畜産事業を中 心に中国事業を拡大してきた。タニン氏の中国名は謝国民。CPグループは、中国では「正大集団」として知られている。

 タニン氏は東南アジアで活躍する華人企業家の中で、習近平・中国指導部に最も近い1人といわれている。今回の中国中信への出資のスキームは、タニン会長が習氏や李克強首相に働きかけて実現させたとされている。

伊藤忠の巨額出資、不良債権処理に利用か

 なぜ伊藤忠国営企業への出資に、中国指導部が関わるのか。時系列で見ていくと、1兆2040億円出資の意図が見えてくる。
 
 14年7月、伊藤忠とCPグループは資本・業務提携した。CPグループは伊藤忠が実施する1020億円の第三者割当増資を引き受け、伊藤忠の株式 4.9%を取得。実質的に伊藤忠筆頭株主となる。伊藤忠はCPグループの飼料・畜産事業を展開する香港の上場会社の株式25%を870億円で取得した。

 14年9月、中国中信は香港証券取引所に上場した。伊藤忠とCPグループ、東京海上日動火災保険みずほ銀行が、それぞれ1%を出資した。15年1月、伊藤忠とCPグループが中国中信に1兆2040億円を出資すると表明した。

 この一連の流れで最大のポイントは、中国中信の香港上場である。何を意図して上場したのか。ブルームバーグは14年12月5日、「中国中信は親会社から 370億ドル(約4兆4300億円)相当の資産を今年買い取った際にCPグループを含む27の投資家に株式を売却」と報じた。中国政府が100%出資する 中国中信集団は、4兆4300億円の巨額資産を子会社の中国中信に売却したのだ。中国中信集団は幅広い業種を傘下に持つが、中国経済の減速の影響を、銀 行、証券、不動産、建設のいずれの業種も受けている。中国のバブル経済の崩壊に備えて、中国中信集団から不良資産を切り離し、上場した中国中信でこれを処 理することを意味している。

 中国中信が不良資産を処理していけば、自己資本を食い潰し、債務超過に転落する恐れが出てくる。それを回避するために、1兆2040億円という巨額増資 を実施することにしたわけだ。つまり、伊藤忠・CP連合への株式売却を中国政府が承認した目的は、中国最大の国有複合企業の不良資産処理だとみられてい る。

●株式市場は巨額出資に懐疑的

 見返りは用意されている。CPグループは養鶏や鶏肉の加工・販売といった食料分野が主力。需要拡大が続くアジアで、家畜の飼料となる穀物伊藤忠が調達 し、中国中信の融資でCPグループが農場を整備して鶏肉を加工・販売することが検討されている。習近平指導部と緊密な関係を築いているCITICグループ に出資することで、伊藤忠とCPグループは外資規制が厳しい中国で資源開発や物流網の整備、不動産開発など、これまで参入が難しかった分野に入りやすくな る。 
前述の通り伊藤忠は、提携により商社業界トップの座も視野に入っていると胸を張るが、市場(マーケット)は懐疑的だ。1月20日の東京株式市場では、同社 株は一時、前日比57円安の1181.5円まで売られた。21日の安値は1179円と2日連続安だ。中国は経済成長が鈍化している。中国中信の株価上昇が 続く保証はどこにもない。

 中国では、すでにバブル処理が始まっている。中国証券監督管理委員会は1月16日、中信証券など3社に対し、信用取引口座の3カ月間新規開設禁止を命じた。過熱する信用取引ブームに当局が警鐘を鳴らしたのだ。その乱気流の渦中に、伊藤忠は巨額出資へ踏み切る。

 ある商社首脳が次のように語る。

みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長が『商社と銀行の見方は違うが、伊藤忠の岡藤社長とは意見交換している』と語っていた。みずほが単独で融資 するのかもしれないが、6000億円を借り入れるということは、年間600億円の利益を出さなければペイしない。岡藤社長の言う700億円程度の利益の押 し上げでは、投資案件としてそれほど有利とはいえない。伊藤忠が最後まで融資に慎重だったのはよくわかる。非資源分野をテコにトップ商社を目指すとのこと だが、資源投資のリスクより、中期的に見て中国のリスクのほうが大きい。伊藤忠のターニングポイントになることは間違いないが、下に振れたらダメージは大 きい。うちだったら絶対に手を出さない案件だ」

 こうした懸念を裏付けるかのように、格付け会社ムーディーズ・ジャパンは1月21日、伊藤忠の発行体格付けを現在の「Baa1」から格下げの方向で見直 すと発表。多額の現金支出でフリーキャッシュフロー(純現金収支)の減少や有利子負債の増加につながる可能性があると判断した。
(文=編集部) 
 
 

中国、近く国家破綻か 経済&軍部崩壊状態、中韓連携による日米と全面対立で紛争リスクも

ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
構成=編集部
 
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「Thinkstock」より
  経済の破綻が秒読みともいわれている中国。シャドーバンキングは実質的に破綻し、不動産バブルも崩壊寸前との見解を示す経済学者は多い。周辺各国へ軍事挑 発を繰り返す一方、国内では政府への不満が噴出し始めている。共産党内部での権力闘争も泥沼化の様相を呈しており、習近平体制は完全に制御不能へと陥りつ つある。7月に上梓された『ヤバイ中国』(徳間書店)は、そんな中国の現状を鋭く分析し、現状と今後の予測を的確にまとめているとして話題になっている。
 今回は、同書の著者である経済評論家の渡邉哲也氏に、
・中国が抱える問題点と今後
中国経済が破綻した場合に、日本や世界の経済に与える影響
・中国の破綻に巻き込まれないためには、どうするべきか
などについて語ってもらった。
●中国が抱える問題の数々
--まず、本書を執筆されることになった経緯をお聞かせください。
渡邉哲也氏(以下、渡邉) 今までに日本経済はもちろん、ヨーロッパ経済、韓国経済などに関しては執筆していますが、中国政府が発表 する各種経済統計などの数値が信用できないので経済分析が難しく、中国関連の執筆はすべてお断りしてきたのです。ところが、明らかに数字ではなくて現象面 から中国の限界が見えてきました。それも、非常に厳しい状況になっています。従って、明らかになってきた経済事情から中国を読み解くために本書を執筆いた しました。
--渡邉さんは、中国の現状をどのようにとらえていますか?
渡邉 中国はいくつかの問題を抱えていますが、最大の問題は、いわゆる「一人っ子政策」の弊害によって高齢層の労働者が多くなり、経済にとってマイナスとなる構造「人口オーナス(負荷)」という状況に今年、変わっています。
 若い労働者は賃金が安いため、若者が多い社会は経済発展しやすいのです。しかし高齢者が多くなってくると、逆に賃金が上がり社会の負担が大きくな るので、国際競争力が落ちていきます。人口オーナス化自体も問題ですが、中国は年金社会福祉制度がほとんどない状態で人口オーナス化してしまったことが、 経済に大きな影を落としています。本来、若い人が多いうちに社会保障制度を充実させなければ、高齢者が増えたときに社会が負担を支えられなくなります。す でに中国向けの介護ビジネスの話が出てきていますが、急速な勢いで高齢化が進んでいます。これが今後の発展を阻む最大の要因です。
 次に、環境限界が挙げられます。PM2.5(微小粒子状物質)が大きな問題となっていますが、ほかにも、北京郊外70キロまでゴビ砂漠が迫ってき ている状態で、黄砂の影響も深刻になっています。北京で空が見えるのは、年間数日という状況になっており、このような状況下で首都として機能するのか不透 明です。中国が工業で発展するためには今まで以上の環境破壊を進めていかなければいけないのですが、環境破壊をすると人が住めなくなるという状況にあり、 限界に達しているといえます。
もう一つ、不動産バブルがあります。中国の不動産価格は、東京よりも高い地域が多数あります。住宅ローンを組む際、一般的には年収の4~5倍くらい が支払いの限界といわれていますが、中国の地価は現在、国民の平均年収の約20倍という状況です。また、家賃の利回りが2%前後まで落ちていますが、平均 的なローン金利が8~10%ですので、仮にお金を借りて不動産に投資すると、逆ざやになる状況なのです。1980年代後半の日本のバブル絶頂期よりもひど い状況です。つまり、不動産の価格が上がる要素がないのです。そのような状況で、昨年5月、米連邦準備制度理事会FRB)がテーパリングという量的緩和 の縮小を示唆したことに合わせて、アメリカのお金が一気に中国から抜け出しました。これを機に昨年7月、世界最大の銀行であり、中国四大銀行の一つである 中国工商銀行が高利回り金融商品金利を、08年9月のリーマン・ショック前夜のリーマンの水準まで引き上げ、デフォルト(債務不履行)は目前に迫りまし た。中央銀行が融資して一時的にはしのぎましたが、経済にとってお金は血液と同じで、血液の流れが滞ると弱いところから壊死していきます。つまりバブルが 崩壊していくのです。
 崩壊の前兆として今年1月、シャドーバンキングが実質的に破綻し、また債券市場も破綻を認めざるを得ない状況になりました。中国は完全な自由主義 ではないので、政府がコントロールして破綻を今まで回避してきましたが、いまや政府が抱えきれない規模の状態になっているのです。このシャドーバンキング の規模に関しては、正確な数字はわかりませんが、500~600兆円という巨額に及ぶといわれています。
 また、中国の不動産システムでは、地方政府がデベロッパーをやっています。共産主義ですから、基本的に政府が土地の所有権を持っているので、これ を地方政府がいわゆる特別会社に土地の所有権を渡して、それを利用してサブプライムローンとよく似た構造の簿外債務をつくります。これがシャドーバンキン グなのです。この債務がほぼすべて焦げ付きそうだといわれています。不動産価格が下落したり分譲に失敗すると、その借金は全部地方政府に行きます。地方政 府の借金は、600~700兆円と推測されています。そのすべてが全部不良債権になるわけではないですが、現在抱えている不良債権額もまったくわからない というのが中国の現状なのです。
共産党内部の権力闘争
--そんな状況から、中国は今後どのようになると考えていますか?
渡邉 発展が限界に達し、今まで右上がりで成長を続けていましたが、今度は壊れ始めるわけです。壊れた時に、中国人たちが何をするかということを考えなければいけません。おそらく国民の不満は政府に向かうでしょう。そのような現象は、どこの国にも共通しています。
 中国は共産党独裁体制の下で個人主義が蔓延しており、中国の要人たちは自分の資産をほとんど海外に持ち出しています。先日、党内序列第9位の周永 康が粛正されましたが、周永康と彼の親族・関係者だけで1兆6000億円という不正蓄財をしていたと報道されました。ほかにも同じように莫大な資産を持っ ている人物は多く、アメリカに持ち出された資産は100兆円近いともいわれています。彼らは、妻や子供が妊娠すると、アメリカやカナダで出産させます。出 生地主義の両国で出産すれば、子供自身はその国の国籍が得られ、親族はグリーンカード(外国人永住権)が得られます。そのような環境を整えた上で、中国に ある自分たちの資産をアメリカに持っていってしまう。このような状況で、国内に資金が滞留しないのです。本来国が資金を投入すべき国土や学校への資金が流 れないばかりか、国富が貯まらずに国外へ逃げていく構造になっているのです。
一党独裁とはいえ、共産党も大きく政治派閥を分けると、北京と上海の2つのグループがあります。政治的イデオロギーや政治思想的に見て、真右と真左 の政権の連立政権ですから、この間に調和が取れるわけはなく、敵の敵は味方であるという構造体で、お互いに合致して江沢民派を叩いていましたが、江沢民が 亡くなれば、北京と上海の強烈な争いが表面化することになるでしょう。さらに、そこに7つの分閥があり、それらをコントロールできなくなる可能性が高いと いわれています。習近平体制の暴走よりも、分閥の暴走に気をつけなければなりません。中国の軍機が、米軍機や日本の自衛隊機に異常接近、などと連日報道さ れていますが、この根底には中国の軍閥の暴走があると考えられています。つまり、習近平には力が不足しており、抑えきれなくなっているからだといわれてい ます。
 そのような状況下の中国が、もしアメリカや日本との関係がこれ以上悪化した場合、バブル崩壊も一気に進むことになるでしょうし、欧米資本は一気に 中国から引き揚げる可能性があります。同時に経済制裁が加えられるような事態になれば、今の中国の体制は崩壊する可能性が高いでしょう。
●日本経済や世界経済への影響
--中国経済が崩壊目前ということで、密接した場所にある日本や世界経済には、どのような影響があるでしょうか?
渡邉 例えば、中国の債務は人民元建てです。借金額は大きいのですが、海外からは借りていません。人民元だけなので、中国政府は貨幣 を刷って埋めることはできます。ところが、当然、刷れば刷るほどインフレーションが進んでしまいます。現在、人口オーナスや国際競争力の低下によって賃金 を上げられない状況になっていますから、急激にインフレを引き起こせば、スタグフレーションなど国民生活が苦しくなる現象が発生するでしょう。
 ただ、これが海外にどのように波及するかというと、一部投資商品やファンドなどに影響が出ることはあっても、著しい影響が出るということはないと 考えられます。アメリカなどは中国からかなり資本逃避をしていますし、中国は世界の金融の一部にはまだなりきれていません。ローカルカレンシー(現地通 貨)、オリジナルマーケットですから、その中で経済が破綻しても、リーマンのような影響が出ることはないでしょう。どちらかというと、中国の崩壊はジワジ ワ真綿で首を絞められるような展開が考えられます。ただし、それがかなりの速度で訪れる可能性があります。経済的な影響よりも、経済破綻によって軍部・軍 閥、政治が不安定化しますから、政府がそれをどのように抑え込めるかが大きな焦点になるだろうと思います。
--経済の破綻により、対外的軍事行動が増えるようなこともあり得るでしょうか?
渡邉 それはあり得ます。最もやってはいけない政治の手法ですが、内政の不満を外政に向かわせることは、多くの国の政府がよくやる方 法で、1993~2003年に国家主席であった江沢民が一貫して取り続けた反日政策もそうであったといわれています。国内の不満を日本にぶつけさせること で目をそらせ、国威発揚に持っていく可能性はないとはいえないです。
--今後、中国の動向を見守る上で、特に注視するべきポイントはありますか?
渡邉 すでに銀行の取り付け騒ぎが起きていますし、シャドーバンキングも実質的に破綻しています。不動産の下落も継続し、バブルはは じけているので、経済的にはすでにあらゆる現象が破綻を物語っています。日本にとって一番のリスクは、在日中国人ではないかと思います。帰るべき国が崩壊 し、国からの仕送りも途絶えたらどうなるのか、想像すると怖いです。
--中国に工場を持つ外国企業の多くは、他国に引き揚げている状況ですが、中国と取引をしている企業はまだかなりあります。そのような企業が、中国の経済破綻に巻き込まれないためのポイントはありますか?
渡邉 かつてチャイナプラスワン、中国とは別の国や地域にも工場をつくるという動きが強まっていました。最悪、中国の生産拠点を捨て ても生き残れるような体制、ワールドサプライチェーンに組み替えているのです。つまり、中国の影響度を低下させています。今、中国の経済に大きく依存して いる企業は、早々に撤退することはできないでしょうが、少なくとも拡大をしないようにリスクマネジメントすることが重要です。最悪な事態が起きた場合、そ この部分だけを切り捨てることができるような状況にしておくのが望ましいです。
--最後に、中国経済以外で注目されていることは何かありますか?
渡邉 アジア全域で一番ハイリスクだと思われているのが、タイです。タイも中国同様に中進国の罠にはまっていて、今は国王が非常に強 い指導力と人気で統治していますが、この国王が亡くなられた後、クーデターを抑えきれなくなるという非常に高いリスクがあると懸念されています。11年に 起きたタイの大水害以降、日本企業の撤退が相次いでいます。その後、タイへの投資はすべて他国へ切り替えている状況で、タイ発の通貨危機が起きかねない状 況にあり、現時点で非常に危険だと思います
 あとは、韓国も経済状況はかなり悪い中で、中国とアメリカを両天秤にかけているといえます。この点に関して、アメリカ側がかなり憤慨しています。 安全保障においても韓国抜きでいいのではないかと言いだしています。従って、安全保障で大陸の橋頭堡である韓国が日米の敵に回る可能性もあり、早急に対応 を進めなくてはいけないという状況なのです。
 これに対する一つの回答が、北朝鮮との国交回復、ロシアとの安全保障関係樹立となるのですが、ロシアに関しては本来9月にプーチン大統領が来日 し、安全保障に関する条約等が結ばれる予定でしたが、クリミア問題で白紙化しています。北朝鮮に関しても、拉致問題が解決すれば国交回復に進む可能性は高 いといえます。例えば、韓国が中国と安全保障条約や軍事同盟などを結び、日本やアメリカに敵対することになった場合、北朝鮮と国交を回復させれば両側から 韓国を挟み込み、日本海全域の安全性を守れるのです。世界中の紛争リスクが上がっている中で、今までと環境が違うという認識のもと、とり得るさまざまな施 策を準備しておくべき立場に、今の日本は置かれていると思います。
--ありがとうございました。
(構成=