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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)3月23日(月曜日)
通巻第4494号
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ドイツはまだ「中国幻想」にひたっているが
フランスは中国に冷淡な目を向けるようになった
*******************************もとより自由、平等、博愛を掲げるフランスは1989年の天安門事件のおりは、世界一激しく中国を批判した。
ウアルカイシら天安門の学生指導者等は最初にフランスへ亡命した。
その天安門事件も風化し、米国も対中制裁を解いて、以後は二年前まで「蜜月」だった。ところが、アメリカは様変わりで全米の論壇は反中国論が席巻しはじめている。
アーロン・フリードバーク、ジョン・ミアシャイマー、エドワード・ルトワック等々。
キッシンジャーも、親中派のボスなれど、中国のやり方に批判的である。
この米国の対中強硬論は欧州の一部にも飛び火し、親中派のドイツ、英国とはやや異なってフランスの知識人を代表するトマ・ピケティも、中国の将来に明るい展望を抱いていないことが分かった。
3月4日にニューヨーク市で「経済学の天才たち」と題する講演会が開かれ、席上、ピケティが発言している。
最初に口火を切ったのはノーベル経済学賞のスティグリッツ博士で、かれは知日派だが、「中国は独自の経済成長を遂げている。市場経済に移行して30年、平均して年率10%で成長しており、所得格差をあらわず『ジニ係数』が大きくなった。また5億人が貧困から脱している。最も成功した貧困対策プログラムだったといえよう」
と意外に中国経済に前向き。
同じくノーベル経済学賞のポール・クルーグマンは、「透明性に関して言うなら(情報ばかりか)中国の空気の『透明性』も大きな問題だ。環境問題が大きな課題になるだろう」と冗談とも取れる発言もあった。
さて「所得格差」に焦点を当てた著作で、世界的ブームとなったトマ・ピケティは、「中国は、透明性や民主制などにおいても抜本的な改革が必要だ。汚職を駆逐するなどとしながら、ロシア同様に、時々数人を逮捕する程度でお茶を濁し、国際的にタックスヘイブンや企業の税制の公平性を確保しようとするなら、中国も同じグローバルの土俵に乗せ、同じルールに従うように仕向けて行かねばならない」
いまもなお寝言のような中国礼賛をする一部の知識人が蔓延る朝日新聞などは、国際的な動きとは無縁の報道をしていることになる。