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【世界を読む】弾圧抗議で焼身自殺のチベット族に「勝手に死ね」…中国がダライ・ラマ14世の80歳誕生日で厳重警戒



【世界を読む】弾圧抗議で焼身自殺のチベット族に「勝手に死ね」…中国がダライ・ラマ14世の80歳誕生日で厳重警戒



2015.7.28 15:00

【世界を読む】弾圧抗議で焼身自殺のチベット族に「勝手に死ね」…中国がダライ・ラマ14世の80歳誕生日で厳重警戒

http://www.sankei.com/images/news/150728/wst1507280001-n1.jpg ネパール・カトマンズダライ・ラマ14世の誕生日を祝うチベットの人々=2015年7月6日(AP)
 チベットの精神的指導者、ダライ・ラマ14世が7月6日、80歳の誕生日を迎えた。中国当局は禁足令を出すなどこの日に向けて警戒を強化したが、チベット族は各地で14世の傘寿を祝ったという。一方、弾圧に抗議して焼身自殺したチベット族が約140人に達する中、当局は「勝手に死ねば良い」と言い放つなど、人命軽視の共産主義体質をあからさまにしている。
誕生日祝福のメッセージ広めただけで逮捕
 ダライ・ラマ14世の誕生日にあわせ、亡命チベット人政府があるインド・ダラムサラでは6月21、22日、盛大なセレモニーが繰り広げられた。14世はその後、米国を訪れ、各地で誕生日を祝う行事に招かれた。
 もちろん、14世の帰還を願う中国のチベット自治区や周辺でも、当局の規制の目をかすめ、チベット族は密(ひそ)かに集まり、14世の長寿を願ったという。
 青海省の僧院では、「500人以上の僧侶が集い、3日間にわたって祈った」と、米政府系の自由アジア放送は報じている。7~9世紀、唐王朝を脅かす存在だった吐蕃王国最盛期のティソン・デツェン王ら、チベット族の英雄を称(たた)える寸劇を行うところもあった。
 しかし、当局は手をこまねいていたわけではない。
 チベット社会にもインターネットが定着してきているが、14世の誕生日を祝福するメッセージを広めただけで、チベット族の若者2人が逮捕されたという。「ネット監視の機器を乗せた車がたくさんパトロールしていた」「寺院に入れない上、携帯電話をいきなり没収された」などの証言も聞かれ、共産国家に「表現の自由」などないことを如実に物語っている。
反抗的な運動に不参加の寺院に3万~5万元援助、1800の寺院に共産党宣伝放送
 共産党の言うことを聞かないチベット族に対し、当局は経済的支援、つまり「金銭で釣る」新たな懐柔策を導入したことも伝えられている。
 チベットの人々のよりどころになっているのは寺院だ。当局は、北京五輪の直前にラサを中心に起きた2008年のチベット族の反抗以降、監視を強め、共産党員を常駐させるなど、僧侶の思想改造に必死だ。
 そこで、金だ。共産党の指導を受け入れ、反抗的な運動に参加しなかった「優良寺院」に対しては、3万~5万元の援助を開始。一方で、デモなどに参加した僧がいる寺院では「愛国再教育」が行われている。だが、当局から金品を受け取った寺院はチベット族コミュニティーから爪(つま)弾きにされていると同放送は伝えた。
 また、官製紙チベット・デイリーによると、「指導に従わないのは外国勢力の情報に染まっているからだ」と、共産国お決まりの論法を持ち出し、自治区内約1800カ所の全寺院に3年半かけてテレビを設置、共産党の宣伝放送を視聴させる手段にも乗り出したという。
 チベットハウス・ジャパン(東京)のホームページには「中国政府はチベット人が外部からの情報の妨害に躍起になっている」とするインド・ダラムサラの亡命チベット人関係者の指摘を紹介している。
毒殺? 服役中の高僧が謎の死
 しかし、こうした“アメ”でなだめられるほど、チベット族は甘くない。このため当局は流血の武力弾圧こそ、最大の効果的手段とみている。
 それを示す出来事が今年7月に起きた。2002年に四川省であった爆弾テロ事件に関与したとして服役する高僧、テンジン・デレク・リンポチェ師が同省の刑務所で謎の獄中死をしたことが判明。遺族や崇敬者らが死因の説明と、遺体の引き渡しを要求したのだが、当局は拒否した。
 これに抗議して集まった民衆に、公安警察は暴力を加えたうえ、銃弾と催涙ガスを打ち込み、20人以上が病院に担ぎ込まれた。ロンドンに拠点を置く団体「フリー・チベット」が、現地からの情報として公表。
 さらに、当局は同師を火葬にしてしまった。同団体は「死因を隠そうとしているのは明らかだ」と指摘。火葬の直前、遺体との面会を許された関係者は「師の唇や爪が真っ黒だった」と語り、毒殺を疑う声が広がっているという。
 同師はチベット文化、環境の保護、福祉向上に努めてきた高僧で、欧州連合EU)や英国が哀悼の意を表すなど国際的関心事でもあった。だが、共産党は全く聞く耳を持たない。
焼身自殺したいやつは、勝手にすれば良い」
 強まるばかりのこうした「暴力装置」の発動は氷山の一角にすぎない。抑圧に耐えかねて、あるいは世界に弾圧の現実をアピールする目的で、焼身自殺するチベット族の男女が続出し、2009年以来、140人以上が落命している。
 だが、当局は意に介さないどころか、人命を愚弄する発言を繰り返している。 同団体によると、自治区内の地方警察幹部が「焼身自殺したいやつは、勝手にすれば良い」と言い放ち、「ガソリンをくれてやろうか」とまで発言。「人権意識」などひとかけらもないことがわかる。
 14世は「羊の皮をかぶった狼」だとし、分裂主義者のレッテルを貼る中国。現在、1千人以上のチベット族が「政治犯」として拘留され、差別的な扱いを受けているという。

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