世界連鎖株安は止まるのか 市場の見方
日経新聞ただ、国内企業の業績を踏まえれば、株式相場の調整はやや行き過ぎだ。2015年4~6月期の業績は好調だった。金融市場が混乱したが、米連邦準備理事会(FRB)が9月に利上げするというシナリオは変えていない。利上げできるということは米景気がそれだけ強いということの表れでもある。利上げを想定し、外国為替市場では日米金利差を意識した円売り・ドル買いが進展しやすい。こうした流れが追い風となり、年末にかけて2万円を目指して上昇していくと予想している。
日本株は目先は振れ幅が大きくなりそうだが、中長期的に上昇トレンドに戻ると予想している。好調な企業業績の裏付けがしっかりあることが支えとなる。外国為替市場では1ドル=120円前後と、企業の想定為替レートの中心である115円よりも依然として円安・ドル高水準にある。原油価格の下落基調も続いており、日本企業にとっては追い風となるだろう。業績が下振れるリスクは小さく、相場下落で投資指標面で割安感も生じた。当面はボラティリティー(相場変動率)が大きくなるとみられるが、次第に落ち着きを取り戻し、株価は上昇基調となりそうだ。年内に年初来高値(2万0868円)の更新を目指して上昇していくとみている。
中国株式相場の動向は不透明要因ではあるが、世界株安で下落していた日経平均はひとまず下げ止まったとみられる。もっとも日経平均は昨日の570円高でも世界株安で下げた分を取り戻せていない。急落前の2万円台の水準に戻るまでの道のりは遠いと言え、当面は様子見ムードが広がりやすいだろう。
世界株安の連鎖が終わったとはまだ言いがたい。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)が最大の関心だ。市場では9月の利上げはないという前提でコンセンサスが形成されつつあるが、万が一、9月に利上げを実施するようなことがあれば、世界の株式相場は再び値動きの荒い展開になりかねない。中国は5回目となる追加の金融緩和を実施したが、市場へのインパクトはまだ弱い。今後、中国当局が本格的に経済対策を打ち出さなければ、根本的な解決にはならず、世界の株式相場の回復にはつながらない。
一方で、世界景気への不安が強まるほど、日経平均の評価は高まりやすい。日本企業の業績は他国と比べて相対的に良好だ。10月には2015年4~9月期決算の発表があり、個人投資家の押し目買いも入りやすい。世界の株式市場で保有資産の選別が進むなかで、日本株に注目が集まるだろう。米利上げの9月実施などの波乱要因がなければ、年内に2万2000円を試すとみている。