第一声をあげる佐喜真淳候補=17日午前9時20分、沖縄県宜野湾市、小宮路勝撮影


第一声をあげる志村恵一郎候補=17日午前9時17分、沖縄県宜野湾市、上田幸一撮影

 米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市の市長選が17日告示され、安倍政権が推す現職と、翁長雄志(おながたけし)知事が支援する新顔が立候補を届け出た。普天間移設問題をめぐる安倍政権と翁長氏の対立が持ち込まれた構図。選挙結果は、政権の同県名護市辺野古への移設計画の進め方に影響する可能性がある。24日投開票。
 立候補したのは、いずれも無所属で、自民、公明の推薦を受けて再選を目指す佐喜真淳(さきまあつし)氏(51)と、新顔で元県職員の志村恵一郎氏(63)。志村氏は県政与党の共産や社民のほか、一部の保守系地方議員なども支援する。16日現在の有権者数は7万3593人。
 一昨年の名護市長選以降、知事選、衆院選など主要選挙で辺野古反対派が勝っている流れが続くかが焦点。今回の選挙結果は、民意を支えに辺野古移設に反対する翁長氏の求心力にも影響する可能性がある。
 翁長氏は、普天間飛行場の地元でも辺野古移設に反対する声が大きいことを県内外に示し、法廷闘争に突入した政権との対立を優位に進める材料としたい考え。17日、志村氏の応援演説で「(志村氏が)勝つことで民意を示し、また私に勇気を与えてください」と語った。
 佐喜真氏を支える政権側は「安全保障に関わることは一地域の選挙で決定するものではない」(安倍晋三首相)として、市長選の結果は移設計画に影響しないとの姿勢。ただ、閣僚経験者や党幹部らが沖縄入りして支持基盤への引き締めを図るなど、てこ入れを強めている。
 届け出後の第一声で佐喜真氏は、子育て支援地域振興など市民に身近な訴えに重点を置いた。普天間問題では「飛行場のフェンスを取っ払うことが我々の夢」と語ったものの、移設先としての辺野古の是非については言及しなかった。一方、志村氏は第一声を普天間問題から切り出した。辺野古への移設計画について、「新基地建設反対とはっきり申し上げる」「名護市民も宜野湾市民も命は等しく重い」と述べ、政権との対決姿勢を鮮明に打ち出した。
 沖縄では今年、6月の県議選、夏の参院選と大きな選挙が続き、宜野湾市長選はそれらの行方を占うとの位置づけもされる。衆参同日選に踏み切るかを首相が判断する上での指標となるとの見方もある。(吉田拓史)