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中国政府、「活仏」870人を独自認定

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中国政府、「活仏」870人を独自認定

  
2016/1/21 6:30


 中国政府がチベット仏教の「活仏(生き仏)」のオンライン・データベースを開設した。批判派からは、亡命生活をするダライ・ラマ14世の問題をコントロールしようとする動きの一環と見なされている。
 中国本土で政府に転生を認定された870人を収録したデータベースは、共産党が後援する中国仏教協会により18日に公開された。
 中国の国営新華社通信は、チベットでトゥルクと呼ばれる転生ラマを指す中国語を使い、このデータベースは「活仏の転生を巡る問題を規制する」ための取り組みだと伝えた。
 チベット仏教の様々な宗派が数千人の転生ラマを認定している。
■活動家らはさらなる干渉だとして反発
 データベース化の発端となったのは昨年、活仏を名乗る福建省出身の漢人漢民族)男性のために、中国の著名人が香港での式典に参加したことだった。この一件は異例の出来事で、チベット人無神論を標榜する中国政府の両方を震撼(しんかん)させた。中国政府は宗派の別なく聖人を名乗る人物の影響力を警戒する。革命、混乱、物質的繁栄という数十年を経て新たな繁栄を手にした中国の人々は、精神的な充足を求めてチベットの高名なラマなど仏教の師に帰依している。多額の寄付をしている人も多い。
 中国政府は、検索可能なデータベースによって、「ニセ活仏」が人々をだましてチベット仏教の評判が傷つくことを防げるとしている。しかし、亡命チベット人の活動家らは、繊細なチベットの文化と宗教に対する中国政府のさらなる干渉だと反発した。ロンドンの活動団体「自由チベット」は次のように述べた。「チベット仏教を『保護』するとして、信仰と宗教団体に対する統制と侵害を強めるための隠れみのに利用する中国政府の現戦略とこの事態とは完全に一致している」
 転生が意外な争点となった背景には、世界的な支持を得てチベットに深く献身する80歳のダライ・ラマ14世が、後継選びに対する中国政府の介入を阻止するために自分は転生しないかもしれないと語ったことがある。これに対し中国共産党幹部らは、ダライ・ラマは生まれ変わらなければならないと公言した。
 中国政府は「転生制度を是認する紛れもない権利」があると主張する。2010年以降、「活仏」の認定は中国政府が行っている。
 アムネスティ・インターナショナルの東アジア担当ディレクター、ニコラス・ベクリン氏はこう語る。「中国政府が活仏の認定に対する新たな統制に動いているのは、次のダライ・ラマは誰かという問題に権限を握るための地固めだ」
 チベット仏教の内部でも、宗派により転生の認定や継続に関する伝統は大きく異なる。高名なラマの後継選びに対する権力の乱用、あるいは中国政府の認定証が売られたという最近の腐敗ぶりに対する懸念から、チベット改革派の一部は転生制度の廃止を提案していると、米コロンビア大学チベット学者ロビー・バーネット氏は話す。
 同氏は、転生制度を統制しようとする中国政府の動きは「おかしいし筋違い」だと言う。「法律に関わるような慣行ではなく地域社会の伝統なのだから」
By Lucy Hornby
(2016年1月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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