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辺野古移設をめぐる国と県の訴訟合戦に和解が成立。 国は和解条項に従がって、県の承認取り消しに対し、是正指示をした。 県は国の是正指示を不服として3月14日、国地方係争処理委員会に審査を申し出る。
沖縄タイムスら地元メディアは多見谷裁判長が設定した和解条項に折込済みの是正指示に対し、あたかも国が和解を踏みにじって強権的に是正指示をしたかのような歪曲報道をしたが、読者はそれほどバカではない。 読者の「沖縄2紙は捏造新聞」との認識がますます高まるだけだ。
国の是正指示に対し県が係争委に不服申し立てをするのも和解条項に折込済みの予定の行動である。
沖縄県、14日に係争委申し出 辺野古是正指示で
係争委への申し出は、承認取り消しをめぐる国と県の代執行訴訟の和解条項で示された手続き。国の是正指示に不服があれば、1週間以内に審査を申し出るよう定められ、15日が期限となっている。係争委は県の申し出から90日以内に審査の結論を出す。和解条項では、「県と国は係争委が迅速な審理判断ができるよう、全面的に協力する」ことも盛り込まれている。
国と県は今月4日、国が代執行訴訟を取り下げ、工事を中止し協議するなどの和解が成立。国は7日に、県に是正を指示した。
埋め立て承認取り消しの執行停止を決めた国交相の決定を不服として、県は昨年11月にも係争委に審査を申し出た。3回の協議の結果、翁長知事の申し出は不適法と判断し、審査に入らず退けている。
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係争処理委は、国の是正指示が適法かどうか90日以内に判断を迫られるので、遅くとも6月中旬には結論が出て、県による再訴訟に至る。 これも和解条項では想定内である。
国と県は昨年8月~9月にかけて集中協議をしたが争点が噛み合わず平行線のまま決裂した。
集中協議が決裂したので、国は「他に解決の手段がない」として代執行訴訟に踏み切った。 ところが県は「政府は法律で定められた手続きを飛ばして訴訟に入った」と反論。 代執行訴訟では専ら「手続き論」が争点になっていた。
今回和解が成立し、国は和解手続に則って県が再訴訟に入ることで、「飛ばした」とされる手続きをクリヤしてから入ることになる。
従がって今回予定される再訴訟は仲井真前知事の埋め立て承認に法的瑕疵があるか(違法かどうか)に論点が絞られる。
翁長知事が結論ありきの私的「第三者会議」を設立し、強引に「法的瑕疵あり」と結論つけた経緯を見れば、承認に瑕疵などあるはずもなく、国の勝訴は間違いない。
また、行政府の承認の継続性から言っても,一旦承認された仲井真前知事の行った処分は、最高裁判所の判例(1968年11月7日)によれば、原則取り消しできない。
仮に翁長知事が取り消す場合は「取り消すことによって得られる利益が、取り消し前よりもはるかに大きい」という場合に限られる。これまでの日米双方の交渉の経過、沖縄の軍事的地位などを衡量すると、その結果は明らかである。
国は代執行訴訟にいたる「手続き論」で、訴訟を取り下げることにより大幅譲歩を示し、今度は和解条項を辿ることにより、本来の争点である「瑕疵の有無」そして行政の継続性に関わる最高裁判決の2段構えで戦うことになる。
だが、どっちへ転んでも国の敗訴はありえない。
【おまけ】
参考になる関連記事。
http://www.nikkei.com/content/pic/20160312/96959999889DEBEAE1E7E5E2E0E2E3E0E2E1E0E2E3E49793E3E2E2E2-DSKDZO9835723012032016000000-NONE-3.jpg辺野古移設「急がば回れ」 国、訴訟一本化へ沖縄県と和解 仕切り直しに「勝算」、米も理解
- 2016/3/12付
- 情報元
- 日本経済新聞 朝刊
沖縄県の米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡る訴訟で国と県の和解が4日に成立した。最短で2022年度を目指していた移設完了時期が遅れる可能性は高まる。それでも和解を選んだ背景には普天間移設の実現に向けた安倍晋三首相の「急がば回れ」の判断と、それを認めざるを得ないオバマ米政権の姿があった。
1日午後、米国の首都ワシントン。全米の注目が大統領選の候補指名争いの天王山となる「スーパーチューズデー」に集まるなか、訪米していた谷内正太郎・国家安全保障局長が静まりかえったホワイトハウスの門をくぐった。
訪米し根回し
「ヤチサン」。ライス氏にこう迎えられた谷内氏は日本外交の多岐にわたる課題を説明した。核・ミサイル開発を強行する北朝鮮や南シナ海で海洋進出を活発にする中国、そしてウクライナ危機をあおるロシアへの対応だ。その中に普天間問題があった。
この会談で谷内氏は日本政府が工事を中断し、沖縄県側と再協議する考え方にも触れ、取り得る選択肢について根回しした。ライス氏は谷内氏の話を黙って聞いた。米側として首相の判断を尊重する合図だった。
米側には進まない普天間問題へのいらだちと不満がたまっている。それでもかつて移設先を「できれば国外、最低でも沖縄県外」と主張した民主党の鳩山由紀夫首相の時のような日米対立の構図はなんとしても避けなければならない。
1月末に福岡高裁那覇支部の和解案が示されたとき、首相や菅義偉官房長官らは慎重だった。移設工事の中断は反対派を勢いづかせる恐れがある。しかし対応を協議する過程で「手続き論で最高裁まで争って万が一負けたら振り出しに戻る」との懸念も膨らんだ。政府が和解案の受け入れを本格検討し始めたのは2月下旬に入ってからだ。
違法性を確認できれば、国はその後、堂々と埋め立て工事を進めることができる。県は工事阻止に向けた他の法的手段には訴えにくくなるとの読みもあった。
見えぬ返還時期
問題は国が違法確認訴訟に勝てるかどうか。菅氏は法務省幹部らと協議し「勝てる」と判断した。最高裁判決による決着まで約1年を要するとみられる。菅氏らの報告を踏まえ首相は4日午前、最終的に決断した。「不可逆性を担保できるなら、それでいこう」
首相はその日に会談した翁長氏に「沖縄県民の気持ちは理解している。安全保障上の問題も無視できない」と呼びかけたが、翁長氏の表情は固いままだった。国と県の対立構図はなお根深い。
「米軍はよき隣人でありたい。日米安保が来世紀への永続的な同盟の一助となることを希望する」。1996年4月12日。橋本龍太郎首相と普天間全面返還で合意したモンデール駐日米大使は共同記者会見で、こう力説した。当時、日米が合意した返還の時期は「5~7年以内」。来月でその合意から20年を過ぎる。
中国の台頭などアジアの安全保障環境は激変した。沖縄の地政学的な重要度も増している。今回の和解で政府と県の交渉は仕切り直しになるが、その核心である全面返還の時期はまだわからない。
(島田学、ワシントン=吉