パルデンの会

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米軍人に 福島原発事故 の 被ばく被害が??????

「病に苦しむ人たちに支援を」 小泉氏、会見の主な発言

2016年5月18日20時54分
http://www.asahicom.jp/articles/images/AS20160518004112_commL.jpg「早く原発ゼロの世界を」と記者会見で訴える小泉純一郎元首相=カールスバッド、平山亜理撮影
 訪米中の小泉純一郎元首相が17日(日本時間18日)、トモダチ作戦の参加者ら同席で開いた記者会見での主な発言は次の通り。
     ◇
【冒頭発言】
 私は先月、日本で、トモダチ作戦に参加された兵士たちが病に苦しんでおられる状況を知人から聞きました。トモダチ作戦は、日本側から米国側に要請して、米国は迅速に、しかも多くの兵士に参加していただきまして、全力を尽くして、救援活動に従事していただいた。
 そのトモダチ作戦に参加していた兵士の中で、放射能に汚染された(被曝〈ひばく〉した)と思われる兵士が、かなり多く出てきている。原発事故から5年経過したが、ますます症状も悪くなっている。このような善意によって、日本の被害に対して救援活動を行ってくれた兵士がいま、重い症状に苦しまされている。これがなぜ、日本国民にも知らされていないのか、不思議に思いました。
 そういう中で知人から、小泉が米国に行って、現実に病に苦しんでいる兵士たちから話を聴いてくれれば、もっとこういう状況が日本国民にも米国民にも知られるのではないか、というお話をうかがいました。
 そして、15日にここサンディエゴにうかがい、日本で救援活動をしていただいた10人の兵士の方から3日間、現在の病状や、日本でのトモダチ作戦の状況について、じかにお話をうかがうことができた。その10人の兵士の方が現在、重い病気で苦しみ、これからどうしようかと困っている話を聞いて、ぜひ多くの日本国民にも米国民にも知ってもらわなければいけないと痛感した。
 私は、総理の時代は原発を推進していた立場でした。しかし、5年前の福島原発メルトダウン事故を経験して、日本の原発はゼロにしなければいけない、という活動をしている。私は元々、原子力技術や原発の問題、科学的な知識に乏しかったので、日本の原発は必要だという専門家や原子力関係者から話を聞いて、原発は安全で、コストは一番安く、永遠のクリーンエネルギーだ、という三つの大きな主張を信じていた。
 しかし、総理をやめて、こういう事故が5年前に福島で起こり、私なりに原発に関する様々な書物を読み、今まで原発に反対してきた方から意見も聴いてみて、分かりました。原発は安全、一番コストが安い、クリーン……。これが全部うそだということがです。
 そして10人の兵士からじかに話をきいて、ひどい状況だな、と。今なお、放射能の影響と思われる病気になった人が増え、病気になった人の症状が重くなっているということを知りました。4月に日本で知人からこの話を聞いた時には、(訴訟の原告が)200人を超えているということだったが、5月に入ると300人を超えていると。今ここに着いたら、400人という話を聞きました。
 特に、東北沖でトモダチ作戦の主要的な役割を果たしてくれた空母レーガン。これは韓国に行く予定だったのが、途中で東北地方での救援活動に参加しろという指令を受けて行ってくれたわけです。そこで、東北沖に停泊しながら何回もヘリコプターで救援活動をしていた兵士が、重い病気にかかっている。それが5年たっても、日本国民にも米国民にも実情が知られていないことを、ますます不思議に思っています。
 日本国民はトモダチ作戦に対して、敬意と感謝をもって、彼らの運動を称賛しているんです。しかし、実際に話を聞いてみて、これは放射能の影響による病気だということが分かりますよ。原子炉が爆発してメルトダウンして、そこで放射能が放出されたんです。
 そして、症状の重い兵士たちが東電に対して、おかしいんじゃないかと裁判を起こしたということを聞きました。東電は、これらの兵士の病気や健康被害は福島の事故と関係ない、と否定しているそうですよ。米国でも、病気になった人が米国のお医者さんにみてもらっても、「これは放射能の被害による病気じゃない」「分からない」という説明をしているそうです。
 私も、原発は安全でコストが安くてクリーンだという専門家の意見を聞いていたが、これは全部うそだということが分かった。お医者さんは専門家ですよ。素人の私でも、病に苦しんでいる10人の話をきいて、病気になっている原因は放射能だという感じがする。あの事故後、東京電力も隠している情報がいくつかあったということが今、分かっている。重い病を抱えている10人からじかに当時の状況を聞いて、米海軍も何か隠していることがあるんじゃないかと感じた。私の訪問と、病に苦しんでいる兵士からじかに聞いた行動が、より多くの日本人や米国民に伝わり、報道されて、ことの重大さに気づいていただく一助になればと思って、今回私は訪問した。どうも日本のメディアでも、放射能に関して隠していることがあるんじゃないか。伝えたくない状況にあるんじゃないか。そう感じています。
 ただ、日本の重大な事故に対して、トモダチ作戦を展開して、救援活動を全力でしてくれたことには、心から感謝しています。しかし私はこうして被害にあって病気に苦しんでいる兵士たちの話をきいて、気の毒だなと思うだけではすまない。見過ごすわけにはいかないと思っています。日本国民として、米国の兵士たちに敬意と感謝をもっているわけですが、気持ちだけじゃなく、病に苦しんでいる人たちに何か支援をすべきだと強く思っています。
 これから日本に帰って、心ある人と相談して、トモダチ作戦での活動に対する日本人の敬意と感謝をどうやって形に表すことができるか、どういう支援ができるかを真剣に考えて、結論を出していきたいと思います。
 これは、原発反対論者も、原発推進論者も、病に苦しむ兵士に何ができるか、共同で考えることだと思っています。今日、こうしてメディアの方もおいで頂いて、取材して頂き、大変ありがたいと思っています。多くの国民が知らないことを、よりいっそう知られるように報道していただければありがたいことだと思っています。これは人道上の問題だと思っています。
 【質疑応答】
 ――どんな支援をしようと考えているか。
 「日本人として、日本国民として、どのような支援ができるか、病に苦しんでいる方に対してどのような支援ができるか。私1人の考えではなくて、私の知っている心ある人々と相談して、これからどういう形で支援ができるかということを検討していきたいと思っています。まだ、具体的に何をしようかという段階ではないと思っています」
 ――今回面会した10人は、どのような症状があり、どのような要望があるのか。
 「彼らは症状がそれぞれ違いますが、今まで兵士でしたから、一般の人に比べて非常に頑健な体をもっている健康な方たちですよね。その若い丈夫だった頑健な兵士たちが、日が経つにつれて、体に異常をきたしている。人によって違いますけれども、体の色々な部分で痛みが出てきている。あるいは、出血している。そして活動に不便をきたして、除隊しなければいけない状況になっている。そして、お医者さんにかかっても、原因がはっきり分からない。肉体的のみならず、精神的にも悩んでいると聞きました。『日本に何か希望は』と聞いても、言いませんね。自分たちの任務は果たした、と。あきらめていますよね。任務は懸命にやったと。あきらめの観念をもって、仕方がないと。いろんな言いたいことはあるんでしょうけれど、恨みがましいことは全然言わない」
 ――来週、オバマ大統領が広島に行かれますが、小泉さんはこうして(米国の)被害者の方にひざ詰めで会われて、「よくわかった。なんとかしなきゃいけない」とおっしゃっている。一方、オバマ大統領は彼ら(元乗組員ら)に会っていない。来週、広島に行っても時間がないから被爆者に会うかどうかわからないという。米国大統領に対して何かアドバイスや、こうしてほしいということはありますか。
 「オバマ大統領が広島を訪問するということに対しては、たいへんいいことだ、と。原爆の恐ろしさは実際にオバマ大統領も理解しているだろうし、だからこそ核の廃絶をしなきゃいけないと言っているわけですね。たいへん難しい問題ですけれども、核兵器の削減、核廃絶にどうやってつなげていくかが大事です。さらに将来、アメリカはエネルギー大国ですから、やろうと思えば、原発ゼロでもやっていける国ですよ。様々なエネルギーもあるから。そういう方向へ進んでくれるといいなあと思っているんです」
 「日本も米国も原発業界の力は強いですよ。この事故が起きてからね、私は日本は地震国だし、火山国だし、原発はもうつくってはいかん、と。いつも事故が起こる時は『想定外』。しかも日本は(福島の)事故が起きる前は54基の原発を持っていた。あの事故以来、自分なりに勉強して、日本は原発をつくっちゃいかんと思った。推進論者はね、『ゼロなんて無責任なことを言うな。ゼロにしたら経済発展できない』『暑い夏、寒い冬、停電してどうやって生活していくんだ。文明生活を送るためには原発が必要なんだ』という主張が多かった。しかし、あの2011年3月、原発事故が起こって、今まで5年2カ月、ほとんど原発ゼロで停電ひとつ起こっていない。電気は余っている。日本は5年2カ月、原発ゼロで実際の生活は困らなかったんですよ。事実が証明しちゃったんです。推進論者は『どんな機械でも事故は起こるんだ』って言いますよ。『ある程度の事故は覚悟して。それよりも、もっと恩恵があるんだから、それも考えなきゃいかん』と」
 「しかし、実際の原発メルトダウンを見てね、原発の事故は絶対起きてはいけないと思っています。ひとたび大事故が起きれば、スリーマイルもチェルノブイリも、ふるさとがなくなっちゃう。故郷に帰れないんですよ。人が住めなくなっちゃう。あまりにも被害が多すぎる。だから事故を起こしちゃいけない。事故の起きない産業はないって言ってるんだから、やめなきゃいけない。『十分な安全対策をしたから大丈夫だ、安全だ』って言ってきたんじゃないか。原発が導入されて約50年、3度も大きな事故を起こしてるじゃないですか。人為的なミス、機械の故障、数えあげればきりがない。だから日本みたいにカリフォルニア1州よりも狭い国で、1億人以上の国民が住んでいる国では、原発を持つべきではないと確信してますよ。しかも、約5年間、事実上、原発ゼロでできるんだということを証明しているわけですから」
 「飛行機の事故とか自動車の事故とは比べものにならないような大きな危険性を持つのが原発産業ですよ。原発はCO2)を出さないと言っていますけど、原発によって電気が供給される過程で、いかに地球環境が汚染されているかもはっきりと分かっています。原発産業そのものが地球を汚染している。ですから、ひとたび事故が起きたら取り返しがつかない。こういうことを世界の国々に理解してもらってですね、早く原発ゼロの世界を、日本国だけじゃない、ドイツだけではない、世界の国々が自然環境を大事にするようなエネルギー源を開発しなきゃならない」
 ――日本に帰った後、この経験を生かして日本の子どもにしようとしていることは。
 「私は日本国民の被害に対しては、日本政府も日本国民もこれから様々な分野で支援しなければならないし、支援の計画も実行に移している。日本の救援にきてくれたアメリカの人々に対しては、全然知らなかったというか、支援の手を差し伸べていない。やっていないというのは、日本国民として恥ずかしいと思うので、今回訪問したわけですよ。日本国の様々なことは、私がやらなくても、ほかの人がいっぱいやっている」
 ――この裁判は、小泉さんが進めている原発をゼロにするという運動にどう役立つか。一番衝撃を受けたことは。
 「病に苦しんでいる10人の方から話を聞いた中で、『どうしてこんな体になっちゃったのか』ということです。最初は原因が分からない。放射能は、色が見えない、においがしない。活動していても、ひどいところで活動しているとは分からない。何カ月かたって、その症状が出てくる。その症状が治る方法が分からない。いかに放射能が恐ろしいかが分かった。兵士たちは、自分の体で分かった時は治せない。あきらめの感情をもっている」 「これは将来、どこかの原発でまた起きるかもしれない。みんな想定外なんだから。いかに様々な安全対策をしているか、としてやってきたけれど、わずか50~60年の間に大きな三つの事故が起きて、またいつか起こるかもしれない可能性が十分にある。裁判をすることによって、今まで隠された情報が出てくるんじゃないか。国民に知らされていなかった情報が、裁判によって明るみに出てくれば、いかに原発産業が問題があるのか、多くの世界の国民に分かる。もう原発やめよう、核兵器を廃絶しようという機運が盛り上がればいいなと」
 「そして、自然環境を大事にしようと。幸いにして今、自然の世界に無限にある太陽光とか風力とか、波の力とか地熱とか、バイオマスとか様々な自然環境を大事にするようなエネルギーがどんどん開発されてきている。今までそういう開発に資金を充てないで、原発に資金を充てた。そういうのをやめて、自然を大事にする環境が整っていくような一助に、これからの裁判がなるんじゃいかと期待しています」
 「あの事故後、より厳しい基準をつくったといっているけれど、日本の原子力規制委員会の委員長は、新しい基準に合格しても『安全とは申し上げられない』と言っているんですよ。去年。ところが、日本の政府は、日本の原発の安全基準は世界一厳しいと言って許可してしまった。世界一厳しいと言うなら、米国の原発基準と日本の今の原発基準を比べてみろと言いたい。事故が起きた場合の住民の避難計画を一つとってみても、あるいは地層の、活断層とか、地震の可能性、これをとっても、アメリカに比べて厳しいとは言えない。なおかつテロ対策なんていうのは脆弱(ぜいじゃく)だと分かっている。それなのに、世界一厳しいといっているのが理解できない」
 「そして、これは面白いことですが、米国の学者エイモリー・ロビンスに『米国も原発ゼロで経済発展できる』という著書がある。現に今も生きている。米国は日本よりも石油もシェールガスもある。様々なエネルギーがある。日本よりもやる気になれば原発抜きでやっていける」
 ――2020年の五輪は日本でやるが、選手を危険にさらすとは思わないか。
 「オリンピックに対して、今私が言う立場にはないと思うんですが。世界でスキャンダルが問題になっている。いつ、日本で大地震があるか、津波があるか分からない。ないように祈るしかない」
 ――福島の事故の何がきっかけで、なぜ考えを変えたのか。
 「昔からのことわざに、過ちを改めるにはばかることなかれ、というのがある」
 「原発は安全だというのが、うそ。他の電源に比べて、原発のコストが一番安いというのもうそ。クリーンエネルギー、永遠のエネルギーというのもうそ。この原発推進者が言っている一番大きな大義名分がうそだということが、私は勉強して分かったからです。それを責められるのはもっともだと思うんだけど。(自分が総理の時に)推進していたのは、そういうことが分からなかったからだというのは、私の不明の至りだ。ですから、私が勉強してみて、事故が起きる前から原発の危険性を指摘してきた人々や学者には敬意を示しています」(カールスバッド(米カリフォルニア州)=田井中雅人、平山亜理)




勝谷誠彦氏の有料ブログより転載

2016年5月19日号。<小泉純一郎元首相の「個人的外交」おそるべし。やっと日本もこういうソフトを使えるようになったか>。

 
 3時起床。
 我ながらどうやって飯を食っているのかと不思議になるほど今週の
手帖は真っ白なのだが(泣)今日という日には強い筆圧でひとこと書いてある。「日垣さん、本、発売」だ。畏友・日垣隆さんの新作がこの日に出ると聞いていた。アマゾンでは21日発売とあるが、配本は前後する。多くの書店では今日、並んでいるのではないか。
 『脳梗塞日誌 病棟から発信! 涙と笑いとリハビリの100日間』
 http://amzn.to/1XmvFti
 脱帽はしないよ、日垣さん。
私でもおそらく同じことを考えただろう。小説家のような立派な方々を別にすると、私と日垣隆は、いまの日本国でモノを書いて食っているプロの双璧だと自負している。その彼が脳梗塞で倒れた。だがその瞬間から私は「こう来るな」と考えていて、それができるほどの回復を願っていた。私たちは河原乞食である。病に倒れたからといって、会社がおカネをくれるわけではない。しびれた手、失った足を使ってでも踊らなくては食えていけない。そして、そのことがささやかな誇りだ。日垣さん、勝手に言ってごめんね。
 大切なのは「観衆」がいることだ。
日垣さんにしても私にしてもまことにありがたいことにそういう方々がいる。これが「名前」というものである。そして、木戸銭をとって興行を企画してくれるひとびとがいる。私の場合は吉本興行(まさにいい名前だ)とマネジャーのT-1君などだが、日垣さんの本をきちんと出す出版社には敬意を表したい。『大和書房』という名を私は記憶するだろう。
 http://www.daiwashobo.co.jp/
 まだ入手していないので読んでいない。
こんな状態で本の紹介をするのは著者に失礼だろう。それでも、書きたかった。日本国の出版界も捨てたものではない。「紙の本」を作っている私の後輩たちよ。時にはやらねばならないことがあるのだ。就職前のことを思い出して欲しい。みんな出版社に入りたかった。しかし「本を作れる」という場所に行けるのはきわめて限れた人数だ。なぜだと思う?それは「紙の本」という、版元にとってもひとつの商売としての賭けに選ばれるには、これまた選ばれた人々だけだからだ。会社に入るとそのことがわからなくなる。
 私は幸いなことに「選ばれる側」と「選ぶ側」
の双方を体験することができた。贅沢なことである。自分の本だけでも何十冊も出し、編集したのは…少ない。とほほほ。ほんまにアホで無能な編集者だったのだ。向いていなかったのかなあ、と今ごろ遠い目をする。書籍編集者としてだした「これは」という本は、三好和義さんの『SAHARA 金の砂銀の星』くらいだもんなあ。
 http://bit.ly/1W3bTnN
 <この本の出版当時、三好和義は定期的に「週刊文春
の特大号のグラビアの撮影をしていた。
 その頃の「週刊文春」には、
今やコメンテーターでとして有名な勝谷誠彦がいてグラビアを担当していた。写真に人一倍、理解と興味を持っていた勝谷との出会いでこの傑作写真集が生まれた。
 まるで月面のように見えるサハラ砂漠
シルキーで触れれば滑らかな衣擦れの音がしそうな美しいモノクロ写真。現実は、過酷な砂漠の中で撮影が行われた。>
 この時の文藝春秋の経営陣は偉かったと思う。失礼ながら、
おそらく写真のことなど何もわかっていないのである。そこへやってきたまだ新入社員と言っていい私の意見を、すべて聞いてくれた。紙から印刷をもう滅びていた活版にすることまですべて、私がわがままを通した。畢生の一冊である。お手にとっていただければ幸いだ。紙の本を作るというのは、そういうことなのだ。
 <「週刊誌」
のグラビアというキッカケから生まれた写真はその後、編集者の手により、特別な写真集に生まれ変わった。
 特にこの時、こだわったのが活版印刷。浮き出るような明朝文字。
失われゆく技術の伝承。その記憶。>
 いや、先生、そうおっしゃるのは簡単ですが、
どれだけの交渉が裏側にあったか、と今言っておく。しかも解説から序文、デザインまですべてご指名である。
 <解説は三好和義の師匠、杵島隆。序文・伊集院静
アートディレクション・阿形竜平>
 ADの名前は今回はじめて気づいたが、三好さんの事務所の誤植。
訂正をお願いしておいた。「阿形」さんです。日本を代表するデザイナーだ。あらためて引いていて、よくこんな交渉を自分でやったと思う。紙の編集者というのはビョーキなのである。ひとつの作品をなんとか作り上げたい。今回、日垣隆さんの病床からの叫びを「紙にしたい」と思った大和書房の担当者に心を寄せて、なんだか昔自慢になってしまったが、このように書き置くのである。

 小泉純一郎というひとが登場した時に、
私はペラペラだと思ってあまり評価していなかった。しかし首相を続けるうちに身を乗り出した。「少なくとも外交の能力については天性のものがあるのではないか」と。それが花開いているのは、むしろ退任してからである。もちろん「本家」安倍晋三首相や麻生太郎外相の足腰がしっかりしているからなのだが、それを支える小泉さんはまさに「水戸黄門」となっている、というのは褒めすぎか。でも、これは驚いた。
 <小泉氏が涙/トモダチ作戦健康被害「見過ごせない」>
 http://www.asahi.com/articles/ASJ5K354LJ5KPTIL00B.html
 <東日本大震災の「トモダチ作戦」に従事し、
福島第一原発沖で被曝(ひばく)したとして、東京電力側を相手に集団訴訟を起こした米海軍の元兵士らが400人に達した。「原発ゼロ」を唱える小泉純一郎元首相(74)が訪米して健康被害の訴えに耳を傾け、「見過ごせない」と涙を流した。>
 外務省の能力をもともとあんまり信頼していない私だが、
これが仕掛けだとすると、褒めるしかない。日本国は国策として原発の存在を続けるとしている。しかし元首相がずっと原発廃止を言い続けているというのは、ここでもう既に私は誰が仕掛け人かと思っていた。優れている。ましてやこういう時に、外務省は出ていけないのに元首相が出かけて泣いてみせるということは、国際的にパフォーマンスの極致だ。安倍さんとどのくらい裏で話が出来ているのかはわからないけれども、これを出来るのは小泉さんしかいない。
 海外では「元大統領」「元首相」などというのは、
外交的な大きな資産なのだが、わが国では活用されていなかった。小泉さんのような派手なひとがあちこちで役割を演じてくれるのはまことに助かるというほかはない。これはまことに迂遠な憶測だが、支那朝鮮の因縁野郎どもに対しても、小泉さんは使えるかも知れない。儒教の国は権威がすべてである。小泉さんが国内での批判を覚悟して「最後の御奉公」支那朝鮮に行って、何らかのメッセージを「私人」として出すというのはありかも。
 流涕できる、ということが「プロ」なのである。
現役首相ならば決してやるべきことではない。しかしここでやってのけたところに、小泉純一郎の「プロ政治家」としての日本国への気概を私は見たのであった。

 食べもの紹介についてときどき触れているこことしては、
一般にウェブ上に流布しているそういう情報への疑義を呈してきた。あくまでも疑義であって否定ではない。しかし、匿名の素人の舌にどの程度の信頼性があるのかなあ、は書いてきた。実際、私は自分の名誉をかけて紹介している。官能的な部分なので好き嫌いはあるだろう。とはいえ「私はおいしかった」と言い切れなくてはひとに教えてはいけない。面白いなあ。私が書いた瞬間に(関係ないでしょうけどね)匿名性のウェブで代表的だった『食べログ』がこんなことを。
 <食べログ、著名人の公式アカウント「グルメ著名人」
をスタート>
 http://www.sankei.com/economy/news/160516/prl1605160186-n1.html
 <食べログアプリのリニューアル記念!
 食べログ、著名人の公式アカウント「グルメ著名人」をスタート
 グルメなあの人が行ったお店を見られます「
著名人とのお食事会にご招待」などWプレゼントキャンペーンを開催。株式会社カカクコム(本社:東京都渋谷区 代表取締役社長/田中 実)が運営する、ランキングと口コミのグルメサイト「食べログは、スマホアプリのリニューアルを記念し、著名人の公式アカウント「グルメ著名人」を本日開設しました。サービス開始時点では、モデル・ミュージシャン・グルメ評論家・経営者など15名が参加。専用ページで、実際に行ったお店の口コミや写真を発信します。同時に、著名人との食事会へのご招待などWプレゼントキャンペーンも開始します。>
 「業界のヒト」ではないので不勉強なのだろうが、
名前を聞いたことがない方々ばかりだなあ。大崎裕史さんはもちろん存じあげている。確かにラーメンのプロだが、全般にわたる食通なのかどうかは知らない。亀田興毅さんもわかるが、あのヒトに味が理解できるのかどうかはこれまた知らない。書いてきているように「署名で責任をもって紹介する」という方針はいいだろう。だけどその「舌」がどの程度なのかがもっとも問題だ。これは勇気がいる。私は「逆算」する。店はたいがいわかるので、この「グルメ」の方々がどういう「舌」を持っておられるのかを楽しむのである。この原稿で紹介していこうか。『食べログは期待していただきたい。

 私ならではの解説ができるなかなか面白い記事があったので紹介し
ておく。まあ、ヒマねただが。
 <有名人の「観光大使」就任、効果はあるの?>
 https://thepage.jp/detail/20160518-00000002-wordleaf
 <長崎県佐世保市は4月、元プロ野球選手の城島健司さん(39)
佐世保観光名誉大使に任命し、委嘱状を交付した。全国各地で有名人が就任することで話題を呼ぶ観光大使だが、そもそも有名人側はどんな仕事を果たし、都道府県や市町村は何のために「観光大使を任命するのだろうか。>
 私はかなり長く「長崎県観光大使」をやっていた。
知事からの任命書は立派な額に入ってやってきた。しかし、なにしひとつ!したことはなかった。そもそもなんで大使になったのかわからないが、当時の番組でたまたま長崎関係が集中した。それを見て言ってきたらしい。もっとも県民の方々に弁明するならば、カネは一銭も受け取っていない。しかしひとつもやったたともなかった。税金を使ったとすればあの「任命状」だけだ。
 <観光大使は、
その地方自治体出身の有名人が選出されることが多い。大分市観光大使指原莉乃さん、みやぎ絆大使の宮藤官九郎さん、和歌山県ふるさと大使坂本冬美さんなど、その土地になじみの深い芸能人が任命され、ふるさとの魅力を発信している。>
 私ならば兵庫県であろう。生まれ育って、
中学高校もそこで通った。でも、ひとこともない。まあ、力不足なのだろうけれども。兵庫県の魅力、いや、生地である尼崎市の魅力も計り知れない。この年になると、そをしたものを深堀りしたくなるのだ。
 観光大使よりも実は大切なのは、
地元の人々に住んでいるところの魅力を再発見させる「先生」なのではないかなあと、最近は思う。私も自分の生まれ育った土地をこの年になってまた学びなおしている。これはなかなか楽しいのです。あなたや、あなたにもおすすめしたい。


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