田んぼの真ん中から“温泉”が湧いた? 熊本地震の発生後、熊本県阿蘇市狩尾地区の田んぼからぬるい湯が湧き出し、「温泉か」と話題になっている。地震の影響とみられるが、もともと井戸などがあった場所ではなく、住民は首をかしげる。同地区では地震で地盤沈下や亀裂が多数発生。地下水が噴出したり、井戸が枯れたりする被害も相次ぎ、産業技術総合研究所(産総研、茨城県)は近く現地調査に乗り出す。
【画像】一方、お湯が出なくなったり、水量が減ったりして阿蘇で旅館休業が相次いでいる
田園風景が広がる同地区。地震で地面がずれ、大きな起伏ができた県道沿いの田んぼの一角を見ると、高さ約50センチのパイプの先端からこんこんと透明な水が湧き出ていた。触ってみると生ぬるい。住民によると、湯は鉄分を含んでいるとみられ、約25メートル四方に広がる水たまりには、赤茶色の沈殿物が漂っていた。
田んぼの隣に住む高島ハチミさん(83)は、4月16日の「本震」後の朝、田んぼの異変に気付いた。「草の間から水が染み出し、湯気がもくもくと上がっていた」と振り返る。その後も水が染み出る面積は広がり、近くの阿部政信さん(65)が5月中旬、湧く場所を特定した。湯温は25度前後とみられるが、日によって変化し、本震直後より湯量は増えているという。
湯は米作りには使えず、水路も地震で壊れ、現在は田植えができない状態。高島さんは「温泉ならよかけど、今の状況では何も作れない。かえって迷惑」と困惑気味。法律上、温泉は25度以上で成分などの規定があるが、阿部さんは「湯量や温度が安定すれば、温泉として活用できるかもしれない」と期待する。
現場から約200メートル先の井戸は水が出なくなり、2キロほど離れた温泉では湯量が増え、温度も上昇。一方、約3キロ先の内牧温泉は一部の源泉で湯量が減少するなどの異変が起きている。
産総研地質調査総合センターは近く現地で水質などを調べる。佐藤努主任研究員は「近くの温泉と成分が一致すれば、地震の影響で新たに湧き出した可能性がある」と指摘している。
=2016/05/30付 西日本新聞夕刊=
阪神大震災のあと神戸市灘区内の水道が断水となったために、銭湯が独自で井戸を掘って給水を行った。
その時の井戸の深さは200m弱、しかしその水は
水質の良い、温泉水であった。 200mと言えば普通の井戸の掘削深度でありそんな浅いところから温泉(25-30度の炭酸温泉)が取れることもビックリだが、現在もその 井戸水=温泉水はかれておらず銭湯は温泉に加水、加熱せず温泉かけ流しとして使用している。
地震で温泉が出たのか 昔から兆候があったのか不思議である。
(パルデン記)
湯上がりさっぱり ぬるめの「源泉浴」人気 神戸
蒸し暑い夏が訪れ、入浴しても汗が噴き出る。かといって水風呂は冷たすぎて…。神戸市内の銭湯では、湯上がりさっぱりの温度低めの「源泉浴」が人気を集めている。体温よりやや低い30度強。通常なら加熱する温度だが、銭湯側も燃料コストを抑えられ大歓迎。専門家は「源泉温度が低いという弱点を逆手に取ったアイデア」と喝采する。(阿部江利)
神戸市灘区10+ 件に2店を構える「灘温泉」の源泉風呂は32度の炭酸水素塩泉の掛け流しだ。ぬるめで、シュワシュワと肌に小さな気泡が付く。筋肉痛、切り傷、疲労回復などの効能があるといい、西本一夫社長(66)は「湯船は長く入れても5分。夏場は露天風呂も加熱していない源泉にして喜ばれています」。
阪神・淡路大震災で店が2店とも半壊。2000年に六甲道店(同区備後町3)で温泉を掘った。「お金がなくて熱い湯がある深さまで掘れなかった」と悔やんだが、3人ほどの小さな源泉の浴槽が大人気に。03年に泉源を堀った水道筋店(同区水道筋1)には、10人入れる源泉用の浴槽を造った。西本社長は「熱い湯とぬるいお湯を交互に入る『冷温交互浴』がお勧め」とアピールする。
廃業寸前から一転、5月に営業継続が決まった同市兵庫区湊山町の「湊山温泉」にも、26~29度の炭酸水素塩・塩化物泉の浴槽がある。源泉と、46~38度の計五つの湯船があり、同温泉は「水道料金を節約するため、苦肉の策として水風呂の浴槽に温度低めの源泉を入れたら大好評」と話す。
同市兵庫区永沢町2の「朝日温泉」は、31度の弱アルカリ性の単純温泉の掛け流し。同市浴場組合連合会の会長を務める佐々木勝司社長(74)は「湯量が豊富で、心地よい冷たさでないとできない。数は少ないはず」と胸を張る。同市灘区篠原南町4の「篠原温泉」にも30度の炭酸水素塩泉がある。
2015/8/26 07:10