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今後50年間で中国が
戦わなければならない
「6つの戦争」
すなわち、中国の新書『中国は恐れない――国家安全保障への新脅威と戦略対応』は、人民解放軍の戦略の一部として、軍人か否かを問わず国内の精神的引き締めを行なうと共に、中国の行動を規制する外国勢力を牽制するものである。その他にも、人民解放軍が係ったと思われる映画と通信社の記事にも、同様の分析が成り立つ。
映画は、米国が、5つの方法によって中国政府を転覆させようとしている様子を描いている。その方法とは、(1)政治的に中国を弱体化させる、(2)文化的浸透を図る、(3)思想戦をしかける、(4)諜報部隊を訓練する、及び(5)中国国内の反体制派を強化すること、である。全体としては、米国が中国を支配下に置こうとしているということを伝えたいようだ。映画を見た中国国内の軍人や民間人は、侮辱された感情と怒りを持つだろう内容である。
映画の製作に人民解放軍は密接に係った。具体的には、国防大学、中国社会科学院、及び、国家安全部の管轄にある現代国際関係研究院が、今年初めに映画の製作に関与した。これは、確かに、米国のアジア回帰に対応したものであるが、より深い根本原因もあるだろう。これだけ権威ある中国の諸機関が映画製作に携わったということは、そこで示された極端な感情が人民解放軍のタカ派に限られたものではないことを表す。
今年7月には、更に問題となる領土回復主義の記事が、中国新聞網のサイトに掲載された。この記事は、「今後50年間に中国が戦わなければならない6つの戦争」という題名で、人民解放軍の一部に見られる超国粋主義の態度を示している。しかし、このような記事が中国国営通信社に掲載されるという事実から、これが指導部で認められた考えであることが想像出来る。
(2)南シナ海の様々な諸島の領土回復戦争(2025-2030年)、
(4)釣魚島及び琉球諸島回復戦争(2040-2045年)、(5)外蒙古統一戦争(2045-2050年)、
台湾に関しては、中国は、武力行使の手段を放棄したことはなく、具体的時期が示されたことも今まではなかった。偶然ではあるが、丁度、台湾軍が、中国は2020年までに台湾を併合する軍事的能力を有するだろう、と発表したばかりである。南シナ海に関しては、現在のいざこざが戦争に発展することは想像に難くない。3つ目の中国によるインドのArunachal Pradesh州への領有権の主張は、何十年も中印関係の棘であったが、中国がヒマラヤのチベット文化圏のどこまでを勢力圏として主張しているかは、今だ明らかにされていない。
上記の戦争は、現在の中国の政策で裏付けされたものでもなければ、極端な超国粋主義者の見解にすぎないかもしれない。しかし、戦争によって領土を回復しなければならないという主張は、長い間中国で言われてきたことであるし、中国政府公認の1938年「中国の屈辱」地図は、上記記事が主張する領土と驚くほど一致している。この地図の中国が「失った」領土には、ロシア極東、琉球諸島、台湾及び南シナ海のみならず、韓国、ヴェトナム、カンボジア、ラオス、タイ、ミャンマー、マレー半島とシンガポール、ネパール、パキスタンの一部及び中央アジアの殆どが含まれている。
中国の戦略は、中長期的です。上記の論説で紹介された記事のように、50年間で6つも戦争をしかけては中国ももたないと思いますが、中国人民解放軍は、ハードな軍事戦争のみならず、「三戦」(心理戦、情報戦、法律戦)と呼ばれるソフトな戦争もしかけます。更に、今日では、経済や文化も重要な手段となり、人海戦術も活用しています。