◇ラオスで東アジアサミット
【ビエンチャン影山哲也、岩佐淳士】日米中や東南アジア諸国連合(ASEAN)など18カ国の首脳が一堂に会す東アジアサミット(EAS)が8日、ラオスの首都ビエンチャンで開かれ、南シナ海問題を巡り、日米と中国が応酬になった。仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)が7月に中国の権益主張を退ける判決を出して以降、日米と中国の首脳が国際会議の場で、仲裁判決について直接意見を交わすのは初めて。
会議にはASEAN各国首脳のほか、安倍晋三首相やオバマ米大統領、中国の李克強首相らが出席した。
会議筋によるとオバマ氏は「当事国を法的に拘束する」と強調し、中国に判決順守を促した。また、南シナ海を「軍事化」せず、紛争解決に向けた拘束力のある行動規範(COC)の早期策定を中国とASEAN双方に求めた。
安倍首相もオバマ氏と同様に判決は法的拘束力を持つとの認識を示した上で、昨秋の米中首脳会談で習近平国家主席が「軍事化の意図はない」と確約したことを念頭に「『軍事化しない』との昨年の中国首脳の発言が履行されることを期待する」と述べた。
これに対し、李氏は「領有権紛争は当事国同士の協議、交渉で解決すべきだ」と日米の介入をけん制した。会議後、中国の劉振民外務次官は記者団に「域外の2カ国だけが仲裁(判決)に言及した。域内の国家に仲裁順守を求めることは協力と対話による問題解決の潮流に反する」と名指しを避けながらも日米を批判した。オバマ氏が要求したCOCの早期策定については、2017年7月の中国ASEAN外相会議までに「枠組み草案を完成させる」と強調した。