【山本優美子のなでしこアクション(5)】慰安婦財団への10億円拠出は、日本政府が「慰安婦=性奴隷」と認めたことになってしまいます
http://www.sankei.com/images/news/160820/prm1608200022-n1.jpg「Comfort Zone=居心地の良い場所」や「Comfort Food=幸福感を満たす料理」という単語は英英辞書に載っていますが、「コンフォート・ウーマン」は一般に使われる英単語ではなく辞書にも載っていません。ですから、海外のニュースでこの単語が使われるときには必ず以下の説明が追記されています。
つまり、日本が「コンフォート・ウーマン」に謝れば謝るほど、お金を出せば出すほど、英語圏の人はそのニュースを読み「ああ、やっぱり日本軍は幼気な10代前半の少女を何十万人も拉致して強姦して奴隷の様に扱って心身ともに傷つける酷いことをしたんだな。だからまた謝ってお金出したんだな」と理解します。日韓合意に基づく韓国慰安婦財団への10億円の拠出は「少女を性奴隷にする残虐な日本軍」というイメージをさらに強く刷り込むことになるのを日本政府は分かっているのでしょうか?
そもそも日本は元慰安婦に対して、充分すぎるほど謝罪をし、お金を支給しています。日本は平成7年(1995年)「アジア女性基金」を設立し、平成19年(2007年)の事業終了までの間に日本国民から約5億6500万円の募金を集め、政府から約48億円を拠出しました。この基金から韓国の元慰安婦に対し、一人当たり500万円(償い金200万円、医療福祉支援金300万円)ものお金と総理大臣の「心からおわびと反省」手紙を渡しています。
果たして、米大統領が、終戦直後の占領軍の日本人慰安婦や朝鮮戦争での韓国人慰安婦に対して、「おわびと反省」の手紙を送ったりするでしょうか? 韓国がベトナム戦争時にベトナム女性に行った蛮行を謝罪して一人当たり数百万円もの償い金を出すでしょうか? そんなことは到底考えられません。日本のように元慰安婦に配慮した国は他にないのです。
当時、この「アジア女性基金」に猛反対したのが、挺身隊問題対策協議会(挺対協)という韓国の慰安婦支援団体です。挺対協は「アジア女性基金」からお金を受け取った元慰安婦を徹底的に虐めました。挺対協にとっては慰安婦問題が解決してしまうと活動することがなくなってしまい、本当は困るからです。虐められた元慰安婦たちは抗議文を発表し、こう訴えています。
「挺対協と広州ナヌムの家は、慰安婦のハルモニを売りながら数年間世界各国等、全国各地を回って募金した基金の出所を明らかにせよ。挺対協幹部と側近の財産とあらゆる汚職を調査せよ。慰安婦のハルモニの胸に刀を差し、その血潮をむさぼる挺対協は、死んだあとで記念館が、慰霊碑が何の役に立つというのか! 挺対協はハルモニ達に汚れた金は受け取るなと言い、なぜ日本に金を要求するのか!」
挺対協は、今回の日韓合意と慰安婦財団にも猛反対しており、アジア女性基金の時と同じような事態が起こる可能性があります。そもそも日韓合意は政府間の合意であって民間団体の活動を縛るものではありません。韓国内には、確認した範囲で慰安婦少女像がすでに27体設置されていますが、そのうち4体は日韓合意後の今年(平成28年・2016年)に入って設置されたものです。
-日本政府による強制的な軍隊売春制度「慰安婦」は、「集団強姦」や「強制流産」「恥辱」「身体切断」「死亡」「自殺を招いた性的暴行」など、残虐性と規模において前例のない20世紀最大規模の人身売買のひとつであり、日本は公式に認めて謝罪し、歴史的な責任を負い、現世代と未来世代に残酷な犯罪について教育をしなければならない。
日本政府は、2014年8月に朝日新聞が吉田清治虚偽報道を認めて以降、国連への報告書の中で慰安婦問題に関し、「強制連行を示す記述は見当たらない」とはっきり主張しています。また、国連の報告書や勧告は一方的であり、慰安婦20万人は裏付けがないことや、性奴隷という表現は事実に反することなども、事実関係を示した上ではっきりと反論しています。これらの反論を外務省のホームページのアクセスしやすいところに掲載することも必要です。
しかし、慰安婦像の撤去にも応じていないのに10億円を拠出するということは、海外で懸命に慰安婦記念碑に反対している日本人たちを見捨てる行為だと言えます。問題を知らない現地の人たちから「日本政府だって謝ってお金出してるじゃないか。何であなたたち反対しているの?」と言われてしまうからです。
そんな状況下で、米ニューヨーク州とニュージャージ州在住日本人女性たちがこの夏に「ひまわりジャパン」というグループを立ち上げました。「このままではいけない。未来を生きる日本の子供たちが日本人として誇りをもって生きられるようサポートしよう」と思い立ったからです。
カナダでも同じように女性のグループが活動しています。豪州では「オーストラリア・ジャパン・コミュニティ・ネットワーク」の皆さんが慰安婦像反対運動で頑張っています。米国メリーランド州にお住まいの80代後半のご婦人は現地でニュースレターを発行し「これからも誤った歴史的認識の一つとして慰安婦問題について書き続けるつもりです。蟷螂の斧ではありますが立ち向かっていきたい」と仰っています。
■山本優美子(やまもと・ゆみこ) なでしこアクション代表。上智大学卒。保守系活動にボランティアで関わるうちに慰安婦問題は女性が取り組むべきと考え、2011年に「正しい歴史を次世代に繋ぐネットワーク~なでしこアクション」を立ち上げ代表となる。海外の邦人女性とも連携し、対外発信、国連対策にも取り組む。好きな言葉は、「国家とは亡くなった祖先、現在の私達、これから生まれる子孫、三者の共同事業である」。
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