自国の事しか考えない国の 悲惨な末路を 喜ぼうではないか?
[FT]中国の買収、ドイツ「待った」
投資の流れ一方向 欧州の不快感映す
- 2016/10/30 3:30
- 日本経済新聞 電子版
日本が1980年代後半、国内の高い資産価格と低利で調達した資金にものをいわせ、世界で買収攻勢をかけたが、中国企業による買収の一部も同じ結末を迎えるだろう。日本企業は当時、どう扱えばいいか分からない資産を高値づかみし、問題に突き当たった。だが、ドイツの動きは買われる側としても、中国による直接投資の急増を深刻に受け止める必要があることを物語っている。
■手っ取り早く製造業を強化
こうした攻勢は不思議ではない。中国政府は昨年、製造業を強化する10カ年計画「中国製造2025」を発表し工作機械、ロボット工学、航空宇宙、医薬品、IT(情報技術)など10の産業の先端分野に進出するよう自国企業に呼びかけた。自力でドイツや米国の先端企業に勝てないなら買収するしかないということだろう。
■門戸開放など中国は行動を
中国のWTO加盟を認めたのは、グローバル企業の中国市場へのアクセスをしやすくするためであり、自動車生産など一部の産業では実際、海外からの投資が実現した。ところが、中国は海外企業による医療や物流、通信などの産業への投資を過剰なまでに制限している。中国不動産大手の中国泛海控股集団は23日、米保険大手ジェンワース・ファイナンシャルを約27億ドルで買収することで問題なく合意したと発表したが、中国での海外保険会社の市場シェアはまだ微々たるものにすぎない。
中国企業による買収攻勢になすすべがないドイツは窮地に立たされている。EUには、海外企業による慎重な判断を必要とする買収を審査する米国の対米外国投資委員会(CFIUS)のような機関がない。EUは中国に対し、欧州企業が容易に参入できるよう強く求めているが、不均衡は中国にとってはむしろ好都合で、中国政府との交渉は一筋縄ではいかない。
だが、中国にとって虫のいい状況が続くはずがない。中国が規制を緩和するか、欧米が規制を強化するかのいずれかだ。このままでは欧米は規制を強化し、中国企業による買収は認められなくなるだろう。そうなれば、全員が不幸になる。
By John Gapper
(2016年10月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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