パルデンの会

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なぜ中国の民主化運動は分断されてしまったのか

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018)1月28日(日曜日)
        通巻第5598号
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 マラウィ制圧から弐ヶ月。フィリピン国軍六個旅団が残留
  ISのテロリストは何処へ去ったか? 住民の半分が復帰
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 2017年10月23日、ドゥテルテ大統領はマラウィを訪れ、テロリストを退治したと宣言した。「さぁ、復興を始めよう」。
 マラウィはイスラム教徒の多い、ミンダナオの中央に位置する都市で、人口は40万人だった。

 IS系のマウテ集団がマラウィの主要な建物を占拠し、武装闘争を開始したため、政府軍、警察が動員され、半年にわたる戦闘がつづいた。ISは「第二のシリア」を狙っていた。

 武装グループ、政府軍兵士、警察、市民等およそ1800名が犠牲となり、街の大半が廃墟と化した。
近郊へ逃れた避難民は40万人、国際赤十字ボランティア団体が救援活動に従事したが、難民の多くはテント村、寝具もないので地べたに寝て暮らした。

 制圧から弐ヶ月を経て、現地入りした『ストレート・タイムズ』の記者は、病院が再開され、大学キャンパスも平常に戻り、モスクでは人々が集まり、タクシーが街を走っている様子を伝えた。

 およそ20万人の市民は自宅に戻った。家財道具はあらかたが消えていて、生活必需品が不足していた。金目の物はすべて盗まれていた。それでも自宅が残っていた市民は幸いだった。
爆撃で廃墟と化した地区の住民は依然として難民キャンプで不自由な生活を余儀なくされ、政府が呼びかける復興事業を待っている。

 マラウィ復興には10億ドルが必要だが、貿易赤字財政赤字に悩むフィリピン政府には余裕もなく、長期間の事業展開になることが予想されている。

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 書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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なぜ中国の民主化運動は分断されてしまったのか
  スパイの工作に免疫がなかったのか、それとも中国人のDNAか

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陳破空著、高口康太訳『カネとスパイとジャッキー・チェン』(ビジネス社)
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 天安門事件の時に学生指導者の一人だった著者は、二回の牢獄体験を経て、米国へ渡った。ノーベル平和賞劉暁波氏が獄中で死去したときはニューヨークで各派団体に呼びかけ追悼集会を開催した。陳氏の書籍は日本でも相当数の翻訳が出たため、知っている読者もきっと多いだろう。
 この新作の題名はリズム感がある。
まるでジョン・ルカレの『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』(邦訳は早川書房)のリズムを連想してしまった。
さて中国の民主化運動はどこへ消えたのか?
魏京生は、王丹と仲が悪く、口も聞かない間柄になっているという。些玲はフォンドの経営者となって「天安門のマドンナ」の面影はなく、ひとり気を吐くのは台湾で活躍するウアルカイシ吾爾開希)だろうか。
1982年に「中国の春」を立ち上げ、世界三十数ヶ国の留学生を鼓舞してネットワークを短時日裡に組織し、海外にでた知識人、学生を糾合した「中国民主党の主席として活躍した王丙章博士は、囮捜査に引っかかって、江西省チワン自治区で拘束され、無期懲役のまま監獄にある。オバマ政権は、彼の釈放要求をしなかった。
1989年6月4日、天安門広場で沸騰した、あの中国人ヤング、知識人らの民主化運動は、雲散霧消する運命に陥った。
なぜ、こうなったのか。
組織に潜り込んできた中国共産党のスパイ、党の命令による情報操作、裏工作、謀略と罠によって組織は内紛状態に陥落し、裏切りが出る。まさに孫文辛亥革命前後と同じ、ま、これは中国人のDNAだろうけれど、みごとに民主化運動は分断されてしまったのだ。
 支持者のふりをして民主団体に入り込み、「そうしたスパイ達は、ただ情報を収集するにとどまらない。海外民運内部の亀裂を作り出す。『離間の計』をも仕掛けて。派閥を作り、別の派閥と争うように仕向けた」(150p)
 本書はこの裏工作の視点のほか、陳氏が独自に集めた極秘情報を駆使しての習近平政権内部の動きを詳細に分析しているの。
特に「太子党の消滅」などという独自な分析は、日本のチャイナウォッチャーとはひと味もふた味も異なる。
 もうひとつ、なぜジャッキー・チェンか?
彼はマーケットとして巨大な中国大陸を狙い、中国共産党とずるずると妥協した信念のない俳優であり、香港では彼の名を口にすると軽蔑されるという。

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 AC通信:No.678 Andy Chang (2018/1/26)AC論説 No.678 FBI内部の秘密結社
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ヒラリーが起訴されれば蟒蛇(うわばみ)の頭はオバマであることは一目瞭然だ
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 FBIの上級幹部が組織がらみでヒラリーの選挙を助けていたことはFBIが国会情報委員会の要請に応じて提出したFBI職員のメールの内容からわかったことである。
 FBI(連邦調査局)という政府機関が特権乱用でFISA外国情報監督法)を申請し、トランプ不利な情報とヒラリーの選挙応援をしたのは明らかな憲法違反で、民主国家アメリカの歴史に無かった大事件である。だが問題はFBIだけでなくもっと上級の秘密命令があったかもしれない。
 コーメイFBI長官、マッケィブ(Andrew McCabe)副長官、部下のPeter StrzokとLisa Page法律顧問がヒラリーの選挙応援に関与していた。StrzokとPageの二人は親密な関係があり、二人の交信メールから「ヒラリー当選の保険を作る」ためのアンチトランプ陰謀が発覚したのだった。

 アメリカではは毎日新しい衝撃的なニュースが出ている。
セッションズ司法部長はFBIの選挙介入の調査を命令したが、新しい情報がどんどん出て来るので事件の大きさや関係者リストも確定できていない。今回は最近の発展を書くことにした。

●アンチ・トランプの複雑な過程

これまでの過程は実に複雑で簡単に書くのは難しいが、発端はヒラリーが大統領選挙に立候補すると発表したあと、国務長官時代に個人スマホを使って国外から国内の関係機関と機密情報の交信をしていたことが発覚した。
更にヒラリーがクリントン家のサーバーを使っていたこと、サーバーにあった32000通のメールを違法消去したことなどが問題となり、調査が始まった。
 オバマを始め民主党はヒラリーに勝たせたい。
司法部やFBIはトランプがヒラリーに勝てるはずがないと判断していた。FBIの職員はヒラリーが次期大統領ならヒラリーに不利な結果は出せない。一部の上級幹部はヒラリー応援に回り、コーメィ長官はFBIがヒラリーを喚問する四日前からヒラリー不起訴の結論をリンチ司法部長に伝えていたことがFBIのメールでわかった。

 FBIのPeter StzrokとLisa Pageなど、複数の幹部はヒラリーの金でFusion GPIが英国のChris Steeleを雇って作成した「ロシア文書と呼ぶガセネタ」を使ってFISAの調査を申請し、公然とトランプのロシア疑惑を調査したのだった。メディアはロシア文書のことをSteele Dossierと呼んでいる。
 ところが予期に反してトランプが当選した。
トランプ政権になるとヒラリーに加担したFBIが罪に問われる。そこでトランプ就任後もトランプ罷免を画策し、ロシア文書を使ってトランプのロシア癒着を問題視したので、トランプが任命したセッションズ司法長官はマラー元FBI長官を特別検察官に任命した。トランプは一貫してロシア癒着はなかったと主張している。

 一方、国会の情報委員会はFBI職員のメール記録の提出を要求し、FBIが提出したメールの解読によってFBI幹部が選挙に介入したことが発覚した。委員会はFBIの選挙介入と関連人物のリストなどを4パージの報告書に作成し、Devin Nunes委員長はこの報告書を機密解除して国会議員に公開すると発表した。
民主党は公開をストップさせようとしている。国会情報委員会は既に4ページの報告書を国会議員全体に公開することを投票し可決してたが、民主党の強い反対があるのでまだ公開していない。
 この報告書が公開されればFBI 上級職員の犯罪でFBIの信用もガタ落ちとなるし、マラー特別検察官の調査もガセネタを基にして設置されたと判明すれば信用できなくなる。


●FBIが5万通のメールを消去した?

事件はまだ続く。本月15日、情報委員会のRon Jhonson上院議員はFBIが委員会に提出したメールにStzrokとPageが交わしたメール5万通が含まれていないと発表した。StzrokとPageはヒラリー当選のための保険としてトランプの調査を画策した中心人物である。
これでFBIの誰かによるメール隠しではないかと新たな疑惑が生じた。
 要点は紛失したメールの時期が16年12月14日から17年5月17日までとなっていることである。この五か月間にトランプの大統領就任、フリン将軍のロシア疑惑ハワイトハウスの権力闘争と幹部の更迭、コーメイFBI長官の罷免などが起き、5月18日にマラー氏が特別検察官に任命された。

 StzrokとPageの二人のメールが12月から5月17日まで紛失し、マラー氏が検察官に任命された5月18日以降は存在しているのはこの5か月間に彼ら二人のメールにトランプ降ろしに関連する情報があったと考えられる。
22日、司法部はFBIが紛失した5万通のメールは文書保存の手続きの間違いによって紛失した、紛失したメールの修復は出来ないと発表したので疑惑は更に広がった。
FBIが情報を紛失した、しかも修復できないとは誰かの企みと言われてもおかしくない。
 オバマ政権時代には、ヒラリーの消去したメールが復旧不能だった。
税務署が消去したメールとディスクも回復不能だった。今回のFBIのメールも回復不能なら疑惑はオバマ政権全体に及ぶ
 23日、Ron Jhonson議員は紛失した5万通のメールの外に、FBI内部には反トランプの秘密結社が存在する、証拠があると発表した。
この発表とは別に、コーメィ長官の助手だったRatcliff 氏はすでに辞表を提出したとFBI長官が発表し、FBIのAndrew McCabe副長官も今年3月に辞職すると発表した。

●蟒蛇(うわばみ)の頭

 25日、Daily MailはRyan Saavedra記者の「Head of Snake(蛇の頭)」と題した記事を発表して、オバマが絶対にヒラリーを起訴させない理由を説明した。
 ヒラリー国務長官が機密保持のない個人スマホで国務院やホワイトハウスと交信していたことは、ホワイトハウス国務省が送信者のールアドレスを見ればすぐにわかることである。つまりホワイトハウスも国務院もヒラリーの違法を承知していながら何もしなかったのだ。
 しかもヒラリーのメールから受信者のアドレスを見ればホワイトハウスでも同じように個人スマホを使っていたことが判明する。たとえオバマが本名を使っていなくてもヒラリーが機密メールをやり取りする相手がオバマであることは明らかである。
 つまりヒラリーがメール事件で起訴されればオバマも罪に問われる
だからオバマは絶対にヒラリーを起訴させてはならない。コーメィ長官がヒラリーのメール調査でヒラリーを喚問する前から不起訴と決定していた理由はリンチ司法部長からオバマまで遡ることが出来るのである。

 ヒラリーが起訴されれば蟒蛇(うわばみ)の頭はオバマであることは一目瞭然である。FBIがヒラリーを不起訴とし、トランプのロシア疑惑を調査した事件はオバマまで遡ることが出来る。これはFBIだけでなくオバマ政権全体に関わる大スキャンダルである。
  (アンディ・チャン氏は在米評論家)
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌5593号(1月25日)トランプ大統領ダボスへ乗り込んで、話題の中心となった由ですが、この会議に毎回出ているジョージ・ソロスは欠席したのでしょうか?
  (HI生、沼津)


宮崎正弘のコメント)ジョージ・ソロスはトランプが帰国するのとすれ違いにダボスに入り、28日に演壇に立って、「トランプが如何に吠えようとも2021年にはアメリカは変わる。なぜって? 2018年の中間選挙民主党が『地滑り勝利』を収めるからさ」などと言いたい放題の発言をしています。



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(読者の声2)宮崎正弘先生と西部遭さんの対談集『日米安保五十年』(海竜社)が絶版とのことですが、アマゾンを検索するとまだ1100円台で弐冊出ています。価格が跳ね上がっていて、なかにも11000円というオークション価格をつけている出展者もいます。再版の可能性はありますか?
(FD生、さいたま市


宮崎正弘のコメント)再版、増刷という話はないですね。いったん絶版となった書籍は、図書館が古本でしか入手できませんから。
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宮崎正弘の新刊予告   宮崎正弘の新刊予告
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2月9日発売
宮崎正弘 vs 福島香織(予約募集中。定価 1404円)
『世界の中国化をくい止めろ』(ビジネス社)
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  ――チャイナウォチャーのなかで、もっとも注目を集める福島女史との対談第二弾!
多くの本や情報がでているにもかかわらず世界は中国を知らない。
世界の企業は14億の市場を当てにして中国に進出しているが、実質は「2億の市場」にすぎず、絶対に増えることはないことを知っているだろうか。
  ――欧米は中国が豊かになれば民主化すると幻想をいだいていたが、中国の国家体制は強奪型の「共産党資本主義」であるため民主化は不可能。
「中国化」。激動の世界情勢が動き出す、2018年を読み解く最新刊!