パルデンの会

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<<残虐なウィグ ル族弾圧、収容所に放り込み拷問、再教育。棄教を迫る


<<残虐なウィグ ル族弾圧、収容所に放り込み拷問、再教育。棄教を迫る

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)8月23日(木曜日)
        通巻第5803号   <前日発行> 
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それは習近平子飼いの陳全国がウィグル自治区書記に任命されてから始まった
  残虐なウィグル族弾圧、収容所に放り込み拷問、再教育。棄教を迫る

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 エジプト留学から帰国したウィグル族の若者が当局に拘束されて行方を絶った。家族が心配して心当たりを捜しても行方不明。同様な「事件」が頻発し始めたのが2017年からである。
なかには家族が偽りの電話を強要され、父親が病気とかで、急いで留学先から帰ると強制収容所に放り込まれた。
そのまま一年以上。合計8000名のウィグル族の若者の留学帰りが、杳として行方知れずとなった。いずれもイスラム圏への留学という共通点があった。もともとウィグル族はイスラム教を篤く信仰してきた。

 2,016年8月29日、陳全国が新彊ウィグル自治区の書記に任命されたと発表された。直前まで陳全国はチベット自治区の書記だった。つまりチベット弾圧の責任者だったから、ウィグル自治区はいっても弾圧は得意技だった。
 陳全国は1,955年河南省生まれ、武漢の大学をでて軍隊に入隊し、共産党へ入党して頭角を現し、2,010年に河北省省長に就任した。その後、習近平の覚え目出度くチベット書記に栄転した。
 現在はトップ25の政治局員という異例の出世を遂げた。

同じ頃、重慶特別市書記だった孫政才が唐突に解任され、新たに陳敏爾が任命された。孫政才の解任理由は「薄煕来の腐敗体質の残滓重慶市から積極的に排除できず、そのままに旧幹部等をのさばらせ、自らも汚職に励んだ」などとする冤罪だった。要は共産主義青年団の「希望の星」だった孫を潜在的ライバル視してきた習近平にとって、将来の独裁に邪魔になるからだった。

 陳全国も陳敏爾も習近平の子飼い、イエスマン若しくは茶坊主、行政手腕が無能でも、おべんちゃらがうまければ出世街道を驀進できる。阿諛追従の才能だけは秀逸なのだ。
下手に理論家だったり戦略論をぶったりすると、無学な習近平にとっては逆恨みされるのだ。

 ウィグル自治区の悲劇は、このときから一層無惨になった。
 もとより2,009年のウルムチ暴動で、漢族が武器を持って手当たり次第にウィグル族を虐殺し、多くのウィグルの若者がとなりのカザフスタンへ逃げた。

その数は数万人と言われるが、そのうちの一万人ほどがシリアの軍事訓練基地へ送られ、ISのメンバー入りした。中国の諜報機関はシリア政府、同時にISにも武器を提供して巧妙に近づき、かれらの動向の情報収集に躍起となった。テロリストとして訓練され、中国に帰ってくることを怖れたのだった。
 ISをスピンアウトした過激派は「漢族に血の復讐を。中国人を血の川へ投げ込め」などと煽動するヴィデオを作成し、ユーチューブで配信した。


 ▲最大二百万人のウィグル族が再教育という名の洗脳をうけている

 陳全国は新彊ウィグル自治区の党書記となるや、「宗教活動を厳密に規制し、イスラム文化の表現をやめさせ、辻々には検問所を設け、顔識別とAI機器を駆使して手配者の逮捕を強化し、さらに砂漠に次々と強制収容所を設営し、拷問による改宗を強要した」(『TIME』、2018年8月27日号)。

そうやってイスラムを学んできたウィグルの若者の洗脳教育を始めた。「改宗」できない者は独房に入れて、イスラム教徒が忌み嫌う豚肉しか与えず、しかも独房の狭い牢獄に三人も五人も入れて、つねに睡眠不足とし、洗脳の効果をあげようと急いだ。それでも「直らない」ケースでは家族も強制収容所に入れた。出所してすぐに死ぬという悲劇も相次いだ。

 米国の偵察衛星は、収容所の数が急増していることを突き止めた。また強制収容所ばかりか、再教育センターもつくられ、家族全員のDNAや血液が収集されデータベースに入力された。デジタル全体主義の支配システムである。

 トランプ政権は、このような人道に悖る人権無視の民族浄化を黙ってみることはなかった。衛星写真の証拠を楯にして、これを対中政治カードとする。
ゲイ・マクドゥーガル国連人権差別撤廃委員は2,018年8月10日、国連委員会で「200万人のムスリム強制収容所で再教育を受けているという報告がある」と爆弾発言した。

マクドゥ-ガル委員は「なかには髭を貯えていた、ベールを被っていた」などの理由で拘束されているとし、「ウィグル族の民族的アイデンティティの喪失が目的だ」と中国を非難した。
またウィグル女性は漢族の男性としか結婚できないという規則も強要しているとの情報があり、そうなるとユーゴスラビアでおきたエスニック・クレンジンングの再来である。セルビアは、世界から非難を浴びた。


 ▲チベット弾圧と同じ手口

 中国側は国連報告をただちに否定し、「あそこは強制収容所ではない、あれは職業訓練センターであり、ウィグル人の教育向上と雇用機会の増大をはかる目的だ。われわれが警戒して取り締まっているのはテロリスト、分裂主義者、過激な宗教活動かだけだ」などと平然と嘯いた。
これはチベットにおける120万の無辜の民と僧侶の虐殺を「農奴解放」と言ってのけた嘘の論理の適用である(チベット農奴はいなかった)。

 またウィグルの動きに触発されて隣の青海省四川省甘粛省、陝西省、寧夏回族自治区などではモスクの監視が厳格化され、とくに後者回族自治区のモスクは「改修」を詐っての取り壊しが計画されたため信者がモスクに座り込み開始した。

 イスラムは国境なき連帯のコミュニテイィであり、ウィグル族への苛烈な弾圧は口コミを通じて世界のムスリムに拡大した。
 ムスリムの中国敵視は、米国の対中国認識とはレベルの異なる、感情的エトスが含まれているのだ。
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