【中国】ハイリスク金融の破綻続々の中国、ついに景気悪化報道も規制
独裁色を強めている習近平体制のほころびが、経済面で露呈してきたようです。中国で大流行している「P2P(ピア・ツー・ピア)金融」プラットフォームの倒産や閉鎖が相次いでいます。
これは、インターネット上で中小企業や個人である借り手と一般投資家を仲介する融通事業で、より多くの貸し手を呼び込むために、銀行の預金金利よりはるかに高い利回りを掲げ、なかには10%や20%の利回りを提示する業者もいるといいます。しかし、うまい話には落とし穴があるのが世の常です。当然ながら、一部の業者は市民の資金をだまし取る詐欺集団でした。
P2P金融は、個人投資家から資金を集め、小規模な企業や個人の借り手に融資して高いリターンを約束するもので、中国では2011年、ほぼ規制のない状態で始まって盛んになった。ピークとなった2015年には、こうしたビジネスが約3,500社を数えた。
だが、中国政府が国内の肥大化したノンバンク融資セクターを含む債務バブルの抑制と経済のリスク低減を目指すキャンペーンを開始した後、投資家が資金を引き揚げ始めたことにより、ほころびが目立つようになった。P2P金融という分野を開拓したのはレンディングクラブ(LC.N)などの米国企業だが、大規模な拡大がみられたのは中国である。資金調達に悩む中小企業を対象とした政府の金融イノベーション推進に企業がただ乗りした格好だ。
業界の拡大があまりにも急だったため、規制当局も追いつけなかった。P2P金融サイトの多くは、商業銀行にとってはリスクが高すぎるとみなされかねない顧客に融資している。融資が焦げ付きそうな場合に資金を即座に引き揚げたいという投資家が多すぎると、流動性危機につながる場合がある。
また、露骨な詐欺の例もみられる。最も有名なのはe租宝で、90万人以上の投資家を巻き込む76億ドル(約8,400億円)規模の、いわゆる「ネズミ講」詐欺である。
中信証券による7月の調査報告では、中国国内の株式市場に上場している企業100社超がP2P金融ビジネスに関与しており、そのうち32社はP2P金融企業の株式を30%以上保有している。
つまり、ハイリスク・ハイリターンな投資として、一般投資家に爆発的な人気を得て急速に中国国内で広がりました。その後、今年夏ごろまでは参入業者もどんどん増え、投資者も増え、流動資金も潤沢にありました。
香港紙・香港経済日報によると、7月2日から16日までの14日だけで、 国内131社のP2P業者が突然閉鎖・倒産した。一部のP2Pプラットフォームの経営者は貸し手の資金を持ち逃げ、行方をくらましている。投資家に約1,000億元(約1兆6,300億円)の被害をもたらした。資金回収の見込みがほぼないとみられる。
P2P業者の大半は北京、上海、深センなど大都市に集中している。
また同紙は、5月以降に債務不履行(デフォルト)や倒産となった業者のうち、国家資本のP2P金融会社も多数あったと指摘した。
主因は、金融リスクを回避するため、中国当局によるデレバレッジ(債務圧縮)政策、理財商品業界やP2P金融などへの規制強化、国内金融市場における流動性の低下が挙げられる。
中国政府は、少しでも秩序が乱されることで、政府への不満が表面化して集団抗議に発展することを最も恐れています。たとえ資金を持ち逃げされた被害者たちが、政府への陳情のために集会を開こうとしていても、その機会は絶対に与えてはいけないのです。当然ながら、中国国内のマスコミもこのことは知ってて知らぬフリです。
米中貿易戦争は冷戦の後につづく「戦争」であり、サイバーウォー以上の米中対立です。一部では、これはトランプ大統領による瞬発的な摩擦だという見方もありますが、一方では米中「百年戦争」だという声もあります。
米中貿易戦争が長期戦になれば、得するのは日本や台湾、または欧米の企業などです。中国政府は、果たしてチャイナマネーがアメリカに流出するのを阻止できるでしょうか。