パルデンの会

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米朝首脳会談が「思いつき」、「一日で決まった」って本当か?



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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)7月1日(月曜日)弐
       通巻第6123号  
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 米朝首脳会談が「思いつき」、「一日で決まった」って本当か?
   親書交換、予定になかった韓国訪問の発表で演出は決まっていた

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 大阪における「日中首脳会談」も「米中首脳会談」も吹き飛んでしまった。ましてや「日米首脳会談」は定例会見のごとくで、新しいことはなかった。せっかく日本に来たのにプーチンもメルケルもモディも印象が薄かった。
突如、全世界のメディアが板門店に焦点を移したからだ。


韓国の米軍基地へ向かったエアフォースワンを追って、世界のメディアが板門店に飛んだ。急ごしらえの取材班ゆえにチームワークも取れない。だが、板門店に至る間にも、殆どの人々は半信半疑であった。

 南北朝鮮をわかつ38度線の境界線の中央で、トランプと金正恩握手を交わし、トランプが北朝鮮側へ足を一歩踏み込めば、金正恩も韓国側へ足をいれた。
そのうえ北朝鮮側の建物ではなく、韓国側の「自由の家」で、「二分の予定」だった米朝首脳会談は53分に及んだ。「仲介役」を自認した文在寅・韓国大統領は同席を許されず、最初から最後までピエロだった。

「二分でも良いから」とのレトリックは、さきにワシントンを訪問した文在寅が、米韓首脳会談をたった二分で打ちきられたことに重ねているのである。
そのうえ、戦後初めて米国大統領が北朝鮮に足を踏み入れたのだから、次は金正恩が渡米するのが答礼儀式となる。だからこそトランプは「制裁解除はしないが」、金をワシントンへ招待すると言ったのである。

 トランプ・金会談で決まったことはと言えば、打ち合わせを再開するための専門チームを二、三週間以内に組織し、その責任者にはポンペオ国務長官があたること。
そのうえ「非核化は急がない」と、従来の姿勢を大きく後退させたことに留意しておくべきだろう。つまり米国は「長距離ミサイル」に深い関心があるが、もはや核弾頭の廃棄の「完全な検証可能な実施」には拘っていないことを示唆している。
まして日本人拉致問題への言及はなかったようである。

 G20大阪の最終日に「金正恩委員長と会うかも知れない」とトランプは唐突にアドバルーンをあげたのも、メディアの関心を引きつけるためだった。
ツィッターで「二分でも良いから」としたメッセージを金正恩が受け止めた可能性があり、「会談は実現するかも知れない」と含みを持たせた。軽佻浮薄、付和雷同型のジャーナリストと、とりわけ画面効果を追うだけのテレビの関心が、奈辺にあるか、トランプは重々承知の上での、劇的な効果を狙った。
プロレスの応援団長や、テレビ討論番組の司会を通して、トランプはテレビの扱い方をじつによく把握しているのだ。

 さて一番むくれるはずの韓国は、結果的に随分と莫迦にされたものだが、そのことに気がついている様子がない。
 トランプは韓国訪問といっても、驚くなかれ青瓦台に立ち寄りもせず、公式晩餐会も拒否し、文在寅とは板門店で「立話」をしただけだった。米朝会談の主目的を果たすや、さっさとヘリコプターで米軍基地へ飛び、そのまま帰国してしまったではないか。

 そでにされたことには触れず「半島に平和が来る」などと騒ぎ、日本はお祭り騒ぎ、冷静な解説がどこにも見あたらない。
 米国ではルビオ上院議員らがトランプの接触を批判したが、声は大きくない。
 おそらく最も臍を噛んだのは中国の習近平だろう。先月に突如ピョンヤンを訪問して、金正恩とあったばかりだから、北朝鮮の綱渡りには立腹しているのではないのか。

 おなじく蚊帳の外はプーチンメルケル、メィ、モディ、モリソンらだろうが、批判を控えている。

 それにしても「思いつき」で「一日で決まるとは思わなかった」などと表面は取り繕っているが、春頃から親書の往復がワシントンとピョンヤンの間に交わされていた。

そのうえでG20に来日が決まったときも、トランプは韓国には立ち寄る予定がないと言っていた。韓国訪問を土壇場で追加した。そのときに、おそらく米朝会談の段取りは設定されていたのだ。
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