中国軍病院、乳幼児用いて臓器移植か 米人権団体が深刻な懸念
中国の臓器移植産業の拠点地(YouTube / Screenshot)

 

 米国の人権団体は22日、中国軍が運営する病院で乳幼児を用いた臓器移植が行われている可能性が高いとする報告を発表した。乳幼児の臓器は適合性が高く、中国本土での需要が高いとされている反面、人権侵害が疑われるケースもある。

 報告を発表したのは、米ニューヨークに本部を置く『法輪功迫害を追跡調査する国際組織(WOIPFG、追査国際)』だ。同組織は中国共産党による人権侵害を調査し、各国政府に対応を呼びかけている。報告の情報は内部告発者が提供したものをベースにしている。

 報告によると、中国軍が運営する病院では10数年前から乳幼児の臓器移植手術を行ってきた。早くも2013年から第二軍医大学上海長征病院では、生後33日、40日、50日の3人の乳児をドナーとする臓器移植手術が実施されていた。長征病院臓器移植センターの主任医師は中国国内メディアの取材に対し、「技術水準の突破により、乳幼児の臓器を臨床的に価値あるものにした」と述べている。

 乳幼児の臓器は一般的に「適合性が高く、品質が良く、成長に合わせて自己発育する」という特徴があるため、先天的な疾病を持つ児童が多い中国では需要が高いとされている。しかし、乳幼児の臓器は体積が極めて小さく、血管も極めて細いため、手術の難易度が高く、血栓によるリスクも高い。そうした中、中国軍病院は二つの重要な技術革新に成功したため、再び乳幼児の臓器移植に注目が集まったという。

 追跡国際によると、乳幼児の臓器の入手ルートは主に二つに大別される。

 一つは監禁された女性だ。中国では、法輪功学習者やそのほかの一般女性が違法に拘束され、監禁されており、そのような女性を妊娠させることで臓器摘出用の乳児を出産させる行為が行われているという。

 二つ目は人工授精で、臓器提供を受けたい者と血縁関係にある乳児ドナーを培養し、高い適合率を保証するものだ。

 追查国際が把握したところによると、中国の三大乳幼児臓器供給拠点はそれぞれ山東省、河南省四川省にあり、一部の代理出産組織や売春組織まで関与しているという。

 報告では、中国共産党の上層部はあらゆる面で特別待遇を受けており、臓器移植でも優遇措置があると指摘している。しかし、中国共産党の厳しい言論審査とネット封鎖により、違法な臓器移植の実態を把握するのは容易ではない。

 2019年、中国のWeChatネットワーク上である広告が拡散された。中国共産党第301病院が特別医療サービスを設置し、党の高官の寿命を150歳まで延ばすというものだった。資料によると、このプロジェクトは2005年に早くも開始され、国家トップクラスの医療チームが参加しているという。なお、広告は公開されるとすぐに当局によって削除された。

 今回の内部告発でも、告発者は「乳幼児臓器移植の背後にある巨大な利益ネットワークには、暴力団中共当局の双方が複雑に絡み合っている。この件を暴露すれば、表社会と裏社会の両方から抹殺されかねない」と吐露している。

 追查国際はこのような現状について、「国際社会や国連が中国共産党医療機関を制裁し、国際的な調査を展開しなければ、真相は闇に葬られるだろう」と強い懸念を示している。

(翻訳編集・王自勤)