★小誌まもなく通巻9000号を迎えます。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和七年(2025年)10月24日(金曜日)
通巻第8997号 <前日発行>
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トランプ大統領、ハンガリーでのプーチン大統領との会談を中止
「会うことは時間の無駄になる。まだ機は熟していない」。
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10月21日、トランプ大統領はハンガリーのブタペストで予定されていたプーチン大統領との会談を中止するとした。「無駄な会議はしない、無駄な時間を過ごしたくない、どうなるか見守るつもりだ」とトランプ大統領は記者団に語った。
記者が大統領に「なぜこの会談が『無駄な時間だったかもしれない』と思うのか?」と質問したところ、トランプは「そうするとは言っていない。何が起こるか分からない。ウクライナとロシアとの戦争では多くのことが起きている。我々が何をするかいずれお知らせする」と答えた。 プーチン大統領とトランプ大統領は8月にアラスカで異例の直接会談を行ったが何も進展はなかった。主因は停戦を急がないロシア側にあるようだ。
なぜこれほどロシアは頑迷なのか?(もっともゼレンスキーも輪をかけて頑固だが)。
ロシアのシンクタンク「ツァルグラード研究所」は、“現代ロシアのラスプーチン”と呼ばれる、かのアレクサンダー・ドゥーギンが所長だ。
このツァルグラード研究所の思想的基盤とは「ロシアは神から精神的、歴史的使命を託された独特の文明。国家という概念は、時間が経つにつれて国家が自らをどう考えるかではなく、永遠にわたって神が国家をどう考えるかによって決まる」としている。このイデオロギーにプーチンが共鳴するのである。
プーチンは儀式に必ずロシア正教会大司教をともなう。それは「ロシア皇帝の権威は神の御稜威による」という伝統的信仰であり、その価値観は西側の合理主義が受け入れるところではない。ツアーとはラテン語のカエサル=「善き大王」を意味し、神の御稜威がロシアの皇帝であり、神の代理人というのがプーチンの認識である。
このようなイデオロギーを鼓吹するのが「現代ロシアのラスプーチン」と言われるドゥーキンである。彼はウクライナ特殊部隊の暗殺対象であり、実際に愛娘が暗殺されている。
彼は言う。
「ロシアが成功するためには独裁国家でなければならない。イヴァン雷帝、ピョートル大帝、ヨシフ・スターリンをはじめとするロシアとソ連の指導者の統治をみよ」
ドゥーギンは躊躇なく続ける。
「ロシアは人為的に作られた『ウクライナ国家』」を解体し、その歴史的記憶をロシア文明の不可欠な一部として回復しなければならない。ロシアの女性は、子どもを産み育てることこそが人生の主な目的であり、その最大の貢献であると認識すべきだ」。
▼西側の常識とはほど遠い議論をプーチンの側近たちはしている
ドゥーギンの世界分析はこうだ。
「かつての東西冷戦は、旧来の世界の枠組みを電撃的に解体した。現在の“トランプ劇場は革命を超えた革命だ。腐敗したシステムの残骸を食い尽くし、古き良きもの、力強いもの、純粋さゆえに恐ろしいものを再構築することを約束する”最後の審判“だ。トランプ主義は、長らく周縁化されてきた旧保守主義者の国家ポピュリスト的政策と、シリコンバレーにおける予想外の変化(影響力のあるハイテク界の大物たちが保守政治に同調し始めた)を組み合わせた、特異な現象として浮上した。多極化した世界の地政学における最後の和音となり、リベラル・グロ
ーバリストのイデオロギー全体を覆す」
まさに独善的な世界観だが、ロシアがトランプの呼びかけによる停戦に応じないのは、こうした強いイデオロギーが露西亜社会を蔽っているからだろう。
アメリカのプロパガンダ機関の解体(VOAの世界的規模での縮小)はコミンテルンの解体を意味するとまでドゥーギンは評価するのである。
すなわち「トランプは善悪の概念に現実性があるとは考えていない。利点と欠点だけを信じている。その事例がイスラエルへの過剰は梃子入れに象徴されている」。
たまにロシアの訴えに耳を傾けると、西側の常識とはほど遠い議論をしていることが分かる。
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