【緊急論考】なぜ、誰も信じない「中国の嘘」が国際社会を動かすのか?
~「人権という名のトロイの木馬」:脱植民地化の罠とSFPT体制の崩壊~
「沖縄は古来より中華民族の一員だ」「ポツダム宣言に基づき、日本は琉球を返還せよ」「サンフランシスコ講和条約(SFPT)は無効だ」――。
中国が繰り返すこれらの主張を耳にした時、多くの日本人は鼻で笑って済ませてしまう。「そんな荒唐無稽な嘘、国際社会が相手にするわけがない」「放っておけば中国は勝手に信用を失う」と。
しかし、最新のインテリジェンスと国際政治の潮流が突きつける現実は、我々の楽観論とは真逆である。中国は決して自滅などしていない。むしろ、国際社会において着実に「日本の主権」を無効化する包囲網を完成させつつある。
なぜ、客観的事実としては嘘でしかない主張が、国際政治の場では「真実」として機能し始めるのか?
その正体は、中国が仕掛けた高度な認知戦――「人権というオブラート」に包まれた領土野心と、日本自身が犯している「沈黙という名の自白」にある。
第1章:世界は「中国の嘘」ではなく「人権の正義」に騙される
中国の嘘が通用する最大のからくり。それは、彼らが露骨な「領土的野心」を隠し、「人権問題」と「脱植民地化」という、誰も反対できない「正義」を前面に押し出している点にある。
1. ポツダム宣言には無関心だが、「人権」にはひれ伏す世界
欧米諸国やグローバル・サウス(新興国)は、決して「沖縄は中国領だ」という中国独自の歴史観を信じているわけではない。他国の領土問題に深入りするメリットなど彼らにはないからだ。
しかし、彼らは「先住民族の権利を守れ」「植民地支配を終わらせろ」というリベラルなスローガンを突きつけられると、倫理的な義務感から無条件で賛同してしまう。
中国はこの西側諸国の「良心」を悪用し、国連の場で「沖縄県民は日本政府に弾圧されている先住民族である」というナラティブ(物語)を拡散しているのだ。
2. 「善意」が日本の主権を殺すメカニズム
ここに、日本を破滅させる恐ろしい「論理の罠」が存在する。
仮に国際社会が「沖縄の先住民族の人権を守ろう」という純粋な善意で、沖縄の国連「脱植民地化リスト(非自治地域リスト)」入りに賛成票を投じたとしよう。
その瞬間、中国の作戦は完遂し、日本は法的な死を迎える。
なぜなら、「沖縄には脱植民地化が必要である」と国連が認めることは、論理的帰結として「現在の沖縄の統治(サンフランシスコ講和条約に基づく日本復帰)」が、「違法な植民地支配の継続であった」と認定することと同義だからだ。
つまり、世界各国が中国の領土的野心になど興味がなくても、「人権」への賛成票を投じるだけで、結果として「サンフランシスコ講和条約は無効である」という中国の核心的主張を、国連決議として認めたことになってしまうのである。
これこそが、世界の善意が日本の敵となり、戦後の国際秩序(SFPT体制)を崩壊させる戦慄のメカニズムである。
第2章:加害者が「検察官」になりすます法廷トリック
二つ目のからくりは、中国が自らを「無法な侵略者」ではなく、「戦後秩序を守る検察官」のポジションに置くことに成功している点だ。
中国は「戦勝国」という立場を強調し、「日本がポツダム宣言(カイロ宣言)の条項を守っていない」と騒ぎ立てる。これにより、自らを「国際法の番人」に見せかけ、日本を常に「戦後秩序への挑戦者(被告人)」の席に座らせ続けている。
2. 「泥棒が泥棒と叫ぶ」マッチポンプ戦術
2025年12月のレーダー照射事案における中国外務省の対応は、この戦術の極致だ。彼らは自ら危険な軍事行動(主権侵害)を行いながら、日本が抗議すると即座に「日本側が妨害した」「悪人(日本)が先に告発している」と逆非難した。
これは単なる言い逃れではない。事情を知らない第三国から見れば、どちらが加害者かわからない「どっちもどっちの係争状態」が演出されることに意味があるのだ。
中国にとって重要なのは、真実ではない。「あそこには紛争がある」という認識を国際社会に植え付けることだ。「紛争地」になれば、国連や第三国の介入余地が生まれる。こうして彼らは、日本の実効支配を「係争」へと変質させていくのである。
第3章:日本を自滅させる「沈黙は同意」のルール
そして、この中国の「嘘」を「真実」として確定させてしまっている最大の共犯者は、他ならぬ日本政府の「沈黙」である。
1. 国際法に「大人の対応」は存在しない
日本は「相手の土俵に乗らない」「無視するのが一番」といって反論を避けるが、国際法には「黙認(Acquiescence)」という冷徹なルールがある。「反論しない=事実を認めた」とみなされるのだ。
中国が国連で「沖縄人は先住民族だ」「ポツダム宣言を守れ」と叫び続けているのに、日本が明確な法的反論(サンフランシスコ講和条約の優位性宣明など)を行わなければ、世界は「日本は反論できないやましいことがあるのだ」と判断し、中国の主張を事実として受理する。
2. 自白調書としての「2014年合意」
さらに致命的なのは、2014年の日中合意だ。日本側が「対話のための妥協」としたこの文書を、中国は「日本が領有権争いの存在を認めた自白調書」として扱い、デジタル博物館で展示し、世界中に宣伝している。
日本国民が「あれは嘘だ」と心の中で思っていても、世界には「日本政府が署名した文書(証拠)」しか見えていない。我々の「事なかれ主義」が、日本が自滅に向かう動かぬ証拠を作り出しているのである。
結論:被告席を蹴り飛ばし、「原告」として反撃せよ
中国の嘘が通用するのは、彼らの嘘が巧みだからではない。
日本が「人権」という名の目隠しをされた国際社会の前で、唯々諾々と「被告人」として黙秘を続けているからである。
この悪夢のような「自滅のからくり」を止める方法は一つしかない。
日本が「被害者ぶる」のをやめ、「中国こそが国際法秩序(サンフランシスコ講和条約)を破壊し、他国の歴史を盗用する侵略者である」と告発する「原告」になることだ。
そして何より重要なのは、当事者である沖縄県民自身が立ち上がることである。
「我々は先住民族ではない。日本人である」
この当事者の肉声こそが、中国が積み上げた「人権ナラティブ」という虚構の城を、内側から粉砕する最強の武器となる。
中国が自滅するのを待っていてはいけない。その前に、我々の沈黙と、世界の善意によって、日本という国が法的に消滅させられてしまうのだから。