ニュースキャスター・安藤優子氏 民主主義国家とはいえない
2014.10.19
【記者訴追 韓国に問う】
記事の趣旨は、左様にいろいろな噂が出るくらい、一国の大統領としての信頼が揺らいでいるということ。耳の痛いものに対して取り締まるという姿勢は民主主義国家ではあり得ない。度を越えている。
似たような事案はこれまでにもあったと、日々、報道に携わる中で感じている。最近では、セウォル号沈没事故の際、朴大統領が船長らの対応は「殺人に等しい」と発言した後に、検察が殺人罪で起訴したニュースがあった。
朴大統領の気持ちを忖度(そんたく)して、捜査機関が動いているということだ。このような「忖度政治」の中では、言論の自由や司法の独立は押さえ込まれる。今回の問題もその忖度政治が根幹にある。
最近はこういった問題があると、インターネットや週刊誌で過激な言葉が飛び交いやすい。しかし私はキャスターとして言葉の品性を保ち、感情の応酬になる報道は慎むべきだと考えている。起訴当日「スーパーニュース」で加藤氏と中継をつないだが、加藤氏も、裁判に臨む姿勢について「そんなに息んでもいないです」と話していた。加藤氏の言うように冷静に是々非々で報じることが必要だ。
今回の問題は、「そういう意見もあるな」と朴大統領が思えばいいだけだった。慰安婦報道などで主張の違う産経新聞をもともとよく思っていなかったのだろうが、権力に向かう牙を許してこそ民主主義。彼女はその牙を封じ込め「韓国は民主主義ではない」と表明したようなものだ。
言論を封殺するようなことは二度とあってはならない。韓国はこれまでの対応を見直し、真の民主主義国家であることを証明してほしい。(談)
【プロフィル】あんどう・ゆうこ
昭和33年、千葉県市川市生まれ。上智大大学院グローバル・スタディーズ研究科博士課程修了。上智大在学中から、テレビ朝日の報道番組でキャスター・リポーターとして国内外のニュースに携わる。その後はフジテレビ系の「FNNスーパータイム」「ニュースJAPAN」などに出演し、平成12年4月から「スーパーニュース」のメーンキャスターを務める。