台湾や香港、チベット自治区を国扱いしたとして、外資系企業が中国国内で批判され、謝罪に追い込まれる事態が相次いでいる。
 領土問題で強硬な姿勢を続ける習近平(シーチンピン)指導部の下で愛国意識が高まっており、ネット上で告発の動きが続く。
 きっかけは世界的なホテルチェーンである米国系のマリオットグループ。会員アンケートで、香港、マカオ、台湾、チベットを国扱いしていると9日にネット上で告発され、抗議が広がった。会員登録ページなどにも同様の表記があるとして、上海市当局もインターネット安全法違反などの疑いがあるとして調査を開始。結局、同グループは5度にわたって謝罪し、「中国の主権と完全な領土を尊重している」と表明する事態になった。
 中国政府は「一つの中国」政策の下、台湾を国として認めていない。独立の動きがあるチベット自治区や香港を国扱いすることにも極めて敏感だ。
 中国メディアによると、その後も、米デルタ航空やスペインの衣料品大手ZARA、フランスのシャネル、イタリアのブルガリなどのサイトに同様の表現があるとネット上で告発が続いている。いずれも謝罪したり、表記を「国や地域」に改めたりするなどの対応をとっている。
 中国外務省の陸慷報道局長は12日の会見で、「中国で商売する外国企業は中国の主権と領土、人民の民族感情を尊重すべきだ」と述べた。(北京=延与光貞)