パルデンの会

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中国金融界の断末魔  地方債務は520兆円




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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)8月17日(金曜日)弐
        通巻第5794号   
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 社債もP2Pも債務不履行へ。 中国金融界の断末魔
 地方債務は520兆円=日本のGDPに匹敵する巨額

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 誰に責任を取らせるか。
 中国金融界は断末魔の叫び、人民元安、株安、そして金融パニックの不安拡大。投資家の心理が萎縮すると弱気の売りが続き、市場の特性は暴落への悪性スパイラルを描く。

もともと2008年のリーマンショック直後に、無理矢理の財政出動(57兆円)を行なった時点から、今日の悲劇は予測されていた。以後、連続して100兆円から120兆円もの裏付けのない資金を供給し続けた。
新幹線だけでも、投資総額は60兆円に達する。

赤字国債も発行せずにひたすら輪転機を回す。こうした裏付けのない資金をじゃぶじゃぶと市場に供給し続け、一直線の景気浮揚、投資拡大を煽り、結末は全土に出現したゴーストタウンだった。

典型例は江蘇省の華西村だ。中国初の「万元戸」出現と騒がれたのは一昔以上も前、村営のホテルやら商業施設までつくり、付近の農村から雇用して繊維工場から、プラスチックまで、全国のモデルとして見学者が絶えず、日本のメディアも村長のインタビューを取ったりした。村営のホールディング企業が赤字に転落し、負債総額は6800億円。債務不履行が近いとされる。

 ドイツ銀行の資産では、地方政府系金融機関の融資残高は520兆円に達している。「融資平台」が、地方政府の推進したプロジェクトに貸し付け、誰も入居しない商業アーケート、複合ビル、マンションが建った。債務残高は日本のGDPに匹敵する巨額である。

 新彊ウィグル自治区に駐屯している生産大隊は自給自足の生活コミュニティである。たとえば「第六師団」は債務不履行を宣言し、この一つの集団だけでも債務は16兆7800万元(2800億円)。回復の展望は拓けない。

 P2Pの破産も年初から顕現した。
P2Pはネット上の貸し付けで、金利を謳って庶民から投資資金をかき集める。「講のSNS版」と解釈すればいいかも知れない。
このピエール・トゥ・ピエール(P2P)のビジネスモデルはもともと米国の発明だが、規制のなかった中国で急発展し、関連企業が雨後の竹の子のごとく誕生。ピーク時には3500社にも膨らんでいた。このうち2018年7月までに倒産、事務所閉鎖となったP2Pは243社。被害総額は不明だが、推定24兆円あるとされている。


▲社会擾乱はかならず起こる

 「これは金融詐欺だ。政府が補填せよ」として個人投資家の被害者は北京のCBIRC中国銀行保険監督管理委員会)ビルの前に集まり始めた。夥しい人数が遠く上海や杭州からも集まったのである。屈強な警官隊が動員され、デモ隊を排除するばかりか、プラカードを持っていただけで逮捕した。

 この風景はお馴染み、日本でも「アグラ牧場」とか、 「てるみ倶楽部」「晴れの日」取り付け騒ぎの風景を連想すればよいだろう。
突如、閉鎖されたP2P企業のオフィスに被害者が押しかけても、経営トップは雲隠れ、無人のオフィスに寝袋持参で待機する人々。多くの被害者は庶民であり、虎の子の箪笥預金を、金利のジャックに騙されて投資した結果である。

 この風景が、次は不動産市場を襲うだろう。
不動産に投資して、ある日、無価値となっても保証はない。庶民は政府の補填を求めて立ち上がる。暴動が多発し、社会擾乱があちこちに発生するだろう。監視カメラも携帯電話の盗聴も、大量の国民が同時に抗議に立ち上がられるとシステムは機能不全となり、社会混乱は収拾がつかなくなる。

となると、習近平政権がせっかく作り上げたデジタル社会の人民管理体制は、一夜にして瓦解する可能性もあるのではないか。
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