パルデンの会

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モンゴルがチベット仏教であることは有名であるが ロシアでも小さな共和国はソ連時代もロシア時代も チベット仏教である。しかしロシアのチベット仏教界はウクライナでの軍事作戦を支持する

ウクライナ侵攻でロシア側戦死者に少数民族が目立つのはなぜなのか 現地で実感した連邦支配のいびつさ

2022年10月3日 12時00分 東京新聞
 特別軍事作戦と称したウクライナ侵攻に絡み、ロシアの「辺境」から出征し、戦死する少数民族が目立つ。多民族、多宗教のこの国で何が起きているのか。モンゴル系のチベット仏教徒やシャーマンらが暮らすブリヤート共和国を訪ねると、ロシア連邦の権力構造の一端が見えてきた。(ロシア極東ウランウデで、小柳悠志、写真も)

◆「V」が掲げられたレーニン頭部像

8月、ロシア極東ウランウデ中心部で、軍事作戦をたたえる幕が掲げられたレーニン頭部像

8月、ロシア極東ウランウデ中心部で、軍事作戦をたたえる幕が掲げられたレーニン頭部像

 バイカル湖からシベリア鉄道に揺られてブリヤート共和国へ。中心都市ウランウデに着くと、旧ソ連の革命家レーニンの頭部像が目に飛び込んできた。重さ42トン、ソ連時代の1971年に設置された。周辺には軍事作戦の支持を意味する「V」や「Z」の文字が掲げられている。
 ブリヤートからウクライナに赴き、死んだ兵士は多い。独立系ニュースサイト、メディアゾーナがロシア軍の死者を出身地域で分けたところ、9月23日時点でブリヤートの兵士は276人と2番目に多い。
 「共和国のトップは派兵に熱心だ。クレムリン(モスクワの大統領周辺)の御用聞きだから」。タクシー運転手のユーリーさんはそんな感想を漏らす。
ウランウデ郊外の仏教寺院。ロシアのチベット仏教界はウクライナでの軍事作戦を支持する

ウランウデ郊外の仏教寺院。ロシアのチベット仏教界はウクライナでの軍事作戦を支持する

 

 ブリヤートで知事に相当するツィデノフ首長(46)は連邦の元交通官僚。軍事作戦に参加する兵士をクレムリンに倣って「英雄」と賛美してきた。
 ロシアでは2000年のプーチン政権誕生後、連邦政府の力が肥大化。政権が推す中央官僚が、対抗馬のいない選挙を経て知事に就くケースが多い。知事はモスクワに戻って出世するため、地方での実績づくりに励む。「官僚にとって知事職は政治の登竜門。プーチン大統領の不興を買うことを極度に恐れている」と外交筋は説明する。
8月、ウランウデのシャーマニズム寺院で、世界と家族の平和を祈るモンゴル系住民ら

8月、ウランウデのシャーマニズム寺院で、世界と家族の平和を祈るモンゴル系住民ら

 ブリヤートでモンゴル系は3割。一方、18世紀に女帝エカテリーナ2世の命令で現在のベラルーシからこの地に移住させられたロシア正教会古儀式派の信徒や、ソ連の独裁者スターリンに迫害された朝鮮民族もいる。政治抑圧の犠牲者が多い土地柄、お上に逆らう声は出ず、軍事作戦に賛成する宗教も多い。
 ある宗教家は「ロシアは体制になびいて生き延びるか、弾圧で死ぬかの2択しかない。普通は前者を選ぶ」と語った。

◆首都モスクワの戦死者はわずか24人

 プーチン氏はロシアと同じくスラブ系民族が多数を占めるウクライナを兄弟国家と呼んできた。ただ同氏が「崇高な使命」とする軍事作戦の主力は、非スラブ系の少数民族低所得者からなる契約兵たちだ。
 メディアゾーナが分析した地域別の戦死者数トップは、イスラム系のダゲスタン共和国プーチン氏が9月21日に動員令を発動すると抗議デモが起きた。極右的な言動で知られるイスラム系のチェチェン共和国、カディロフ首長も「既にチェチェンから多くの兵を出した」として、動員発動を見送った。住民の反発を恐れたとみられる。
 一方、ロシアの人口の10%を占める首都モスクワの戦死者は24人にとどまる。契約兵に志願する人間は少なく、「まともな職があれば軍事作戦に参加するはずがない」(モスクワの60代男性)との声も。
 独立系メディア、メドゥーザによると、動員令でモスクワに割り当てられた人数は全国のうちのわずか1%。メディアの目が行き届かず、反体制派が少ない辺境から兵士を駆り出す意図があるとしている。