(更新) 日経新聞
米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画を巡って国と県が争った訴訟で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は4日、県側の上告を棄却する判決を言い渡した。国が県に対して設計変更の承認を求めた「是正指示」を適法と判断。県は敗訴が確定したことで、承認する法的義務を負った。
同小法廷は8月、不承認を取り消した国の「裁決」に関する県側の上告を退けている。この日の判決で辺野古移設を巡る法廷闘争は事実上終結し、今後は埋め立て工事再開に向けた手続きが進むかどうかが焦点となる。
県がなお承認をしなかった場合、国は県に代わって承認する「代執行」の訴訟を起こせる。裁判所が「著しく公益を害することが明らか」と認めれば国が承認手続きを進めることができ、工事再開の可能性が高まる。
同小法廷は判決理由で、知事による不承認を国が取り消す裁決をした場合、知事が同一の理由で再び承認しないのは地方自治法に違反すると判断した。裁判官5人の全員一致の意見。
辺野古の埋め立て工事を巡っては、予定海域に軟弱地盤が見つかり、防衛省沖縄防衛局が2020年4月に県に設計変更を申請。県は調査不足などを理由に承認しなかった。同局からの審査請求を受け、国は県の不承認を取り消す裁決をし、設計変更の承認を求める是正指示も出した。