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宗教を中国共産党政府は 悪として 根絶を図るしかし 民衆はそれ以上に 神仏にすがる社会現象が起きている

「泣き廟」が広州にも出現 ますます広がる、民衆が被害や冤罪を神仏に訴える社会現象=中国

「泣き廟」が広州にも出現 ますます広がる、民衆が被害や冤罪を神仏に訴える社会現象=中国
2024年3月、広東省広州市にある道教寺院「黄大仙祠」で跪いて拝み、自身が受けた被害を泣きながら訴える中国の民衆。(SNSより)
 
2024/03/26 大紀元
 
更新: 2024/03/26
 

 

中国における廟(びょう)とは、通常は仏教寺院を指すものではなく、中国の土着信仰が混在した宗教施設を指す。儒教孔子を祀った孔子廟三国志の英雄・関羽を祀った関帝廟。土地神を祀った城隍廟などがある。

中国の民衆にとって身近な信仰の対象であるそれらは、日本でいうところの「天神さま」や「観音さま」の語感にちかい。祭祀のあるときなどに近所の廟に詣でることは、中国の人々の楽しみであり、日常生活の潤いにもなっている。

したがって「泣き廟(哭廟)」という言葉は、本来、中国語にはない。

包公」にすがるしかない中国の民衆

ところが今、中国の庶民の間では、宋代に実在した名裁判官「包公」を祀った廟である包公祠(河南省開封市)や包公の墓(安徽省合肥市)に跪いて拝み、ひたすら「自身が受けた冤罪や不公正な扱いによる被害」を大声で泣きながら訴えることが一種のブームになっている。

そして、いつしか人々は、これを

「泣き廟(哭廟)」と呼ぶようになった。

ブームの火付け役となったのが、今月10日に撮影されて、ネットに拡散された包公祠(ほうこうし)の広間(当時は法廷として使われた場所)で包公が座る裁判官席に向かい、跪いて号泣する女性の動画だった。

2024年3月10日、河南省開封市にある「包公祠」の広間で、包公の座る裁判官席に向かって跪いて号泣する女性。(SNSより)

それ以来、多くの市民が「包公」ゆかりの廟や墓の前に行き、現代中国で失われた「本当の正義」を求めて泣きつくようになった。なかには、冤罪の「冤」の文字パネルを持参してくる市民もいる。

こうした「社会現象」を受け、これ以上多くの冤罪が明るみに出るのを防ぐためなのか。あるいは、より多くの民衆がこれを怒りの「はけ口」にした結果、民衆の怨みが爆発して収拾がつかなくなり、中共政府にその矛先が向けられることを恐れたからか。いずれにせよ当局は、この事態の収拾に乗り出した。

突然に封鎖された「駆け込み寺」

つまり現地当局は「老朽化」と「メンテナンス」を口実に、包公ゆかりの廟や墓を閉鎖するに至ったのである。閉鎖の期限は、明示されていない。

現代中国には、民衆が被害者となる不正義や不条理があまりにも多い。

そのため、被害を受けた民衆が千年前の偉人の廟に殺到して泣きすがるという、すさまじい社会現象が起きた。しかし当局は、その映像を内外に広めないため、施設の強制封鎖に踏み切ったのだ。

これもまた「問題を解決せず、問題を提起する人を解決(消す)する」という中共の常套手段にかなったものと言えるだろう。

社会の不条理に苦しむ民衆が、心の拠り所を求めた「駆け込み寺」さえも封じることは、もはや正常な政治ではなく、中共という共産主義が本来もつ悪魔性の作用による。なぜならそれは、民衆が心を寄せて敬愛するものに対する、中共の極めて狭隘な嫉妬心であるからだ。

民衆の支持を失って久しい中国共産党は、宋代の清廉潔白な裁判官「包公」が邪魔なのである。

画像(左)は北宋時代の清廉潔白で公正無私の名裁判官「包公」を祀った廟(包公祠)で、跪いて拝み、自身が受けた冤罪や不当な扱いを泣きながら訴える中国の民衆。画像(右)は「メンテナンス」を理由に、突然閉鎖された包公祠。(SNSより)

もちろん「包公」への参拝を禁じられたからといって、民間の冤罪がなくなったわけではない。

このほど、年金の支給を止められた庶民たちは、河南省の包公祠の代わりに、広東省広州市にある道教寺院「黄大仙祠(こうだいせんし)」へ殺到した。

ここでも同じように、多くの民衆が跪いて拝み、自身が受けた被害を泣きながら訴えている。その様子を捉えた動画がネットに流れており、広州にも「泣き廟」が出現したと話題になった。

(2024年3月、広東省広州市にある道教寺院「黄大仙祠」で跪いて拝み、自身が受けた被害を泣きながら訴える中国の民衆)

災難の元凶は、中共の現体制にある

現在、中国で巻き起こっている「被害や冤罪を訴えるブーム」について上海大学の元教授で著名な人権活動家の顧国平氏は、次のように分析する。

中共は、中国人に尽きることのない災難をもたらした。裁判所をはじめ、中国にある全ての公的機構は全て中共に牛耳られている。庶民は冤罪を受けても訴える場もないのだ。中国の陳情局はいずれもお飾りで、何の問題も解決しない」

中共統治下の今の中国には、いたるところで不正と暴力が横行している。それに対する各種の社会報復事件は、毎日のように起きている」

「庶民には自身が受けた冤罪や不公正な扱いを訴える場所はなく、冤罪を晴らして問題解決できるチャンスもない。だからこそ、包公ブームが巻き起こったのだ」

いまや中国経済は危機に瀕しており、地方の債務は山のように積みあがっている。各地の公務員まで給料を減らされ、あるいは支払いを延期される事態がもはや常態化してきている。職員の給料を支払えずに突然倒産する工場や企業も多く、中国のあちこちで「給料払え」の抗議が起きている。

このほか、未完成のマンションや銀行預金の凍結、政府による強制的な土地徴用や住宅立ち退きなどの被害を受ける庶民の数も膨大な数字に上る。

いまや国連本部をはじめ、どの国の中国大使館前、あるいは中共幹部が出席するどの国際会議の会場前にも、必ずと言っていいほど、中共政府に抗議する中国出身者の姿がある。

「中国全体が、いつ爆発してもおかしくない圧力鍋になっている」。前出の顧国平氏は、そう表現した。

そうだとすれば、中共当局が「泣き廟」を封鎖しても、それは圧力鍋の加圧を促進することにしかならない。

 

 

エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
 
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。