内閣府の再生可能エネルギータスクフォースの民間構成員の提出した資料に中国国営企業「国家電網」のロゴが入っていた問題について、「チェック体制の不備」と河野規制改革担当相は回答。これに対して音喜多駿議員(日本維新の会)は海外国営企業からの影響を危惧し「危機感が足りない」と問いただし、構成員の再選定を含め再エネ政策の見直しを求めた。
25日の衆院予算委員会で質問に立った音喜多議員は、エネルギー政策分野に中国やその国営企業が影響を及ぼすことは安全保障上の重大な問題だと指摘。資料を提出した自然エネルギー財団の大林ミカ氏の選定経緯と基準について岸田首相の見解を求めるとともに、委員選定の基準再構築を求めた。
河野氏は、今回の問題を「チェック体制の不備」と表現。ただし資料提示者と中国との関係性や選定の背景も含めて徹底的にチェックする必要性を認めた。現時点で「ロゴ自体に有害要素はなく、ロゴの存在だけで中国企業との特別な関係性があるとは言えない」との認識も示した。
岸田文雄首相は、エネルギーセキュリティが安全保障の中核的課題であり、他国から干渉されない体制確保は当然だと認めつつ、まずは内閣府で速やかに事実関係を確認し、不適切な内容が判明すれば厳正に対応するとの考えを示した。
財団、超党派的な影響か
自然エネルギー財団は超党派的な関わりを持つ。財団で事業局長を務める大林氏は、立憲民主党の西村智奈美幹事長(当時)と過去、対談している。2022年5月に同党の「持続可能な社会ビジョン創造委員会」の一環としてのコンテンツだが、この文書は現在削除されている。
オンラインの記録によれば、大林氏はこの対談で再エネ推進論と原発への批判を展開。日本の政策の遅れを指摘した。「日本は自然エネルギーの量も少ないし買うこともできない」、「既存の化石燃料発電所が優先されている」と不満を示した。さらに原子力については、廃炉費用なども含めたコストの不透明性や、放射性廃棄物の処分方法が解決していないと述べていた。
西村氏は、こうした大林氏の意見に賛同。「政治が意思を持って気候変動に取り組む必要がある」との認識を示した。
高市早苗大臣「他国から干渉されてはならない」
超党派的に影響力を持つとされるが、自然エネルギー財団は再エネ推進一辺倒とも言える政策姿勢で、リスク分散の観点から懸念も根強い。さらには再エネ関連ビジネスでは世界市場でも中国メーカーの存在感が大きく、また中国民間企業は中国共産党当局の意向が反映される。
自然エネルギー財団は実際、ロゴが入った中国国家電網との関係がある。問題の資料を提出した構成員が所属する自然エネルギー財団について、中国国家電網の会長が理事会メンバーとして参加しているのである。
こうした同財団と中国企業との関係性について、高市早苗経済安全保障担当相は26日の記者会見で言及。「エネルギー安全保障は国民の生活や経済活動に大きな影響を及ぼす安全保障の中核的な課題だ」と指摘。「関連政策の検討にあたっては、他国から干渉されるようなことがあってはならない」と述べた。