国連安全保障理事会は21日、ロシアによるウクライナ侵攻を協議する緊急会合を開いた。韓国やウクライナは北朝鮮がロシアへの派兵を始めたと指摘し、米国や日本などは派兵情報への懸念を表明。ロシアは「恐怖をあおるデマだ」と否定した。
韓国の黄浚局国連大使は、ロシアに派兵した北朝鮮は「積極的な交戦国」だと非難。ウクライナのキスリツァ国連大使は「ロシア東部で約1万1千人の北朝鮮兵が訓練を受けている」とし、11月1日までに実戦投入される見通しだと主張した。
ロシアのネベンジャ国連大使は、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟は絶対に受け入れられないと強調。劣勢のウクライナが「ロシアとNATOの直接対決を引き起こそうとしている」と訴えた。(共同)
北朝鮮のロシア派兵 韓国、段階的な対応措置実行を発表
ウクライナ侵攻を続けるロシアを支援するために北朝鮮が派兵したとされる問題を巡り、韓国大統領府は22日、緊急で国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開催し、「露朝の軍事協力の進展に応じて段階的な対応措置を実行していく」との声明を発表した。 【写真】かなづちを手に訓練する北朝鮮の特殊部隊 また、「北朝鮮の若者をロシアの傭兵(ようへい)として大義名分のない戦場に送り込むのは、自ら犯罪集団であることを認める行為」と非難した。
韓国大統領府の関係者は、「段階的な対応」には外交的、経済的、軍事的措置があると説明。詳細は明らかにしなかったが、今後、露朝の軍事協力が「限度を超えた」場合は、
「攻撃用の武器をウクライナに提供することも考慮する」と述べた。韓国はこれまで、ウクライナに殺傷兵器の提供をしていない。 米ホワイトハウスや北大西洋条約機構(NATO)は派兵について「確認できていない」としている。 韓国大統領府の関係者は、韓国の国家情報院が18日に発表した派兵の情報は「同盟国の米国や友好国と長い時間をかけて集めた情報」を基にしていると説明。米国は措置と対策が全て整理された状態で派兵が確認できたかを発表する必要があるとして、「発表が出るまで時間がかかる。近いうちに立場表明があるのではないか」との見方を示した。【ソウル日下部元美】