【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮がウクライナを侵略するロシアに派遣したのは、朝鮮人民軍の精鋭特殊部隊とされる。だが、韓国当局の分析からは、北朝鮮内で派兵について固く秘匿されるなど、特異な対応が取られている実態も浮かび上がってきた。
露軍統制下で作戦権限なし
「弾除けの傭兵(ようへい)にすぎない」。韓国の金竜顕(キム・ヨンヒョン)国防相は24日、国会で北朝鮮の派兵部隊をこう表現し、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が「軍隊を違法な侵略戦争に売り渡した。自身の独裁体制を強固にするためだ」と非難した。
派兵は本来、派遣国の指揮体系を維持し、その国の軍服や国旗を明示する。だが、北朝鮮の部隊はロシア軍の軍服を着て露軍将兵に偽装し、「露軍の統制下で何の作戦権限もなく言われるまま動いている」。金国防相はこのため、「傭兵」と表現したのだという。
韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は、北朝鮮が派兵の対価として1人当たり2000ドル(約30万円)相当を得るとの見方を示し、見返りに経済難の打開や朝鮮半島有事でのロシアの介入を期待していると北朝鮮の思惑を分析した。
現代戦の理解不足、死傷者多発か
露朝首脳は6月、両国の一方が戦争状態となった際の軍事援助を盛り込んだ「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名したが、露下院が条約批准を可決したのは今月24日だ。露朝は条約の発効を待たずに、いわば〝密約〟の形で派兵準備を進めてきたことになる。
派兵されたのは「暴風軍団」とも呼ばれる精鋭部隊とされる。ただ、韓国当局では、北朝鮮が主に10~20代の新米兵を派兵したとの見方も出ている。国会では、ウクライナ側が公開した北朝鮮兵とされる映像を見た議員から「体格は小さく、あどけない」との指摘があった。
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