パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

トランプの世界観は日本の興隆に刺激され、関税への執着となった  『関税、関税、関税』。そして『投資、投資、投資』だ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和七年(2025年)2月10日(月曜日)
       通巻第8644号    <前日発行>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

トランプの世界観は日本の興隆に刺激され、関税への執着となった
  『関税、関税、関税』。そして『投資、投資、投資』だ。
************************************

 トランプには「ものつくり」で劣勢のアメリカ産業の立て直しを基本的に考え直すという基本的ヴィジョンは希薄である。
AIに投資し、半導体で中国を封じ込めるというバイデン政策の枠を越えていない。自国の産業をまもるために関税を武器とする。
 『関税、関税、関税』である。そして『投資、投資、投資』だ。
 メキシコとカナダへ25%の高関税をかけると脅し、BRICSは米ドル体制から離れるなら100%関税を課すとブラフをかける。じっさいに中国には10%の追加関税をかけた。頭の中にあるのは不動産取引の延長のごとし。

 問題はなぜトランプが関税にこだわるのか、である。
 なぜボーイングの技術劣化、GM、フォードの不振、クライスラーの再編が起こったか、なぜUSスチールが日本製鉄と経営した方がアメリカ経済にとってプラスになるのかを考えないのか。アメリカの製造業は安い中国品を輸入するばかりで、なぜ自ら製造しようとはしないのか。

 1970年代後半から、80年代にかけて、日本経済の興隆は凄まじいものがあった。日本資本はNYの不動産を買いあさった。ロスの目抜き通りウィルシャーブルーバードの著名なビルも日本の秀和などが次々と購入し、アメリカ人からみれば『日本の侵略』と移った。日本への嫉妬、怨念を抱いたアメリカ人が夥しく、トランプもその一人だった。
「東京がロックフェラーセンターを含む米国の象徴的なブランドや不動産を大量に購入していく様子をトランプ派は前列で見ていた。そのとき、米国の同盟国との関係についてのトランプの世界観が形成され、輸入品に対する関税への執着が始まった」(BBC、2月8日)
https://www.bbc.com/news/articles/c4gp5pw654lo

トランプが1987年に出した著書『取引の達人』(「The Art of the Deal」)のなかでときの政権の貿易政策を激しく非難している
「同盟国に「公平な負担」を課すことで外交政策を扱う」と明言し、日本が米国市場に「ダンピング製品」を輸出して膨大な貿易黒字を形成したのだと総括する。雌伏30年、かれは大統領に立候補し、奇跡の当選を果たした。

レーガン政権は親日的と言われたが、貿易に関しては保護主義的なスーパー301条などが議会で目白押しとなった。

 トランプが『台湾の半導体の勃興は米国から技術を盗んだからだ。台湾は(ずる)賢い』などという暴言も、同じ発想である。
アメリカの製造業の衰退がなぜおきたかを直視せず、他国の競争を最初から不正とみるのだ。

 トランプは80年代の日本の猛威について、「日本と他の国々が何十年も米国を利用し続けてきたからだ。日本は防衛に適切な費用を回避し、(米国が無償で防衛してくれる限り)、前例のない黒字を生み出して、強力で活気のある経済を築いてきた」と主張した。それゆえ「明白な解決策」とは「課税」することだと短絡的になる。

クライド・プレストウィッツはレーガン政権下で商務長官顧問として日本との交渉を指揮した。彼のベストセラーは『日米逆転』(『TRADING PLACES』)である。
「関税は早急に結果を得ようとする短絡的発想でしかなく、タフガイのポーズは見せかけのものだ。それが何らかの形で効果的かどうかは、本当に議論の余地がある」と書いた。

結局、半導体もAIもSNSも、ほぼすべての新技術はアメリカが発明され、特許とビジネスモデルを登録し、ロイヤリティー収入で稼ぐ。
頭脳は稼働するが手足は動かないというのがアメリカの優秀な発明家、起業家が考案したビジネスモデルであり、イーロンマスクもビルゲーツモザッカーバーグもペゾスも生産現場の経験が殆ど無い。

アメリカは頭脳で稼ぐが、実際のものづくり、たとえばスマホもパソコンも外国で下請けさせている。
アメリカ産業全体の衰退は、この産業構造の歪(いびつ)さにあるわけで高関税は政治的で、一時な防衛措置でしかない。
    ☆○◎☆み◎☆◎○や○☆◎○ざ☆○◎☆き☆◎○☆