中国・北京の著名な病院が「臓器提供の啓発」を目的にライブ配信を行ったところ、視聴者から非難が殺到し、ついに、映像まで削除される騒ぎとなった。
背景には、長年指摘されてきた臓器移植をめぐる「不透明な供給ルート」への不信と、関連事件の続出があった。
臓器移植をめぐる“闇”
6月11日は、中国当局が「全国臓器提供の日」と定めた日だ。これに先立ち、中国では、昨年発生した「中南大学湘雅二医院の実習医・羅帥宇(ら・すいう)さん」の不可解な転落死や彼による告発、「病院が児童の臓器情報を違法に取得していた」話題が数日間にわたって、中国SNSでトレンド入りしていた。
「臓器提供の日」当日、北京にある著名な病院「朝陽医院」は、臓器提供をテーマにしたライブ配信を行った。だが、医師や関係者が啓発的に語るその場に、視聴者の怒りが噴出し、配信中にコメント欄は閉鎖、最終的に動画は削除された。
背景には、臓器移植の中国の「黒い噂」があった。特に注目されているのが、中南大学湘雅二医院で昨年起きた実習医・羅帥宇(ら・すいう)さんの不可解な転落死事件。彼は生前、病院が児童の臓器情報を違法に収集していることや病院が行っている臓器収奪のための脳死偽装などの闇を告発していたからだ。この事件の再燃により、中国国内では臓器移植に対する不信と恐怖が高まった。
実際、今回のライブ配信でも「あなたたち(配信中の専門家たちのことを指す)はドナー登録したのか?」「あなたたちの子供にドナー登録させたのか?」「ミャンマー(臓器狩りの隠語の1つ)合法化か」「あんたら悪魔だ」「偽装された脳死(羅帥宇さんの告発内容)」「生きているのに臓器を抜き取られるんでしょう?」といったコメントが連投された。
中国は、臓器移植件数で世界でも上位とされるが、提供者の透明性や合法性をめぐる疑念は絶えない。さらに、若者の失踪事件や、法輪功学習者・少数民族などからの強制的な臓器摘出が国際的にも問題視され、国民の間でも警戒感が広がっていた。
これは「また中国の話」ではない。高齢化が進み、臓器移植の需要が高まる日本にとっても、他人事では済まされない問題だ。
日本人が「中国で移植手術を受ける」という選択が、思わぬ形で「犯罪あるいは加害に加担する行為」になりかねないのだ。それが自分や家族の命を救う目的であっても、その背後に「誰かの犠牲」があるなら、果たして目を背けていいのか。
今、私たちは「知らないふり」も「沈黙」も、許されない立場に立たされたのだ。
手術率90%超! 患者の不安につけ込み手術を乱発 “稼ぎ場”と化した中国の医療現場
「手術の必要がない人にまでメスを入れる」──そんな信じがたい医療行為が、中国・湖北省のある病院で常態化していたことが発覚した。
問題の病院は、民間の「黄石博仕肛腸医院」だ。肛門や消化器系を専門とするこの病院では、実際には手術の必要がない患者に対しても、積極的に手術を行っていた。その結果、調査対象となった125件のカルテのうち、113件(約90.4%)で「過剰医療」の問題を確認した。中には、手術が禁忌とされる状態の患者にまでメスを入れていたケースもあった。
さらに検査では、同院の全体の手術率が90%を超えており、地域平均の40%前後を大きく上回っていた。医師らは「今日中に手術しないと危ない」と患者の不安をあおり、初診当日に即手術を実施、手術中には無断で高額な医療材料や薬品に差し替え、事後に「緊急だった」などと説明して、高額な請求を行った事例も確認した。
また同院は、インターネット上で「格安検査」などをうたい患者を集めていたが、「実際には高額の費用を請求された」とする患者の告発が絶えず、社会的な波紋を広げていた。
問題の医院は、2015年に設立された民間医療機関で、7つの診療科と80床を備え、年間1500人を超える手術患者を受け入れている。
この問題を重く見た現地の検察当局は、公益訴訟を起こし、裁判所は、病院に約53万元(約1千万円)の罰金を命じた。
しかし、この事件は氷山の一角にすぎない。可視化されたのはあくまで「摘発できた1院」に過ぎず、その背後には、同様の手口で営利を優先する「医療機関もどき」が中国全土に無数に存在するのだ。


