運転中に意識失う事故、年間300件近く発生 潜む「前兆」に注意 兵庫で13台絡む事故
兵庫県加古川市の国道交差点付近で4日、車13台が絡む多重事故があった。信号待ちの車列に突っ込んだ乗用車の運転手の男性(78)が死亡するなど13人が死傷した。兵庫県警によると、男性は直前に急性心筋梗塞を発症し、運転不能の状態に陥っていた可能性がある。持病や発作に起因する交通事故は、全国で年間300件近く起きているとのデータもある。同様の悲劇を防ぐ手立てはあるのか
■声かけても反応なし 4日午後4時半ごろ、事故は起きた。加古川市と高砂市との市境に位置する橋を渡り終えたあたりで、乗用車はまず1台目の車に追突。助手席にいた同乗者の男性(79)が運転席を見ると「(男性は)目をつむっていて、声をかけても反応がなかった」。 乗用車は最初に追突した車を押しのけ、速度を緩めることなく、傾斜のある道を下って約350メートル先の交差点へ。車線をまたぐように走行しながら、激しい音とともに信号待ちの車列に突っ込んだ。 警察官や消防隊員が現場へ駆け付けると、乗用車の前面は大破し、ほかの10台以上の車も一部がへこんだり、激しく傷ついたりしていた。周辺にはガラスやバンパーの破片が飛散。付近の飲食店の駐車場から出場しようとした車も巻き込まれた。 目撃した男性会社員(29)は「すごいことになっていて驚いた。これほどの事故とは…」と話した。 県警によると、同乗者の男性が胸の骨を折る重傷。そのほか子供4人を含む2~65歳の男女11人が軽傷という。捜査関係者は「一般道でこれだけの規模の事故はなかなかない」と述べた。 司法解剖の結果、運転していた男性の死因は急性心筋梗塞だった。県警は、男性が事故直前に心筋梗塞を発症し、運転不能の状態に陥ったとみて、詳しい原因を調べる。
■若い人でも起きる 運転手が持病や発作などで意識障害を起こしたことに起因する交通事故は全国で相次いでいる。 公益財団法人「交通事故総合分析センター」(東京)の分析によると、こうした事故は令和2年に282件発生。その後も年間250~300件程度で推移し、6年は260件だった。 運転中の意識障害は高齢ドライバーに限らず誰にでも起こりうる。交通事故鑑定人の中島博史氏は「手足のしびれやめまいなど、前兆症状を見逃さないことが重要だ」と指摘。また同乗者がいる場合は、声かけや肩たたきで運転手の意識を確認し、「意識がなければサイドブレーキなどを使ってスピードを落とすようにすべきだ」とした。
近年は自動運転の開発も進むが、最終的には運転手の操作が優先される車が多い。中島氏は「明らかに危険な場合は、車側から運転を制御できるような設計が必要だ」との認識を示した。(宮崎秀太)
