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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和八年(2026年)7月31日(金曜日)弐
通巻第9388号
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AI IS OVER(AI熱狂は醒めた)
開発レースに距離を置いたアップルの好成績が次を予兆
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『AI IS OVER』。これは昨今の米国の報道で飛びだしてきた語彙である。AI熱狂は醒めたというニュアンスを付帯している。
AI開発競争に積極的に関与してこなかったアップルは、過去1ヶ月で株価が21%上昇し、時価総額でNVIDIAを抜きかえし、トップの座を回復した。
時価総額競争で世界のビリオネア・ランキングがきまるから世界一の金持ちはイーロン・マスクからジェンセン・ファン(黄仁勲=エヌビディアCEO)となり、そして明日は?
7月31日にOpenAIは、発売からわずか3週間しかたっていない、安価なGPT5.6モデルの価格を80%も引き下げた。いきなり八割引だ。
中国ディープシークの廉価に対抗する羽目に陥ったからだ。アメリカ人、アメリカ企業が中国製をつかっているのだ。同モデルは7月8日にトランプ政権の承認をうけたばかりである。それが中国の猛追された結果である。
アルトマンの弱気発言が続いているのも気になるところである。
オープンAIのサム・アルトマンは、なぜ「株式の5%を政府に譲渡する用意がある」と言い出したのか。
アルトマンは根っからの民主党支持ではるものの、トランプ政権と激しく対立し、一時的にブラックリストの載せられたアンソロピックの轍を踏みたくない。また政府出資は、インテルへの89億ドル出資という先例があるため批判はそれほど強くないだろうと予測される。
しかしAIバブル暴落の兆候がみえており、上場を急ぐか、大幅に延期するかの選択に迫られている。上場延期の可能性が日々濃くなっている。
基本的に先端AIモデルは、開発者の裁量だけで公開されるものではなく米国政府と主要なAI研究所は、国家安全保障、潜在的な悪用、 米国のリーダーシップを維持しつつ、モデルごとにリアルタイムで、誰がどのような条件でアクセスできるかを当面の判定基準としてきた。
アルトマンはトランプ大統領、ハワード・ルトニック商務長官、スコット・ベッセント財務長官と何回も会談し詰めを行ってきたという。
先週来、世界的規模で、AI関連企業の株価は60~70%下落を演じており、とりわけ韓国では70万人の個人投資家が悲鳴を上げている。
破竹の進撃をつづけてきた韓国のサムソン、SKハイニックスはエヌビディアと組んで米国の9500億ドルの投資を発表した。
皮肉にもその直後から株価暴落が始まった。日本でもキオクシアが70%近く下落した。
大手AI企業(Meta、Alphabet、OpenAI、Anthropicなど)がデータセンターの構築に数千億ドル投資を進めている。
ところが、巨大投資をカバーする収入を望めるのか? 十分な料金をエンドユーザーから徴収することが難しいのではないかという懸念が拡がった。
史上空前のIPOと言われたイーロン・マスクのスペースXをみよ。上場した初日の210ドルからするすると下落を続け、6月のピーク時の半値を割り込んだ。
対照的に「反ハイテク指数」とも呼ばれるロンドンの主要株価指数(FTSE100指数)は、一時的に過去最高値を更新した。
業界では「AIバブル」が崩壊寸前なのではないかと懸念が強く存在している。
「AIバブルはまだ崩壊していないが、徐々に空気が抜けてきている」と或る市場関係者は言う。
大手AI企業間では、日本の融通手形の構造のように、互いに多額の出資を行ったり資金を貸し借りしたりすることで循環的な資金調達を行っている。
ということはどちらかの企業が資金繰りショートして経営危機に陥ると、他の企業の業績にも悪影響を及ぼす。
投資家が企業の支出計画や返済時期の見通しを、熱狂が冷めた後、厳しく精査する。それが現段階の実情である。熱狂は冷めた。残りは降伏か、別の選択か?
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